海洋を巡る諸問題について議論する国際セミナー「海洋―意識の向上とその持続可能な利用」が8月27日、東京国際クルーズターミナル(東京都江東区)で開かれた。海上自衛隊やイタリア海軍の幹部のほか、日伊両国の業界関係者がパネリストとして登壇。安全保障環境の現状や無人海底探査機の技術革新など最新情報について意見を交わした(編集部・船木正尋)。

多国間連携の重要性について説明する齋藤海幕長

 セミナーはイタリア海軍と笹川平和財団の共催。開会の冒頭、齋藤海上幕僚長が来賓を代表してあいさつし、日本初寄港のイタリア海軍の空母「カブール」や練習帆船「アメリゴ・ベスプッチ」などを挙げた上で、「(イタリア海軍は)自由で開かれたインド太平洋の実現を目指す重要なパートナーだ」と連携強化を図る考えを述べた。

 パネルディスカッションには、イタリア海軍のベルゴット海軍副参謀長、海上自衛隊幹部学校長の江川海将、イタリア航空宇宙・防衛・安全保障産業企業連盟のフェスッチ事務総長、元防衛装備庁長官で日本防衛装備工業会の深山延暁専務理事の4人が登壇。

 ベルゴット氏は、海底に敷設されている重要インフラの防衛の重要性を訴えた。バルト海の海底で起きた天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」の爆破事件を引き合いに出し、「国内の海底ケーブルやガスパイプラインを監視する仕組みをつくった」と説明した。

 江川氏は、海洋の安全保障の現状について言及。「台湾海峡、東・南シナ海の海洋の安全が脅かされている」とした上で、「そこで重要なのはイタリア、そして日本をはじめとする海洋国家の役割だ」と多国間連携の必要性を説いた。

 フェスッチ氏は、日伊の企業が連携し、海洋資源の探索のほか、水中探索の技術力向上の重要性を訴えた。

 日本の自律型水中探索機などを紹介した深山氏は、装備品の輸出ルール「防衛装備移転三原則」に触れ、「装備移転のルールが緩和された。日伊両国でビジネスチャンスが生まれれば」と期待を寄せた。

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