【2022年10月12日(水)1面】 陸自の女性元自衛官が駐屯地に在籍中、性被害を受けていたとして訴えていた問題で、防衛省は9月29日、国会内で本人と面会して謝罪するとともに、セクハラ行為が事実であることを認めた。

 訴えていたのは、五ノ井(ごのい)里奈さん。五ノ井さんは今年6月まで福島県の郡山駐の中隊に所属していた。

 防衛省によると、面会には、同省の町田一仁人事教育局長と陸上幕僚監部の藤岡史生人事教育部長が出席。五ノ井さんに対し、「長く苦痛を受けられた五ノ井様に対し、深く謝罪をいたします。大変申し訳ございませんでした」と謝罪した。

 面会後の会見によると、防衛省の調査の結果、五ノ井さんの所属中隊で性的発言・身体接触が日常的に行われていたことが判明。(1)令和2年秋、警衛所で隊員が性的な身体接触を行った(2)3年6月、演習場での野営に際し、隊員が性的な身体接触や発言を行った(3)同8月、演習場の宿泊施設で隊員が五ノ井さんを押し倒して性的な身体接触を行い、口止めを行った-の3点を確認したという。

 また、(3)の五ノ井さんの被害の訴えに対し、中隊長が大隊長への報告を隠していたことや、事実関係の調査を実施していなかったことを認めた。この中隊では、複数の女性隊員が被害に遭っていた事実も明らかになった。

 「KYODO NEWS」によると、五ノ井さんは、「こうやって認められたというのは、本当に遅い。セクハラをした人たちは直接、謝罪に来てほしい。このようなことが二度とないように、根本的に改善してほしい」と訴えた。

 防衛省は今後の対応について、「さらに細部を確定させた上で、速やかに懲戒処分を実施して公表する。確認した事実については捜査機関に通報する」とし、「有識者会議で、対応についての検証、防衛省・自衛隊におけるハラスメント防止対策の抜本的な見直しを行う」との考えを示した。

 浜田靖一防衛大臣は9月30日の会見で、「上官の対応、複数の事案の存在も含め、極めて深刻な事案であり、誠に遺憾。特別監査をやっている最中であり、なくすための努力を精一杯やっていきたい」と述べた。