北大東村に配備予定の移動式警戒管制レーダーの同型機(航空自衛隊より)

北大東島・空自移動式警戒管制レーダー部隊の配備決定

 沖縄県の北大東島(北大東村)への航空自衛隊の移動式警戒管制レーダー部隊を配備する計画が決まった。空自のレーダーがない太平洋側島嶼しょ部の「空白地域」を解消し、太平洋側の警戒監視を強化することで、空母などの航行で海洋進出を強める中国軍の動向を詳細に把握したい考えだ。防衛省は、沖縄本島の東約360キロに位置する北大東島にレーダー部隊を置き、手薄とされる太平洋島嶼部の警戒監視態勢を強化する。                                (編集部・船木正尋)

■基地予定地2カ所を確保■

 7月22日、北大東村の鬼塚三典村長が島を訪問した三宅伸吾防衛政務官と会談し、配備を受け入れると正式に表明した。

 防衛省などによると、北大東島に配備される予定の移動式警戒管制レーダーは全国28カ所にある固定式警戒管制レーダーを補完するものだ。移動式は固定式よりも予算を抑えられるほか、機動的に展開できる利点もある。

 実際に、島内では主要な施設を設ける北東部だけではなく、南部にも土地を確保しており、必要に応じて両区域でレーダーを運用する狙いもある。

 具体的には北東部に移動式レーダーや隊庁舎、火薬庫、体育館などを設ける。南部には地上電波測定装置などを設置する計画だ。空自南西航空警戒管制団の隷下部隊約30人が常駐する。基地の広さは、2カ所合わせて約11ヘクタールを見込んでいる。

       配備される基地完成図(防衛省資料より)

 同省は令和6年度中にも地質調査や実務設計を進め、来年度にも着工する方針。用地取得などの費用は7年度予算の概算要求に盛り込む考えだ。

 また、基地整備予定周辺地に生息する希少動植物については必要に応じて別の場所へ移すほか、周辺農地への沿岸対策として防潮柵の設置も計画している。

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