【2022年3月23日(水)1面】 北関東防衛局と南関東防衛局は1月20日に「首都直下地震に備えよ」を、同29日に「日本の宇宙開発~宇宙領域の安定的な利用のために~」をテーマに、それぞれオンラインによる合同防衛問題セミナーを開催した。広範な地域からの関心が見込めるテーマで、同時期にオンラインでの開催を計画していたことを踏まえ、首都圏などを管轄する両局で合同開催したとしている。
【首都直下地震】
セミナーでは、基調講演や質疑応答の場を通じ、講師で拓殖大学大学院の濱口和久特任教授から、(1)個々人が備えておくべき物事(2)コロナ禍においては在宅避難が有力な選択肢となる(3)一人ひとりの防災意識の定着などが災害に強い街づくりにつながる―など、防災力向上に直結する数々の説明があった。
また、学校における避難訓練や防災教育で工夫すべき点や必要な点、「共助」の力を最大限発揮するために必要なことなどについて分かりやすい回答があった。
さらに、ジャーナリストの井上和彦氏が、東日本大震災などで被災された方々への生活支援に昼夜の別なく励む自衛隊員の姿、数多くの災害現場における被災者から自衛隊への生の声などについて熱く語ったほか、災害現場における自衛官の使命感、米軍による「トモダチ作戦」などについて懇切丁寧な回答があった。
視聴者からは、「自助、共助の必要性を具体的な事例を多数あげて分かりやすく説明してもらった」「配布資料を社内にも展開し、防災意識の向上に役立てたい」「災害派遣現場の様子をありありと浮かび上がらせる講演だった」などの声が寄せられた。
【日本の宇宙開発】
「令和3年版防衛白書」で特集されている宇宙領域をテーマとした初めての防衛問題セミナー。JAXA宇宙科学研究所の吉川真准教授から、(1)世界各国が取り組んでいる「Planetary Defense」とはどういうものか(2)過去、地球上で起こった天体衝突例とその影響(3)地球に衝突する可能性のある小惑星を発見することの重要性(4)探査機による小惑星の軌道を変える試み―などについて、また、空幕事業計画2課長の林育正1空佐から、空自が行っている「宇宙状況監視(SSA)」の態勢整備の現況、SSAの意義、今後の課題についての講演があった。
視聴者からは、「宇宙開発が地球やわが国を守るために重要な分野だと分かった」「防衛省は民間・他省庁などとの連携を強化すべき」「もっと多くの人が視聴すべき」「どちらの取り組みも、続きをぜひ知りたい」などの感想や意見が寄せられた。
「広く届けることできた」
両局によると、2つのセミナーに全国、海外から計1571人の申し込みがあり、このうちの4割を超える674人は両セミナーへの申し込みがあった(首都直下地震セミナー申込者=1210人、視聴回数=1576回、日本の宇宙開発セミナー申込者=1035人、視聴回数=1740回)。
両局では、この結果について、(1)自衛隊地本などの協力を得て広範な地域で広報活動を行ったこと(2)再配信またはアーカイブ配信の実施により視聴者の都合に配慮したこと(3)申し込みフォームを共通化したこと―などの表れと見ている。
両局は「防衛政策や自衛隊の活動について広く視聴者に届けることができた。今後も防衛省の諸施策や取り組み、自衛隊の活動について、より多くの人に理解を深めてもらえるよう、さまざまなテーマで、開催方法を工夫して実施していく」としている。