【2022年9月6日(火)1面】

「和歌山から宇宙へ」

 和歌山地本(本部長・中尾事務官)は7月18日、和歌山城ホールで「和歌山から宇宙へ 輝け!!未来は君たちが創る。」をテーマに元空自パイロットの油井(ゆい)亀美也宇宙飛行士を招待し、県内の学校に通学している学生を主体に講演会を実施した。講演会には学生や一般の約450人が参加し、熱心に聴講していた。

 油井氏は防衛大学校卒業後、F15パイロットやテストパイロットとして約11年間、空自で活躍した後、宇宙飛行士に選抜された。2015年には国際宇宙ステーションに約142日間長期滞在し、多くのミッションを遂行した。

 講演では、宇宙ステーション滞在中に宇宙の環境を利用した実験や研究、日本実験棟「きぼう」の修理、実験装置などの設置・交換などを行ったことを紹介するとともに、補給機「こうのとり」をロボットアームでキャッチするミッションを成功した体験談の中で、「自分のミッションの前まで米国、ロシアの補給機の打ち上げ失敗が続き、宇宙ステーション内の食料が少なくなってきていたため、かなりプレッシャーがあった」と映像とともに、その時の心境も話した。

 また、無重力のために何百キロもの重い荷物でも一人で持つことができたり、物が浮遊していろいろな所に行ってしまうため、ひもや面ファスナーなどで壁などにつなげているといった話をはじめ、宇宙での生活(食事の仕方、頭髪の洗い方、寝る時の方法など)についても話した。

「夢を持つことが大切」

 油井氏は、宇宙ステーションから見た青く透き通ったきれいな地球の姿やオーロラなどの美しい景色を紹介するとともに、自己の経験を踏まえ、「夢は諦めなければ、何歳でも叶う!!夢を持つことが大切」とのメッセージを発信。約50分の講演はあっという間に終了した。

 講演後は約10分間にわたり来場者からの質疑応答を行い、学生らからの質問に対し、一つひとつ丁寧に答えた。

 最初に質問した子供に対しては、「最初に質問するのは非常に勇気がいる。質問してくれてありがとう」と油井氏から子供に記念品を直接手渡す場面もあった。

 今回の講演では、県内で宇宙に関連した取り組みを実施している大学生や高校生にも声をかけて講演を聴講してもらうとともに、学生たちが作成したロケットや衛星の展示、それに関する説明ポスターおよび動画の展示も行った。

 また、和歌山地本も空自宇宙作戦群の動画や紹介パネルの展示、空自が作成した油井氏の紹介動画を講演前に会場内で上映するなどした。

 和歌山地本は「自衛隊のことを広く知ってもらえるように、各種工夫をしながらさまざまなイベントなどの機会を通じて多くの人に自衛隊を身近に感じてもらい、さらなる理解と協力を促進し、自衛官募集につなげていきたい」としている。

「こうのとり」をロボットアームでキャッチする映像

展示した高校生と記念撮影


◆関連リンク
自衛隊 和歌山地方協力本部
https://www.mod.go.jp/pco/wakayama/