海上自衛隊は米国、オーストラリア、カナダの各軍とともに太平洋沖で合同演習を実施している。11月11日には米国の原子力空母「カール・ビンソン」で戦闘機などの発着艦訓練を報道陣に公開した。日米の司令官らが覇権主義的な動きを活発化させる中国を念頭に、連携を強化していく方針を示した。

 カール・ビンソンの飛行甲板には最新ステルス戦闘機F35Cのほか、電子戦機EA18G、FA18戦闘攻撃機などが発着艦訓練を実施していた。さらに周辺海域には海自の護衛艦「ひゅうが」などの姿もあった。

発艦の準備を進める最新ステルス戦闘機F35C

FA18戦闘攻撃機が着艦

カール・ビンソンの飛行甲板から飛び立つFA18戦闘攻撃機

 会見には海自、米国、オーストラリア、カナダの各軍の代表者が出席。このうち、自衛艦隊司令官の齋藤聡海将は今回の合同演習について「参加国の海空軍が一堂に会する今回の演習では、戦闘機や空母などが実動することで任務遂行能力を高め、連携強化を図る。こうした訓練で、わが国またはインド太平洋地域の平和と安定、海洋秩序の維持強化に貢献することができる」と説明した。

会見には海自、米国、オーストラリア、カナダの各軍の代表者が出席

 米海軍第7艦隊司令官のカール・トーマス中将は「同じ考えを持っている国々が一つとなって活動できるのであれば、それは抑止力につながる」と強調した。

 今回の合同演習は今月20日まで実施する予定で、海自、米国、オーストラリア、カナダから約30隻の艦艇、40機以上の航空機が参加している。また、オブザーバーとしてフィリピン海軍の幕僚が初めて参加。中国と南シナ海で領有権を争っている同国は、今回の演習に加わることで、中国に対してけん制する意図があるとみられる。

上空から撮影した原子力空母「カール・ビンソン」

撮影はすべて防衛日報社