前週の防衛省・自衛隊の動きをチェックできる週報記事を毎週月曜日の通勤・通学時間にお届けします。
2022年2月12日(土)
トンガ支援の輸送艦「おおすみ」が本島を出港
◯国際緊急援助統合任務部隊の輸送艦「おおすみ」は、トンガへの緊急援助物資の引き渡しと給水支援を終え、トンガタプ島(トンガ王国の本島)を出港した。
「おおすみ」は9日に日本からの緊急援助物資を届け、11、12の両日は本島への給水支援を実施。14日からは離島への飲用水輸送を行った。
馬毛島の施設整備で岸防衛相と鹿児島知事が意見交換
◯岸信夫防衛大臣は、塩田鹿児島県知事と馬毛島での自衛隊施設整備に関する意見交換を行った。
馬毛島は、日本の防衛、大規模災害時の活動や訓練の拠点となるとともに、米空母艦載機着陸訓練の実施も予定されている。
防衛省・自衛隊は「今後も、地元自治体と緊密に連携しながら、施設整備を進めていく」としている。
2022年2月13日(日)
墜落したF15の操縦者2人を確認
◯航空自衛隊小松基地所属のF15戦闘機の墜落事故について、捜索活動を続けていた海上自衛隊が操縦者1人を発見・収容した。その後、航空自衛隊の航空機が海自艦艇から空自小松基地に搬送し、捜索していた2人目の操縦者であることを確認した。
もう1人の操縦者は、2月11日(金)に発見され、小松基地で確認されていた。
搭乗員は、空自航空戦術教導団飛行教導群司令の田中公司1空佐(52歳)と同群教導隊の植田竜生1空尉(33歳)。
自衛隊は、引き続き周辺海域などで当該機などの捜索を続けている。また、これまでのところ、船舶などの被害情報は確認されていない。
2022年2月14日(月)
大阪北浜大規模接種会場の運用がスタート
◯午前8時から、自衛隊大阪北浜大規模接種会場(大阪市中央区今橋)で、3回目のワクチン接種が始まった。
防衛省・自衛隊は「国民の皆様に安心して接種いただけるよう、官民で協力して取り組んでいく」としている。
南スーダン派遣隊員が岸防衛相に帰国報告
◯岸防衛大臣は、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)の司令部に派遣されていた隊員2人から帰国報告を受けた。
中村3陸佐(兵站幕僚)と金塚3陸佐(航空運用幕僚)は、約1年にわたり司令部要員として勤務し、南スーダンと周辺諸国の平和と安定に貢献した。
防衛省・自衛隊は、「これまでの国連平和維持活動(PKO)で蓄積した経験を生かし、今後も国際社会に貢献していく」としている。
鬼木防衛副大臣が海自厚木航空基地を視察
◯鬼木誠防衛副大臣は、海上自衛隊厚木航空基地を訪れ、第51航空隊と航空プログラム開発隊を視察した。
厚木航空基地には海上自衛隊航空部隊の総司令部である航空集団司令部が所在し、その他の所在部隊とともに航空部隊の任務を支える重要な役割を担っている。同基地は海上自衛隊と米海軍が共同使用しているが、滑走路維持整備や航空管制業務などの飛行場としての主な機能は海上自衛隊が管理している。
鬼木副大臣は、両部隊の任務などについて報告を受けるとともに、P1哨戒機への体験搭乗を行い、飛行訓練の状況を確認した。
宮古島沖を中国のミサイル駆逐艦が航行
◯海上自衛隊は午後10時ごろ、宮古島(沖縄県)の北北西約440kmの海域を南東進する中国海軍ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻を確認した。
その後、当該艦艇は沖縄本島と宮古島との間の海域を南東進し、太平洋に向けて航行した。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第5航空群(那覇)所属のP3C哨戒機、第7護衛隊(大湊)所属の護衛艦「まきなみ」により、所要の情報収集・警戒監視を行った。
自衛隊の大規模接種 東京は2万9609回
◯防衛省は、2月7日(月)から2月13日(日)までに自衛隊が東京・大阪の大規模接種会場で実施した新型コロナウイルスワクチンの接種回数を発表した。
東京は2万9609回、大阪は6505回だった。
2022年2月15日(火)
2月に入りロシア海軍の動きが活発化
◯統合幕僚監部は、2月1日以降に確認したロシア海軍艦艇の動向について公表した。
発表によると、日本海およびオホーツク海の南部でロシア海軍のウダロイ級駆逐艦、ステレグシチー級フリゲートなど24隻を確認した。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第2航空群(八戸)所属のP3C哨戒機、第7護衛隊(大湊)所属の護衛艦「しらぬい」により所要の情報収集・警戒監視を行った。
ほかの艦艇の写真はこちら(1ページ、2ページ、3ページ、4ページ、5ページ、6ページ、7ページ、8ページ)。
中国の情報収集機を沖縄周辺で確認
◯統合幕僚監部は、中国機による沖縄周辺の東シナ海および太平洋での飛行があったと公表した。
防衛省・自衛隊は、中国のY9情報収集機を1機に対し、戦闘機を緊急発進させるなどして対応した。
日英が次世代レーダシステムの共同研究を開始
◯防衛省と英国国防省は、将来的に戦闘機に搭載することを見据えたレーダシステムに関する共同研究(次世代RFセンサシステムの技術実証)を開始した。
従来のレーダシステムは、1本の細いビームを一定の間隔で異なる方向に振り向けることにより、順次探索を進めていく。これに対し、今回の共同研究では、多数の受信ビームを同時に形成することで広範囲を瞬時に探索することを可能とする。
防衛装備庁は「このような航空機搭載用レーダシステム技術は他国でも実用例がなく、この技術を確立することにより、将来的に戦闘機の索敵能力(電波センサ能力)を大幅に向上させることが期待される」としている。
防衛省が安全保障・防衛政策の講演やセミナーを補助
◯防衛省は、シンクタンクなどの法人が安全保障や防衛政策に関する講演会やセミナーを開催する場合、必要経費の一部を補助する「令和4年度防衛政策等普及啓発事業費補助金」の募集要領をホームページに掲載した。
https://www.mod.go.jp/j/proceed/hojokin/index.html
2022年2月16日(水)
自衛隊派遣から30年 カンボジアとの防衛協力を強化
◯岸田文雄内閣総理大臣、岸信夫防衛大臣、山崎幸二統合幕僚長は、陸上自衛隊の公式招待で訪日中のカンボジア王国のフン・マネット王国軍副司令官兼陸軍司令官の表敬を受けた。
岸田首相は、2022年は日本がカンボジアに自衛隊を派遣してから30周年であり、この記念すべき年に両国の防衛協力関係をより一層進展させたいと述べ、フン・マネット陸軍司令官の訪日を歓迎した。来年の日カンボジア外交関係樹立70周年を2国間関係のさらなる発展の機会とするため協力していきたいとし、カンボジアのASEAN議長国就任を歓迎。日本としてもできる限り協力をしていきたい旨を述べた。
岸防衛大臣は、防衛省で懇談。防衛当局間で緊密なコミュニケーションを継続するとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向け、2国間防衛協力・交流を引き続き強力に推進していくことを確認した。
山崎統幕長とフン・マネット司令官の懇談では、両国が戦略的パートナーとして、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、さらに協力を深化させることで一致した。
陸上自衛隊は14日から17日の間、フン・マネット司令官を公式に招待し、習志野駐屯地(千葉)、富士学校(静岡)を案内した。
習志野駐屯地では装備品展示、訓練展示などの視察を通じて、陸自への理解を深めるとともに、陸上幕僚長の吉田圭秀陸将と懇談。国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の初代派遣施設大隊長を務めた渡邊隆元陸将とも懇談した。
富士学校では、10式戦車の射撃研修や野戦などに係る最新の装備品展示を通じて、陸自に対する理解をさらに深めた。
NATO派遣任務完遂の古賀2空佐が帰国報告
◯北大西洋条約機構(NATO)本部諮問・指揮統制幕僚部への2年間の派遣任務を完遂した古賀2空佐が、岸防衛大臣に帰国報告を行った。
古賀2空佐は、日・NATO国別パートナーシップ協力計画(IPCP)の一環としてNATOに派遣され、情報データ管理課でNATOにおける情報・通信分野の相互運用性の向上に貢献した。
岸防衛大臣は、コロナ禍の困難な状況下でも、NATOに派遣された3人目の自衛官として、無事任務を完遂したことをねぎらった。
防衛省は「引き続き、IPCPに基づき、NATOとの防衛協力・交流を推進していく」としている。
15日に続き、沖縄周辺で中国機を確認
◯統合幕僚監部は、中国のY9情報収集機1機が沖縄周辺の東シナ海および太平洋を飛行したと公表した。
防衛省・自衛隊は、戦闘機を緊急発進させるなどして対応した。中国の情報収集機は15日にも同空域で確認されている。
中国艦艇が再び宮古島沖を航行
◯海上自衛隊は午後2時ごろ、宮古島(沖縄県)の東南東約200kmの海域を北西進する中国海軍ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻を確認した。
その後、当該艦艇は沖縄本島と宮古島との間の海域を北西進し、東シナ海へ向けて航行した。当該艦艇は2月14日(月)に宮古島の北北西海域で確認され、その後、沖縄本島と宮古島との間の海域を南下したものと同一である。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第5航空群(那覇)所属のP3C哨戒機と第1海上補給隊(呉)所属の補給艦「とわだ」により、所要の情報収集・警戒監視を行った。
ロシア艦艇9隻を宗谷岬沖で確認
◯海上自衛隊は午後10時ごろ、宗谷岬(北海道)の北北東約60kmの海域を南西進するロシア海軍タランタルⅢ級ミサイル護衛哨戒艇6隻、オホーツク級航洋えい船1隻、ペラ級航洋えい船隻およびトプリボⅢ級油船1隻の合計9隻を確認した。
その後、これらの艦艇は宗谷海峡を西進した。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第2航空群(八戸)所属のP3C哨戒機により、所要の情報収集・警戒監視を行った。
「防衛シンポジウム」の参加申し込み始まる
◯防衛省は、3月2日に開催予定の「令和3年度防衛省シンポジウム」の参加申し込み開始を開始した。
今回のタイトルは「防衛省×SDGs」。防衛省・自衛隊のSDGs(持続可能な開発目標) につながる取り組みをWebセミナー(オンライン)方式で詳しく解説する。動画配信を行い、視聴者からチャットで質問も受け付ける。参加無料。
申し込みはこちら(締め切りは3月1日午後11時59分まで)
防衛装備庁が防衛関連企業と意見交換
◯午後2時から3時30分、防衛装備庁と防衛関連企業(主要15社)との意見交換会が防衛省で開催された。
防衛装備品の生産・運用・維持整備に必要不可欠な基盤である国内の防衛産業の強化、官民連携の促進のため、防衛装備庁と防衛装備品を製造している主要な企業との間で、双方が認識している問題や課題を共有するのが目的。
防衛省装備庁からは鈴木防衛装備庁長官らが出席し、防衛装備品を製造する企業15社の執行役員らと意見交換した。
2022年2月17日(木)
空自がベトナム空軍の捜索救難能力構築を支援
◯2月14日から17日の間、ベトナム・ハノイで、ベトナム防空・空軍を対象とした航空救難分野の能力構築支援を行った。
現地に派遣された航空自衛隊航空救難団等の要員とベトナム防空・空軍の参加者は、捜索救難に関する専門的知見を共有。双方にとって有益な交流となった。
防衛省・自衛隊は、「本事業を通じ日越間の防衛協力をさらに発展・強化していく」としている。
海自が米空母と沖縄東方で共同訓練
◯海上自衛隊は16、17の両日、日米同盟の抑止力・対処力を強化するため、米海軍と共同訓練を実施した。海自の戦術技量および米海軍との相互運用性の向上が目的。
訓練は沖縄東方の海空域で実施され、海上自衛隊から護衛艦「いなづま」、練習艦「はたかぜ」、米海軍から空母「エイブラハム・リンカーン」、巡洋艦「モービル・ベイ」、駆逐艦「スプルーアンス」が参加。各種戦術訓練を行った。
南スーダン国際平和協力隊員が帰国式
◯午前10時45分から、南スーダン国際平和協力隊員(司令部要員)の交替に伴う帰国式が開かれた。
帰国式は中央合同庁舎第4号館で行われ、赤池内閣府副大臣、小田原外務副大臣、中曽根防衛大臣政務官、内閣府国際平和協力本部事務局、防衛省および外務省関係者らが出席。司令部要員人は、帰国を報告した。
岸防衛相と豪国防大臣がウクライナ情勢など話す
◯午後4時から約30分、岸防衛大臣とオーストラリアのダットン国防大臣が電話会談を行った。
岸大臣は、日本のトンガ王国における国際緊急援助活動の実施にあたり、自衛隊の輸送機の受け入れなど多岐にわたる支援を豪州から得たことへの感謝を伝えた。また、昨年9月に防衛省が初めて主催した多国間防衛相会合である日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD)への豪代表者の参加や、南太平洋国防大臣会合(SPDMM)への日本のオブザーバー参加に向けての豪州からの支援に対しても感謝の言葉を述べた。
両大臣は、1月6日の日豪首脳会談で日豪円滑化協定(RAA)が署名に至ったことを歓迎。共同訓練や災害救助などのより大規模かつ複雑な協力活動を円滑に実施することを通じ、これまで培ってきた2国間の安全保障・防衛協力を新たな段階に引き上げることで一致した。
さらに、両大臣はウクライナ情勢について意見を交換。ウクライナ情勢をめぐる問題は、この地域だけではなく、国際社会全体に影響を及ぼすグローバルな問題であり、共に「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて連携する日豪両国にとっても、看過することができない重大な問題であるとの認識を共有した。
トンガへの緊急援助活動が終結
◯火山噴火により被災したトンガ王国に対する自衛隊の緊急援助活動が終了した。
自衛隊は1月20日以降、国際緊急援助活動統合任務部隊、国際緊急援助空輸隊などによる国際緊急援助活動を実施してきたが、日本の緊急援助物資の引き渡しが終わったことなどを踏まえて、17日、岸防衛大臣は「国際緊急援助活動等の終結に関する自衛隊行動命令」を発出した。
これにより、トンガ王国周辺の海域で活動していた輸送艦「おおすみ」は現地での活動を終了。3月上旬にも帰国する。また、C130輸送機2機、C2輸送機についても日本での待機を終了した。
自衛隊の活動実績をまとめると、C130輸送機2機が1月22日から2月2日の間、4回の物資輸送を実施し、飲用水、高圧洗浄機、缶詰等の約17トンの緊急援助物資を実施。
また、輸送艦「おおすみ」は飲用水、火山灰撤去のための用具など約210トンの緊急援助物資など(うちCH47大型輸送ヘリコプターにより離島に輸送された約30トンの飲用水を含む)を届けた。
統合幕僚監部は、活動終了にあたり、現地から届いた派遣統合任務部隊指揮官のメッセージを公開している。
2022年2月18日(金)
岩本防衛政務官が陸海空補給部隊を視察
◯岩本剛人防衛大臣政務官は、陸上自衛隊十条駐屯地、海上自衛隊十条地区、航空自衛隊十条基地を視察した。
十条駐屯地は北関東防衛局・陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊が共同使用しており、陸海空の補給部隊がそれぞれ必要な装備品などの調達、保管、補給などを行っている。