前週の防衛省・自衛隊の動きをチェックできる週報記事を毎週月曜日の通勤・通学時間にお届けします。

2022年1月8日(土)

金正恩総書記の誕生日、北朝鮮で報道されず

 ◯北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が1月8日に誕生日を迎えた。しかし、同国のメディアが誕生日について報道しなかったことから、韓国のメディアなどが北朝鮮の現状について新たな見方を示していると、NHKのNEWSWEBが報じた。

 金正恩総書記の年齢は公表されていないが、韓国統一省は1984年生まれとしており、38歳になったと推測している。

 金氏が最高司令官に就任して10年目に突入。近年は長引く経済制裁とコロナ禍で国民生活が疲弊しており、金正恩総書記の偶像化を進められない国内事情から、誕生日の報道がされなかったという見方が出ている。

2022年1月9日(日)

海賊対処41次隊出国 中東の情報収集も任務に

 ◯海上自衛隊呉基地(広島県)で第41次派遣海賊対処行動水上部隊の出国行事が行われた。行事には中曽根康隆防衛大臣政務官が出席し、隊員を激励した。

防衛省・自衛隊ホームページより

 出国する護衛艦「さみだれ」は5回目の派遣。海賊対処行動水上部隊は、ソマリア沖・アデン湾で発生している海賊行為から船舶を保護する任務を担っている。今回から中東地域における日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動も兼務する。

 防衛省・自衛隊は「引き続き、両任務の実施に万全を期していく」としている。

海上自衛隊呉地方隊ホームページより

2022年1月10日(月)

在沖縄米軍関係者の外出を制限

 ◯沖縄県で新型コロナウイルスの市中感染が急拡大している状況を受け、1月10日からの2週間、米軍関係者の基地からの外出が制限される。外務省が9日、日米合同委員会声明として発表した。

 沖縄県では米軍基地でオミクロン株のクラスターが発生。在沖縄米軍では9日、これまで最多の429人の陽性が確認され、感染者の累計が5000人を超えたが、外出が制限されていなかった。

2022年1月11日(火)

北朝鮮が弾道ミサイル発射の可能性

 〇防衛省によると、午前7時25分ごろ、北朝鮮の内陸部から弾道ミサイルの可能性があるものが少なくとも1発、東方向に発射された。

 詳細は分析中だが、通常の弾道軌道だとすれば約700km未満飛翔し、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定される。

 防衛省・自衛隊は「詳細を分析し、公表すべき情報を入手した場合、速やかに発表する」としている。

防衛省発表資料より

沖縄の新型コロナ市中感染拡大で災派出動

 ◯沖縄県で新型コロナウイルスの市中感染が拡大している問題で、午前10時13分、沖縄県知事から陸上自衛隊第15旅団(那覇駐屯地)に災害派遣要請があった。

 自衛隊は、沖縄県立北部病院(那覇市)と同中部病院(うるま市)に看護官、准看護師合わせて10人(後方支援要員を除く)を派遣。国などから看護師などが派遣されるまでの間、両病院で新型コロナウイルス感染症患者の健康管理、医療支援、介助業務などを行う。派遣時期は11日から17日までの予定。

統合幕僚監部ツイッターより

岸防衛相、年頭の辞 「防衛力の強化」へ決意

 ◯防衛省・自衛隊のホームページに岸信夫防衛大臣の令和4年「年頭の辞」の動画がアップされた。

 岸大臣は、日本の安全保障環境と必要な防衛力の強化について述べ、その上で、各部隊、組織、隊員に「確実な対処のためにどのような準備が必要か、常に考えていただきたい」と呼び掛けた。

 また、昨年の活動を振り返るとともに、いま防衛省・自衛隊に求められているのは「国民の安全・安心を第一に考えればどうすればよいか」であるとし、「防衛大臣として常にそうした意識をもって仕事にあたりたい」と決意を述べた。

岸防衛大臣「年頭の辞」令和4年1月11日

www.youtube.com

空自戦闘機6機が米爆撃機と共同訓練

 ◯航空自衛隊は、戦術技量の向上と日米同盟の抑止力・対処力の強化のため、米軍との共同訓練を実施した。

 訓練は日本海および三沢東方の太平洋上の空域で実施され、航空自衛隊第3航空団(三沢)所属のF35A戦闘機2機、第6航空団(小松)所属のF15戦闘機2機、第7航空団(百里)所属のF2戦闘機2機、米空軍のB1爆撃機2機が参加。要撃戦闘と編隊航法を訓練した。

航空自衛隊報道発表資料より

2022年1月12日(水)

岸防衛相が北のミサイル発射で臨時会見

 ◯岸防衛大臣は防衛省で臨時記者会見を開き、前日に北朝鮮が発射した弾道ミサイルとみられる飛翔体について記者の質問に答えた。

 今回発射されたミサイルは「非常に低軌道、50km程度でマッハ10と推測されている」と説明。北朝鮮が主張している「極超音速兵器」か否かについては明言しなかった。

 北朝鮮は5日にもミサイルを発射しており、岸大臣は「北朝鮮はこれまでの発射を通じて関連技術や運用能力の向上を図っており、昨今の北朝鮮による滑空ミサイル関連技術の著しい発展は、日本および地域の安全保障にとって看過できない」と非難。「政府として、こうした状況を踏まえて、いわゆる『敵基地攻撃能力』の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでいく」と述べた。

自衛隊の大規模接種会場、再設置へ

 ◯防衛省・自衛隊は、鬼木誠防衛副大臣(大規模接種推進本部長)の下、第1回大規模接種推進本部会議を開催した。

 11日、新型コロナウイルスの再拡大を受け、岸田文雄首相が「自衛隊による大規模接種会場を設置する」旨の発言をし、岸防衛大臣から設置に必要な準備を速やかに開始するよう指示があった。

防衛省・自衛隊ツイッターより

 防衛省・自衛隊は、地方自治体のワクチン接種に係る取り組みを後押しするための大規模接種会場の設置・運営を円滑、効果的に推進することを目的として、大規模接種推進本部を新たに設置。「これまでに得られたさまざまな知見も活用し、大規模接種会場の設置場所、設置・運営、開始時期などについて来週早々にも結論を出す」としている。

鬼木副大臣が駐日イラン大使と意見交換

 ◯鬼木誠防衛副大臣は、ラフマーニ・モヴァッヘド駐日イラン大使の表敬を受けた。日本とイランは伝統的に友好関係にある。

防衛省・自衛隊ツイッターより

 両者はペルシア湾岸地域の安定について、意見を交換。鬼木副大臣は、自衛隊の派遣海賊対処部隊が行う中東地域における情報収集活動について説明した。

ベトナム軍に水中不発弾処分をレクチャー

 ◯防衛省・自衛隊は、ベトナム人民海軍に対して、水中不発弾処分に関するセミナーをオンラインで開催した。セミナーでは、海上自衛隊の有する水中不発弾処分に関する講義を行い、ベトナム軍の知識向上に貢献した。

防衛省・自衛隊ツイッターより

 防衛省・自衛隊は「日本とベトナムは『新たな段階に入った日越防衛協力』の下、両国がそれぞれの持つ強みやリソースを活かしながら、具体的な取り組みを進めていくことで一致しており、地域と国際社会の平和と安定に向けて一層積極的に貢献していく」としている。

2022年1月13日(木)

山崎統幕長がインド太平洋参謀長等会議に参加

 ◯統合幕僚長の山崎幸二陸将は、米インド太平洋軍主催のインド太平洋参謀総長等会議に参加した。

 今回の会議では、インド太平洋諸国などの参謀総長らがテレビ会議形式により、同地域の安全保障について意見を交換。特に、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」がもたらす平和と安定と繁栄は、いずれの国にとっても欠くことのできないものであり、これらの実現のため、インド太平洋諸国が連携していくことの重要性について共有した。

 また、引き続き、「各国といかに協力するか」について議論を深めていき、具体的な協力を強化・推進していくことの重要性について確認した。

統合幕僚監部ツイッターより

第1空挺団が米軍と「降下訓練始め」

 ◯陸上自衛隊のパラシュート部隊(第1空挺団)が、習志野演習場(千葉県船橋市など)で「降下訓練始め」を行った。

 「降下訓練始め」は、1年間の安全を祈願する毎年恒例の行事。約550人の自衛隊員とアメリカ空軍約20人が参加し、離島奪還作戦の一環として、輸送機からパラシュートで次々に降下する「空挺作戦」を訓練した。今回の訓練では、敵の通信を妨害する「ネットワーク電子戦システム(NEWS)」も初投入された。

 新型コロナの感染拡大防止のため、通常であれば1万人以上が訪れる一般公開は、去年に続いて中止された。

防衛省・自衛隊ツイッターより

北朝鮮情勢めぐり日米韓3カ国が電話会議

 ◯日米韓3カ国の防衛当局は、局長級の電話会議を開催した。

 会議には、増田防衛政策局長、ラトナー米国防省国防次官補、キム韓国国防部国防政策室長が各国の代表者として出席。先般のミサイル発射を含む北朝鮮情勢、地域の安全保障および3カ国の安全保障協力の強化について議論した。

 日本からは、北朝鮮の完全な非核化や弾道ミサイルの放棄を検証可能、不可逆的な方法で求める、すべての関連する国連安保理決議に従って、北朝鮮が国際的な義務を完全に遵守するという国際社会の共通目標の達成に向けて、日米韓が緊密に連携することの重要性を改めて提起した。

 防衛省は、「今後も閣僚レベルの交流を含むさまざまな機会を活用し、日米韓3カ国 の連携を強化していく」としている。

2022年1月14日(金)

ハイテク戦担う貸費学生の受け付け終了

 ◯理学・工学部の大学生・大学院生が対象となる自衛隊の令和3年度自衛隊貸費学生(技術)の募集が14日に締め切られた。

 「貸費学生(技術)」とは、陸・海・空自衛隊の装備品をハイテク化、国産化を目指し主に研究開発の分野で活躍する有為な人材を養成するため、大学の理学部・工学部または大学院修士課程の指定する学部の学生から選考して学資金を貸与し、その修学を助成する制度。

 宇宙・サイバー・電磁波などの新領域への対応などで研究開発分野の重要性が増しており、これからの日本を守るためのスペシャリストとして期待されている。

 合格すると、卒業(修了)後は所定の手続により陸・海・空自衛隊の一般幹部候補生として採用される。 

防衛省・自衛隊ホームページより

 試験は1月29日に行われ、一定の条件を満たせば、貸与金の全額または一部の返還が免除される。

 貸費学生についてはこちら
 https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/recruit/taihigakusei.html

北朝鮮が弾道ミサイル発射の可能性 今月3回目

 ◯防衛省は午後3時過ぎ、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表した。北朝鮮は5日、11日にも弾道ミサイルを発射しており、今年に入り3回目。詳細については、情報が入り次第、報告するとしている。