【2022年3月2日(水)1面】 復興庁と福島県、各市町村は、原発周辺自治体から福島県内外へ避難している住民に対し、早期帰還・定住に向けた環境整備ための情報収集を目的に「令和3年度 原子力被災自治体における住民意向調査」を共同で実施した。

 対象自治体は南相馬市、双葉、富岡、浪江、大熊各町、葛尾村の6市町村で、双葉町を除くすべての市町村では「避難指示」の一部が解除されている。昨年8~11月にそれぞれの自治体で実施され、2月18日、復興庁から発表された。

 調査結果(概要)によると、対象の住民のうち6~7割が60歳以上で、双葉、富岡、浪江、大熊の4町では「戻りたい」と回答した人が2年度よりわずかに増加した。

 一方で、「まだ判断がつかない」と答えた人は、双葉=24.8%▽富岡=13.0%▽葛尾=20.7%▽浪江=24.9%▽大熊=23.3%-など2割程度いることがわかった。

 この中で帰還を判断するために必要な条件を見ると、「医療機関の拡充など」「商業施設の充実」「住民の帰還状況」が上位に挙げられていたほか、大熊町では「病院、道路、公共交通などの社会基盤(インフラ)の復旧時期の目途」が1位となった。

 このほか、「戻らない」と回答した人の理由として多かったのは、「すでに生活基盤ができているから」「医療環境に不安があるから」「避難先の方が、生活利便性が高いから」などだった。