陸上自衛隊が初めて開催した動画コンテスト「ムービー・オブ・ザ・イヤー」(MOTY)」の最終結果が2月22日、陸自の公式SNSで発表された。最優秀作品賞に輝いたのは、西部方面隊が制作した「プライド」、また、陸上幕僚長賞には、東北方面隊制作「深化は続く」が選ばれた。

テーマは「強靭」

 コンテストは「強靭(きょうじん)」がテーマ。昨年1月から12月までに撮影した動画(2分30秒)について募集し、全国の部隊、学校から9作品が選出され「YouTube陸上自衛隊広報チャンネル」で配信された。

 審査は、一般視聴者からの高評価数に加え、動画制作プロ、陸上幕僚長からのポイントが加算され、最優秀作品賞、陸上幕僚長賞が決定した。

最優秀作品賞|西部方面隊「プライド」

 見事、最優秀作品賞に輝いた西部方面隊の作品「プライド」は、8通信大隊所属の勝田琢也3陸曹の制作。国防の最前線で覚悟を持って挑戦し続ける「鎮西機動師団」の隊員に焦点を当て、精鋭たちのさまざまな動きを紹介した。

【令和5年度陸自動画コンテスト最優秀作品賞 受賞作品】覚悟(プライド)

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 動画制作プロからは、「タイトルの挿入方法、映像のつなぎ方、音楽、画質の調整のすべてが完璧にバランス良く、見事な作品でした」などの講評を得た。

最優秀作品を受賞した8通信大隊の勝田琢也3陸曹

 「令和5年4月、第8師団は大変辛い事故を経験しました。強い悲しみを乗り越え、国防の最前線で覚悟をもって挑戦し続ける鎮西機動師団の隊員たちの姿を、たくさんの方にご覧いただいたことを大変、光栄に思います。映像は、青木伸一師団長直々のご指導と多くの関係者のご協力により完成させることができました。今後も仲間とともに自衛官として、映像写真陸曹として日々精進してまいります」

陸上幕僚長賞|東北方面隊制作「深化は続く」

 また、陸上幕僚長賞を受賞した東北方面隊制作「深化は続く」は9通信大隊所属の津島康元2陸曹の制作。精強化のために深化する陸自の歩みを隊員のまぶたの開閉(オープニング、エンディング)で表現するなどして強靭さを表現。あらゆる取り組みを実施する部隊・隊員を発信するなどした工夫が評価された。

【令和5年度陸自動画コンテスト陸上幕僚長賞 受賞作品】深化は続く

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 一般視聴者からは、「映像の撮影アングル、編集、音楽、とても素晴らしいです」「映画のようで、とてもすてき。画像のトーンも大好きです」などのコメントが寄せられた。

陸上幕僚長賞を受賞した9通信大隊の津島康元2陸曹 

 「真摯(しんし)に任務を全うする隊員の姿を伝えたいという願いで着手しました。あらゆる任務を真剣に取り組む隊員の眼や、深化し、歩み続ける部隊を表現するためにカット割りをうまく工夫して制作できたと思います。引き続き、技術に磨きをかけていきたいと思います」

 コンテストは、1月12日に締め切った後、一般視聴者、部外有識者による審査が行われた。3月下旬に陸自広報誌「ARMY」第104号に審査結果、応募全作品を紹介する予定。

 企画を立ち上げた陸幕広報室は、「コンテストは、陸自に対する信頼と協力の獲得のほかに、隊員の動画制作の技術向上もある。動画は広報活動には欠かせないツール。コンテストが全国の隊員の刺激となり、われこそはとチャレンジして、広報を一層盛り上げてほしい」としている。担当者によると、早くも来年度の開催を計画しており、規模拡大を狙っているという。

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