前年度同期比56回増 76%が中国機

 【2022年10月19日(水)2面】 2022年度(令和4年度)上半期(4~9月)の空自戦闘機による緊急発進(スクランブル)が計446回あり、前年度同時期(390回)と比べて56回増加したことが、統合幕僚監部が10月14日に発表した「緊急発進実施状況」で分かった。推定を含め、トップは依然として中国機が多く、全体の約76%を占めた。防衛省・自衛隊は、沖縄本島と宮古島間、東シナ海など、南西海空域で相変わらず活発な動きを見せる中国機の動向に警戒を強めている。

 発表によると、スクランブルの対象国・地域別では、中国機に対するスクランブル(推定含む)が340回(全体の約76%)で、前年度同時期の回数(281回)と比べて59回増加した。年度全体のスクランブルが800回を超える高い水準で推移し始めた2013(平成25)年度以降の中でも比較的高い水準となった。

 一方、ロシア機に対するスクランブルは計95回(全体の約21%)で、前年度同時期(102回)よりやや減少した。また、推定を含め、中国機・ロシア機ともに情報収集機に対して最も多くスクランブルを実施した。

 方面隊別の状況でも、対中国機を管轄する南西空が309回(前年度同時期比40回増)と最も多く、これにロシア機を管轄する北空が70回(同24回減)と続き、西空が58回(同36回増)、中空が9回(同4回増)となった。

 統幕によると、22年度は(1)中国「H6」爆撃機とロシア「Tu95」爆撃機が日本海から対馬海峡を通過し、東シナ海、太平洋に至るまでの長距離にわたる共同飛行(5月24日)や、偵察型無人機単独による東シナ海から太平洋の往復飛行、5月3日から同15日まで計11回にわたって実施した中国「J15」戦闘機の艦艇からの発艦の事案など、特異な飛行として20件を公表した。

 防衛省によると、浜田靖一防衛大臣は10月14日の会見で、「中国機の活動を注視するとともに、引き続き警戒監視に万全を期し、厳正に対領空侵犯措置を行っていく」と述べた。

9月は28回減の51回

 統合幕僚監部は10月14日、9月の空自戦闘機による月間緊急発進(スクランブル)の実施状況を発表した。

 状況によると、9月のスクランブルは計51回で8月(79回)から28回減少した。国・地域別(推定含む)では、中国が36回(前月比27回減)で最も多く、ロシアの13回が続いた。方面隊では南西空が32回で最多。