弾道ミサイルと推定されるもの(円内。防衛省ホームページから)

 【2023年2月22日(水)1面】 防衛省は2月18日、北朝鮮が同日午後5時21分ごろ、平壌近郊から1発の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイルを、東方向に向けて発射したと発表した。弾道ミサイルは約66分間飛翔(しょう)し、同6時27分ごろ、北海道の渡島大島西約200キロの日本海(日本の排他的経済水域=EEZ=内)に落下したとみられる。北朝鮮のミサイルが日本のEEZ内に落下したのは、昨年11月18日以来で、この時も同じ渡島大島の西約200キロの日本海に落下した。

 防衛省によると、今回の弾道ミサイルの飛翔距離は約900キロ、最高高度は約5700キロ程度と推定される。

 付近を航行する航空機や船舶の被害は確認されていないという。

 岸田文雄首相は「国際社会全体に対する挑発をエスカレートさせる暴挙であり、厳しく抗議した」と述べた。

 また、政府は、官邸危機管理センターに設置している「北朝鮮情勢に関する官邸対策室」で関係省庁からの情報を集約するとともに、緊急参集チームを招集し、対応について協議を行った。防衛省は、関係幹部会議を開催するなど、対応に万全を期した。

防衛大臣「米国全土が射程の可能性」

 18日夜、会見した浜田靖一防衛大臣は、「飛翔軌道に基づいて計算すると、弾頭の重量などによっては1万4000キロを超える射程になり得る。その場合は、米国全土が射程に含まれることになる」と述べた。

 今回の弾道ミサイルは、昨年11月と同様、意図的に高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射されたとみられている。また、Jアラート(全国瞬時警報システム)については、日本の領域に落下したり、上空を通過する可能性がなかったとして発出しなかったとしている。松野博一官房長官は20日午前の記者会見で、11月の弾道ミサイルと同様に新型ICBM「火星15」と同型と推定していることを明らかにした。

 防衛省は「一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域および国際社会の平和と安全を脅かし、関連する安保理決議に違反するもので、北朝鮮に対して厳重に抗議し、強く非難した。国民の生命・財産を守り抜くため、引き続き、米国などとも緊密に連携し、情報の収集・分析、警戒監視に全力をあげる」としている。

 防衛省は2月20日、北朝鮮が同日午前7時ごろ、北朝鮮西岸付近から、2発の弾道ミサイルを、東方向に向けて発射したと発表した。落下したのはいずれも朝鮮半島東側の日本海で、日本のEEZ外と推定される。

 1発目は、午前6時59分ごろ発射し、最高高度約100キロ程度で、約400キロ程度飛翔。2発目は、午前7時10分ごろ発射し、最高高度約50キロ程度で、約350キロ程度飛翔した。20日現在、船舶などへの被害報告などの情報は確認されていない。

弾道ミサイルか 空中で確認

 北朝鮮が2月18日に発射したICBM級弾道ミサイルについて、防衛省・自衛隊は空自2航空団所属のF15、航空救難団所属のU125A、海自2航空群所属のP3Cを発進させ、被害情報の収集を行った。

 この際、F15が発射された弾道ミサイルに関連していると推定されるものを空中で確認した。