20キロの背のうを背負い、黙々とスキー行進する隊員

 【2023年3月14日(火)2面】 青森駐5普連(連隊長・降籏1陸佐)は2月7日から10日の間、八甲田山周辺地域と小谷演習場で令和4年度「八甲田演習」を実施した。121年前、不幸にして護国の礎(いしずえ)となった山口少佐以下210柱の勇士をしのびつつ諸先輩の遺訓を学び、遺志をまっとうするため、昭和40年に初めて実施し、今年で54回目を迎えた。

 訓練は「地形・気象に応ずるスキー行進速度・隊形の維持および休止間の警戒」を主要演練項目に、冬季のスキー行進の練度向上を図るのが目的。加えて、八甲田山でのスキー行進を通じて陸軍歩兵5聯隊の遺訓を学び、伝統の継承と使命感を醸成する。

スキー行進を演練、210柱の勇士しのぶ

 7日、幸畑陸軍墓地の参拝で連隊長は「謹んでこの地に眠る210柱の勇士の御霊に追悼の意をささげます。歩兵5聯隊の伝統を受け継ぎ、一丸となってあらゆる困難に打ち勝ち、さらなる精強化への決意を新たにして参ります」と訓練出発の辞を述べた。

 8日の八甲田スキー行進には、初参加者59人、女性自衛官17人を含む隊員約580人が参加した。

 各隊員は重さ約20キロの背のうを背負い、4人1組で灯油、水缶、ストーブ、宿営資材を積載した重さ約100キロのアキオを曳行し、小峠を出発。大峠や大滝平を行進し、後藤房之助伍長の立つ馬立場(銅像茶屋)へ向け、行進を開始した。当日の気温は氷点下6度で雪や風も穏やか。視界も良く、体感温度は同7度と天候にも恵まれた。

 初めて八甲田山を歩く隊員も多く、凍傷などの危険性もあったが、各隊員は防寒対策や事前訓練で準備を整え、約4時間の道のりを全隊員が完歩し、無事行進訓練を終えた。その後、深沢地区で雪濠を構築し、警戒しながら宿営した。

 9日は小谷演習場で、夜間のスキー行進を実施。昼間とは違った中での行進は、スキー技術を要したが先輩隊員の助言もあり、厳寒下での対応力を身に付けて多くの教訓を得た。

 5普連は「冬季におけるスキー行進の練度向上と郷土部隊としての伝統の継承、使命感の醸成を図ることができ、これからの任務遂行の自信につなげた」としている。

勇士の銅像に追悼の意をささげ、敬礼した

スキー行進には、隊員約580人が参加。厳寒下の練度を向上した


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陸自9師団(青森駐屯地)
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