世界的な自然災害が起きている今、皆さんは自分の事として考えているだろうか。災害が起きてインフラが機能しなくなった時の備えは?食料は?トイレは?今こそ「防災」を考える時。少し目線を変えるだけで必要なもの・ことが見えてきて、それが命を救うことになる。

世界の自然災害が日本の食料に及ぼす影響

 最近ニュースにもなっている、オレンジやコーヒーの不足など、世界的な自然災害の影響を食品の高騰などで知る人も多いと思う。
 年々増加する風水害や震災などの脅威に遭っているのは日本だけでなく、世界のあちこちで今まで経験したことのない自然災害が発生している。

 それは10年以上前から起こっていて、その頻度は日本の災害と同様に年々増加傾向にあり、様々な影響が我々の日常にも降りかかっている事を知って欲しい。

 日本の食料自給率は40%以下と低く、米と野菜以外は輸入に依存していると言わざるを得ない状況で、ある日突然、あたりまえに買えていた食品が買えなくなる、そんな日が来るかもしれない。

 自身の身に何かしらの痛手を感じることで、人は初めて、この発端が人間の力ではどうにもならない自然災害が原因だと認識し始めることだろう。

 更に世界情勢の悪化(人災)も加わり、輸送費の高騰に円安の影響も重なり大ダメージを受けているのは言うまでもない。

 では私たちはこの危機に加え、更なる自然災害に見舞われた場合、日本はどうなってしまうのだろうか?

 能登半島地震での被害額は1兆~2兆6000億円とも言われている。これが太平洋側で起きた時、この何倍、何十倍の被害額になることは予測できるのではないか?

 この予測と同時に、私たちが普通に生活するのが困難になる事は容易に想像がつく。

 例えば、旧耐震のまま対策せずに震災が来て倒壊した建物と、震災に備えて対策した建物とではどれくらいの被害額に差があるか考えた事はあるだろうか?

 私個人の意見だが対策した建物はしていない建物に比べ被害額は1/10程度に抑えられると計算している。

 物損だけでこれだけの差があると考えているが、これに加えて死傷者も減らせると考えたら、その差は計り知れないのではないだろうか?

家庭内インフラ“電気”

 このような大きなことだけでなく、日頃気にせずに使用できている「あたりまえにあるもの」が失われる事も、私たちが考えなくてはならない中で重要度を占めている。

 いちばん想像しやすいのは電気や水道などの家庭内インフラ部分かもしれない。もしこれを自分たちで準備しようとすると、どれだけ大変かお分かりだろうか?

 電気は蓄電池をご家庭に用意している方も最近は増えてきているが、備え付けの蓄電池があるご家庭は水害に強いエリアか確認しているだろうか?たとえ水害に強いエリアでも、排水設備能力を超えた大量降雨や、排水溝が詰まるなどで起きる内水氾濫を想定すると完全に水害に強いエリアとは言えない。

 ポータブル蓄電池は用意しているか?その保管場所は?充電はされているか?など、これだけでも考える事はたくさんある。

家庭内インフラ“水道”

 とても困るのは生理的なものである。生理的なものと伝えると女性のみを想像する方も多いだろう。しかし、男性も同じで、それはトイレだ。最近は簡易トイレを備える家庭も増えているが、水道が普及するまで耐えられるだろうか。1日1人当たり何回分を想像して用意しているか。

 1年間のトイレの平均使用回数は2,500回と言われている。これを365日で割ると、1日当たり6.8回。災害時は最低でも1日5回分は用意するようにと私は伝えている。
 しかし、それらが用意されたとしても、排泄後の重さや量、臭いなどについてまで皆さんにお伝えするのは容易ではない。

 そして排泄物を捨てに行く場所は?季節によってはこの排泄物は大変な事になるのだが、日頃手も汚さずに処理できる自身の排泄物がどれだけ難儀な課題になるか、想像しきれないのは当然である。

 先月、震災を経験した熊本市と仙台市の職員が発災時とその後について発表する場に参加させていただいたが、どちらも大きな課題として取り上げたのが「トイレ」と「女性」だった。

起こらないことはという考え

 人は「災」「病」などネガティブな言葉は脳が排除しようとしてしまう為、後回してしまう傾向がある。以前にもお伝えした「正常化バイアス」が働くのだ。加えて、起こらない事に費用をかけるのを極端に嫌う。なぜなら起こらなかったら「損」だと思うからだ。しかし、起こってしまってからでは対処できない事柄がほとんどであり、国が責任を負ってくれるわけではない。

 災害対策について考え、備える事は数えきれないほど多くあり、それらは家族構成や年齢、性別、住む場所などによっても変わり、さらに時代のスピードと共にアップデートが必要となる。まさに「思考」と「探求」の繰り返しである。

防災対策はの対策

 「防災」がトレンドのようになっている今、私は皆が「命」の対策に目を向ける絶好のチャンスと考える。

自分の命が守れなければ、家族の命は救えない。(自助)
家族の命が救えなければ、困っている誰かを助ける事はできない。(共助)

 そして、誰かを救ったとしても自分の命が失われてしまっては、自分が守りたい家族が悲しみ苦しむ…自分の命の重さがどれだけ大きいものかをまず知るべきである。

 災害対策は「命」の大切さを改めて考え、探求する凄いことであり、些細な対策であってもその意識から生まれる事は決して無駄にはならないものだという事を知って欲しい。
ひとりひとりの小さな意識の変化が大きな備えに変わるのだから。


「Re防災project」災害対策のシートベルト化の実現に向けて

 時代の変化と共に災害対策をアップデートし続ける災害対策の日常化、「災害対策のシートベルト化」を実現させるためには、『強い地域づくり』が必要である。それには産官学民連携での意識改革と継続的な取組みが必須で、このどこが欠けても強い地域づくりは出来ず、災害弱者は増え続ける一方である。「産官学」が連携し「学民」の強化に繋げ、それが本当の意味での「国土強靭化」となる。

 アスプラウト株式会社代表取締役である喜多村建代さんは、これらの取組みを「Re防災project」とし、2024.3.15より社団法人を立ち上げる。

プロフィール

喜多村 建代

アスプラウト株式会社 代表取締役
一般社団法人Re防災project 代表理事
一般社団法人住環境創造研究所 企画広報部長
日本防災スキーム株式会社 パートナー

15年間専業主婦の経験から、主婦目線、母親目線、民間目線と、プロ目線だけでは見落としがちな部分に焦点を置き、同じ志を持つそれぞれのプロフェッショナルとタッグ組んで、あらゆる対策に対しての柔軟で的確なサポートを行う。

感震ブレーカー開発者との出会いから災害対策に関わる事業に加わり、その後会社設立。
震災時火災、停電対策、防災教育などを中心に活動を拡げる。

「防災~明日を考える~」

 「防災~明日を考える~」は、日頃からの防災意識を高めてもらい、いざという時のための役立つ情報発信の場として立ち上げた防災コンテンツです。
 防災には、「自助・共助・公助」があり、みなさんも耳にしたことがあると思います。自助は自分自身、共助は地域で、公助は国(公的機関)が行うものです。防衛日報社では特に“自助”に焦点をあて、防災アイテムや防災に携わる企業を紹介するとともに、実際に防災に取り組まれている個人、団体のみなさまのご意見をコラムとして配信していきます。バックナンバーは下記からご覧ください。