エレクトロニクス専門商社の株式会社ジェピコ(東京都新宿区、大野欽一代表取締役社長)は、日本の防衛を陰ながら支えている企業のひとつだ。防衛省から護衛艦やヘリ、ミサイルなどアセット(装備品)の研究開発や製造を委託されている大手重工などへ必要な部品を海外から調達している。イタリアのレオナルドなど海外企業とのネットワークを生かし、日本の抑止力の抜本的強化に貢献している。

政府のプロジェクトにも部品を供給

 ジェピコは昭和47(1972)年に創業し、今年で52年目を迎える。専門商社として世界中から調達した革新的なエレクトロニクス製品をロケット、人工衛星などの政府のプロジェクトに供給している。防衛分野では、自衛隊のアセットに関わる研究開発や製造にも携わっている。国定翼・回転翼航空機や潜水艦、護衛艦、レーダー、ミサイルなどさまざまな防衛装備品に部品を供給している。

 このうち、固定翼・回転翼航空では、耐環境性能や高性能などが求められる。こうした中で、機体開発や製造に必要な半導体やスイッチ、コネクタなどの電子部品のほか、サーチライトやVHF・UHF無線機、障害物回避・監視システムなどの製品も調達する。

「部品調達を通じて国防に貢献していきたい」と語る柳﨑氏

 同社の取締役で防衛宇宙事業本部長を務める柳﨑正徳氏は「開発するよりも海外製品の部品を調達する方が、時間的にもコスト的にもメリットがある。われわれのネットワークを駆使して、顧客のニーズに合った製品や部品を届けたい」と話す。

 現在は米国よりも欧州諸国の企業から部品を調達する機会が多くなっているという。柳﨑氏はその理由について「米国では国際武器取引規則(ITAR)があり、納期が遅れる可能性がある。それに比べて欧州諸国では規制がそこまで厳しくないので、イタリアなどの企業から部品などを調達している」と説明。

宇宙事業にも携わる 

 同社では宇宙事業にも携わっている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発を進めている大型基幹ロケット「H3」の機体などにも部品を供給している。同ロケットは令和6年度に鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げる。さらに同年度には4号機も打ち上げる予定で、防衛省専用の通信衛星である「Xバンド防衛通信衛星」が搭載される見通し。

令和6年2月17日、種子島宇宙センターから打上げられたH3ロケット試験機2号機(提供・JAXA)

 柳﨑氏は「宇宙事業は防衛ともリンクする領域だ。これまでの調達のノウハウを生かして日本の国防にも貢献していく」と意気込む。

株式会社ジェピコ

 防衛・宇宙分野向けの電子部品の輸入販売のほか、工場を持たないファブレスメーカーとして、顧客のアイデアを形にするアナログASIC(半導体集積回路)の設計開発・量産供給も行っている。 

 年商は約80億円でその半数を防衛宇宙分野が占める。社員数は約60人で平均年齢は38歳。社内起業制度もあり、新規事業も積極的に行っている。名古屋、大阪、練馬(東京都)の各支店のほか、米国カリフォルニア州にジェピコ・アメリカの現地法人も持つ。

ホームページ=https://www.jepico.co.jp/

本社所在地=東京都新宿区北新宿2-21-1新宿フロントタワー 34F▽電話03-6386-0611