福島駐(司令・古庄1陸佐)は9月7日、昨年に引き続き、初の2年連続となる市中パレードを、同8日に同駐創立71周年記念行事を執り行った。
 
市町村イメージキャラ16体も行進

 7日の市中パレードは、福島駅西口市道で行われた。今年度から初となるらっぱ隊による日課号音の吹奏披露、女性自衛官3人を含むファンシードリル隊による演技披露、航空機3機、車両80両、人員300人、自衛隊家族会や各市町村旗、市町村イメージキャラ16体が勇壮な行進を見せた。

LAVの車列(市町村旗)

福島市マスコット「ももりん)

 また、初めての試みとして44普連、11施設群の新隊員51人が徒歩行進を実施し、激励の声や歓声を浴びた。観覧者は約2万人にのぼり、沿道には数多くの日の丸がなびいた。

2コ部隊の新隊員教育隊による徒歩行進

国旗を振る沿道の方々

 8日、福島駐で創立71周年記念行事を挙行し、日頃から駐屯地に尽力した方々に対し、司令より感謝状を贈呈し、記念式典を開始した。

駐屯地司令(観閲官)

 記念式典は、多くの来賓や子供連れの家族が観覧する中、らっぱ隊の吹奏により、観閲部隊指揮官(44普連副連隊長・武久2陸佐)が指揮する約500人が進入した。

ヘリでの記念撮影に長蛇の列

 式辞で古庄1佐は、「今後も福島自衛隊として一致団結し、『ONE TEAM 福島』を合言葉に『わが国の平和と独立を守る』という自衛隊としての使命を果たしてまいる所存です。皆さまへの感謝の気持ちと『郷土部隊』としての誇りを忘れず、地域の安全・安心を守っていく」と述べた。

 次いで、6音楽隊の演奏に合わせ、観閲部隊指揮官を先頭に車両50両、人員500人、航空機1機が堂々とした観閲行進を見せた。終了後、格闘訓練展示では格闘指導官20人がさまざまのシチュエーションでの対処要領を展示し、会場を盛り上げた。

格闘訓練展示

 訓練展示では、1中隊(中隊長・田村1陸尉)の指揮の下、攻撃の状況を想定し、UH1、災害用ドローン、偵察用オートバイによる偵察やUH1からのリペリング(懸垂降下)で進入した。

偵察用オートバイ

 福島駐内での訓練展示としては初めて16式機動戦闘車が参加し、各空砲を用いた攻撃の状況を展示した。特に155ミリ榴弾砲の大きな音で会場から歓声が沸いた。

迫力ある模擬戦闘訓練展示

 また、今年は「オープン CAMP in 福島」として民間の人といつもより近い距離で3回のファンシードリル隊の一糸乱れぬ演技を見せた。また、今年度初めて駐屯地一般開放時間の当初から実施した体験搭乗は昨年度とコースを変更。高機動車、軽装甲機動車を準備し、悪路を走行したアトラクション感覚で約1200人の来場者に楽しんでもらった。

ファンシードリル隊

 体育館では、記念行事初となる福島駐音楽隊11人、郡山駐音楽隊3人と地元高校生による「ふれあいコンサート」を行い、福島県ゆかりの作曲家・古関裕而氏の「栄冠は君に輝く」や「高原列車は行く」を含めた12曲を披露。会場は音楽演奏の音色と鑑賞者の手拍子で包まれた。隊員家族、県内外からの来場者(約6000人)の笑顔があふれる71周年記念行事となった。

ふれあいコンサート


◆関連リンク
陸上自衛隊第44普通科連隊(福島駐屯地)
https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/44i/

<編集部>

 防衛日報の本日(9月26日付)2面は、1ページの半分ほどを使って福島駐屯地の「市中パレード+創立71周年記念行事」の様子を紹介しました。2日間にわたるイベントでした。何よりもすごいのは市中パレードの観覧者が2万人に上ったことでしょうか。地方都市の市中パレードではなかなかの数字です。それも、著名人のパレードや祭りなどとは違い、あくまでも目の前にいるのは自衛隊員と車両などの装備品が中心。素晴らしいことです。

 沿道には日の丸を振る住民らの姿がありました。過去の歴史、現在の環境などから、こうした光景に嫌悪感を持つ地域があることは承知の上であえて申し上げるならば、ここ、福島の地では「一目、見てみたい」と駆け付ける人たちの多さを見る限り、個人的には少なくとも自衛隊に関心を持ってもらえている地域なのだと思います。

 初日の市中パレードでは、らっぱ隊の吹奏、女性自衛官3人を含むファンシードリル隊による演技、さらには「ザ・自衛隊」ならではの航空機3機と車両80両、そして市町村のイメージキャラクター16体も登場しました。沿道で見つめる子供たちにとっては、イメキャラの方に興味津々かと思いますが、それはそれでよしです。「あの時、あのイメキャラを見たのは、何のパレードだっけ…」と思い返すとき、自衛隊の存在が頭の中に登場しさえすればいいのです。

 パレードは、「われわれはいま、こういうことをやっています」という究極のアピールの場でもあり、それを見た人たちは目の前をゆっくりと通り過ぎる人間や物に対して一つひとつ関心を寄せていく。そんな一つの「舞台」と言えるのかもしれません。華麗とかきれいとかの類(たぐい)とは少し違いますが、その分、勇壮であり、迫力度は十分に伝わるのが自衛隊なのです。

 翌日の創立記念行事は定番の観閲行進、格闘訓練展示などのほか、後期教育中の新隊員51人も晴れやかに歩を進め、あすの自衛隊を担う若き精鋭たちの姿も披露されました。市中パレードで列に並んだファンシードリル隊は、ここで本来の演技を見せ、会場を沸かせました。

 昭和28年10月開庁。創立71周年という節目を迎え、2日間で計2万6000人からの祝福を受けた福島駐屯地にとっては、式典で古庄司令が述べた合言葉「ONE TEAM 福島」の思いを強め、「郷土部隊」としての誇りを持ち続ける上で、背中をさらに強く押してくれたイベントとなったことでしょう。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報9月26日付PDF