今回研修を受ける第6即応機動連隊の救急救命士

救急外来での患者受け入れ実習ばど
臨床を現場で学び技能向上

 <北海道>美幌駐6即応機動連隊(連隊長・河村1陸佐)は5月18日、北見市に所在する北見赤十字病院で、同病院主催の5旅団初となる救急救命士に対する再教育にかかる協定書調印式に参加し、荒川穣二院長と協定書を交わした。自衛隊の救急救命士は災害時、災害医療機関要員である准看護士の資格を有する選抜された隊員のみが救急救命士養成所に入校し、救命士の資格を獲得した隊員だ。

記念写真

 北見赤十字病院は、「開かれた災害拠点病院」として、「国内外やオホーツク地域の災害・救護医療を担う」ことを基本方針の一つとして、オホーツク圏における消防署所属の救急救命士の研修に力を入れている。1年前から河村連隊長と前衛生小隊長の藤原2陸尉が病院と協議を重ね、令和5年度から連隊の隊員のみならず、5旅団所属の救急救命士の研修を受け入れてもらった。

今回研修を受ける第6即応機動連隊の救急救命士

 荒川院長からは、「今回の協定により、自衛隊と病院で顔の見える関係を構築、連携強化により北海道に住む人たちの安心安全の生活に寄与できることを確信し、末永い連携が未来への第一歩になることを願う」と述べた。

 河村連隊長からは、「救急救命士の技術は非常に高いが、部隊では臨床ができないことが現状。今回、臨床を病院の現場で学ぶことで救急救命士としての技能の維持向上、モチベーションの維持につなげてほしい」と述べた。

 調印式では、北見赤十字病院から荒川院長、自衛隊から河村連隊長が出席し、協定書にサインを実施。5旅団の救急救命士の7人が受け入れられ、6月から研修を開始する。

協定書に署名及び取り交わし

協定書に署名及び取り交わし

 研修内容として、救急外来での患者受け入れ実習、各病棟での実習、ドクターカー出動時の同行、赤十字病院医師や看護師との講義をしていく。

 今回、参加する6即機連の救急救命士は、「病院との連携や各病棟での実習を経験し、救急救命士としてのスキルアップにつなげていきます」と意気込みを語った。

<編集部より>

 地域とともに歩む自衛隊は、各地に「自衛隊病院」を持ち、隊員に限らず一般の人たちの診察も実施しています。そこには、コロナなどの災害派遣で注目を集めた「医官」と呼ばれる医師、看護師である「看護官」らが日夜、勤務(活動)を続けていますが、それでもまだまだ緊急時や医療・看護上複雑な対応が困難なことがあります。

 2面トップで紹介する美幌駐屯地6即応機動連隊の報告は、こうした事情を少しでも改善するためとも言えるもの。北見赤十字病院と連携し、5旅団の救急救命士に対する実習などの再教育を受け入れてもらう内容です。「臨床がなかなかできない」という連隊長の言葉にあります。その分、病院でしっかりと実習してもらえば、隊員向けだけではなく、一般の人たちにとってもありがたい話。何よりも、地域(病院)との連携が強化されるわけです。いい話題と思い、大きな扱いで掲載しました。

 2面ほかでは、倶知安駐屯地が隊員に対し、飲酒ゴーグルを使った疑似運転体験を実施したお話は、写真もなかなか。屈強な隊員がうまく歩けない様子をデジタル版でご覧ください。

その他の防衛日報の記事はPDFにてご覧ください。

→防衛日報6月6日付PDF