【2022年3月3日(木)2面】 <大分>玖珠駐西部方面戦車隊(隊長・山口1陸佐)は2月17日、用途廃止となる74式戦車(通称ナナヨン)の最後の2両の輸送に併せ、「送別行事」を行った。74式戦車の同駐での歴史は、昭和62年、4戦車大隊にまず配備され、同63年に8戦車大隊に配備となった。当時の隊員たちは、新戦車の性能などに驚きと期待を膨らませて各種訓練に臨んだ。

 74式戦車は、第1世代の61式戦車の後継として幾多の試作改良を経て開発された国産第2世代の陸自主力戦車。地を這うような低姿勢で避弾形状に優れた流線形のシルエットが特徴だ。

 また、105ミリメートル戦車砲にレーザー測遠機、弾道計算機、砲安定装置などを備えるとともに、油気圧懸架装置を組み込み、山地の多い日本の地形に適合した射撃姿勢を確保できるなど、より迅速・正確な射撃を可能。4戦車大隊、8戦車大隊の隊員とともに、昭和の時代から平成にかけて、切磋琢磨(せっさたくま)しながら練度を向上してきた。

 74式戦車 乗員=4人▽全備重量=約38トン▽全長=9.41メートル▽全幅=3.18メートル▽全高=2.25メートル(砲塔上面まで標準姿勢)▽旋回性能=超信地▽最高速度=53キロメートル/h-など。

 105ミリ戦車砲を搭載し、レーザ測遠機、弾道計算機、砲安定装置などを持ち、正確・迅速な射撃ができる。空冷ディーゼルエンジンおよび姿勢変換のできる油気圧懸架装置を持ち、路上および路外走行性能に優れ、また、潜水渡渉も可能。低姿勢であり、優れた防護力を有する。通称「ナナヨン」(陸自ホームページから、写真も)。

 今、時代の流れとともに、戦車も90式、10式と最新の装備を引き継がれて進化を続けている中、74式戦車の制式化から実に48年。玖珠駐への最初の配備から35年間にわたり、駐屯地の歴史とともに歩んできた「ナナヨン」は、ここ九州での任務を全て終えることとなった。

 当日は、午後9時から新たな「命」に生まれ変わるため、隊員から惜しまれながら駐屯地を後にした。駐屯地近傍の沿道には、戦車隊のOBの先輩方も見送りに駆け付け、最後の雄姿を見届けた。