「安保3文書」の改定に強い決意

 【2022年8月19日(金)1面】 第2次岸田改造内閣が8月10日、発足した。防衛大臣には、浜田靖一・自民党元国会対策委員長(66)=衆院千葉12区=が麻生内閣時(平成20~21年)以来、2度目の就任となった。浜田大臣は同12日午後、東京・市谷の防衛省で行われた着任式で「どんな困難に際しても臆することなく、粉骨砕身、職務を全うしていく」などと訓示。防衛力の抜本的強化への取り組みや、年末にも予定されている「安保3文書」の改定など、安全保障環境が厳しさを増す中、リーダーシップを発揮する強い決意を示した。一方、岸信夫前大臣は12日午前の離任式であいさつし、同省を後にした。岸氏は、今回の改造内閣で首相補佐官に任命され、安全保障などを担当することになった。

「日米同盟を一層強化する」

 浜田大臣は12日午後に登庁。防衛省内で栄誉礼を受け、メモリアルゾーンで慰霊碑に献花した後、着任式に臨んだ。

 浜田大臣は、幹部職員らを前に防衛力の抜本的な強化、日米同盟の強化など、岸田文雄首相から指示された7項目について述べた上で、(1)安保3文書などの策定プロセスでは、あらゆる選択肢を排除しない(2)AIの活用や情報戦にかかる取り組みを着実に実行する(3)新領域など、さまざまな分野で日米同盟を一層強化する―など、具体的な所見を語った。

 さらに、「岸前大臣からのバトンをしっかりと引き継ぎ、安全保障の最後の砦としての重責を胸に、諸君とともに一丸となって任務に励む。隊員諸君の精励恪勤(せいれいかっきん)に対し、期待する」と訓示した。

防衛費の増額 「安保環境に対応、必要な事業を積み上げる」

 浜田大臣は組閣の日の10日夜、防衛省内で開いた臨時の記者会見で、防衛費の増額について、「安全保障環境に対応できるように必要な事業を積み上げる」とし、防衛力を5年以内に抜本的に強化していく考えを示した。

 また、日本への攻撃を躊躇(ちゅうちょ)させる「反撃能力」の保有による抑止力強化を念頭に、「地域の安定性を考えた時、もっと踏み込んで考えなければいけない」と強調した。

 一方で、中国が8月4日に台湾周辺海域で行った軍事演習で、弾道ミサイル5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したことに言及。「南西諸島における防衛体制を目に見える形で強化していきたい」と述べ、改めて強い決意を示した。

◇浜田大臣が着任式で述べた主な所見◇

 (1)国家安全保障戦略や防衛大綱などの策定プロセスの中であらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討し、防衛力を抜本的に強化していく

 (2)宇宙・サイバー・電磁波の新領域に加え、AIの活用、情報戦に係る取り組みといった多様な領域における各国の動向を理解し、適応のための対策を迅速に立案し、着実に実行する

 (3)日米ガイドラインに基づき、さまざまな分野で両国の協力を進展させ、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化する

 (4)「自由で開かれたインド太平洋」ビジョンを踏まえ、地域の特性や相手国の実情を考慮しつつ、多角的・多層的な安全保障協力を戦略的に推薦する

 (5)安全保障上のリスクが複雑化する中で、新しい領域をはじめ、グローバルな新たな基準の設定などの国際的な課題に対しても関係国と協力し、引き続き積極的に貢献する

栄誉礼に応える浜田大臣

防衛省・自衛隊ホームページから

◇浜田靖一(はまだ・やすかず)防衛大臣の略歴◇

 昭和30年、千葉県富津市に生まれる。木更津高、専修大経営学部卒。渡辺美智雄衆院議員事務所に入所し、大臣秘書官、浜田幸一衆院議員第1秘書などを務め、平成5年に衆院議員初当選。

 防衛政務次官、衆院安全保障委員会筆頭理事、防衛副長官(当時)、防衛相(平成20年9月~21年9月)、党国会対策委員長、党幹事長代理、衆院平和安全特別委員長、衆院国家基本政策委員会委員長など歴任。衆院千葉選挙区第12区。当選9回。66歳。

(浜田氏ホームページから)

岸大臣が離任 「国民から慕われる組織であり続けて」

 岸信夫前防衛大臣は8月12日午前、防衛省内で離任式に臨み、幹部職員らを前に「24時間365日、国防という共通の目的に対し、ただひたむきに努力を積み重ねる皆さんの姿に接し、感銘を受け、誇らしく思う」と感謝の言葉を伝えた。

 また、防衛力の強化に向け、防衛省が重要な年を迎えていることを踏まえ、「国民の平和な暮らしを確保するため、全省一丸となって実現に向けて取り組んでいただきたい。国民から慕われる防衛省・自衛隊の組織であり続けてほしい」とエールを送った。

 岸氏は、自らの体調面にも言及。「足の調子を崩してから、余計なことや心配をおかけすることが多かった。おわびと御礼を申し上げたい」などと述べた。

 その後、儀仗広場で栄誉礼を受け、花束を贈られると笑みを浮かべて職員らとの記念写真にも応じ、同省正面の階段下で隊員や職員らの拍手に応えた。

幹部や職員に見送られる岸前大臣

 岸氏は同8日の会見で、特に防衛力の強化に注力してきたこの1年を振り返り、「北朝鮮、中国の活動をはじめとした各種の事態、大規模接種センターをはじめとした新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止などの対応に全力を尽くした」「(ロシアによる侵略を受けた)ウクライナに対する装備品などの提供や、『自由で開かれたインド太平洋』の維持・強化に向けた各国との防衛協力・交流など、さまざまな取り組みも実施をすることができた」などと強調していた。

  ◇

 新旧大臣は同12日午後、防衛省の大臣室で事務引き継ぎを行った。

硬い握手を交わす浜田大臣と岸前大臣

防衛省・自衛隊ホームページから

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