浜田大臣が与那国島を視察
「南の砦」で激励

与那国駐で説明を受ける浜田防衛大臣(防衛省ホームページから)

 防衛省などによると、9月21日、浜田大臣は日本の南西の国境防衛の最前線であり、南西地域の防衛体制で最も重要な拠点の一つである与那国島(沖縄県与那国町)を訪れた。

 軍事的な台頭を強める中国による「台湾有事」が警戒されており、与那国島と台湾の間の海域は、中国海軍の艦艇が東シナ海・太平洋間を航行する際の経路の一つとなっている。

 大臣は、与那国駐で与那国沿岸監視隊と空自53警戒隊与那国分遣班からの説明を受け、施設などを視察し、隊員に「一人ひとりの働きが南西地域の安全保障に直結する」と激励した。

 4年版防衛白書では、「日本はその地理的特性から、広範囲にわたり多くの島嶼を有する。そこには、守り抜くべき国民の生命、身体、財産、領土・領海・領空および各種資源が広く存在している」とした上で、「これらに対する攻撃に的確に対応するためには、安全保障環境に即した部隊などを配置するとともに、平素から状況に応じた機動・展開を行うことが必要」と記している。

 対中国防衛の「南西(地域)シフト」は待ったなしの状況にある。

空域でも軍事活動を活発化

 中国の軍事活動は東シナ海をはじめとする空域でも頻繁に行われている。空自によると、また、太平洋や日本海でも活動を拡大・活発化させており、特に、太平洋への進出は高い頻度で行われ、その経路や部隊構成が多様化しているという。

 統合幕僚監部が発表する空自戦闘機による緊急発進回数(スクランブル)によると、2010年度(平成22)以降、中国機と見られるスクランブルが急増しているという。ここ5年の「国・地域別緊急発進回数」を見ても、対推定中国機は同ロシア機の2倍から3倍近くに上っている=グラフ参照。

 また、近年は推定ロシア機との長時間にわたる共同飛行を実施した事案も報告されるなど、両国の連携強化が指摘されている。

首相、安保3文書でも強調

 岸田文雄首相は昨年12月16日の閣議で、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の「安保3文書」の改定を決定したことを受けて記者会見。防衛力強化に向けた3つの具体例の1つに「南西地域の防衛体制の強化」を掲げた。

 この中で首相は、(1)南西地域の陸自の中核となる部隊を倍増する(2)全国から部隊を迅速に展開するための輸送機や輸送船舶を増強する(3)尖閣諸島を守るための海上保安庁の能力増強や、防衛大臣による海保の統制要領を含む自衛隊との連携強化などの取り組みを進める―などと述べた。