「防衛白書」を制作している防衛省の防衛白書事務室が、新たな試みとして全国の中学生・高校生に「一緒に『はじめての防衛白書(第2版)』をつくりませんか?」と呼び掛けている。応募は個人ではなく、学校の新聞部などが対象となるが、企画のアイデアを出したり、記者として現場の自衛官にインタビューするチャンスもあるという。

「はじめての防衛白書」とは?

 防衛省は昨年、初めての試みとして、中高生向けに「はじめての防衛白書」を発刊した。将来の日本を担う中高生に、日本を取り巻く安全保障環境をより深く理解してもらうための施策の一環。背景には、安全保障をめぐる状況の大きな変化がある。

 「はじめての防衛白書」への中高生の参加を企画した防衛白書事務室の柴田裕里室長に、その狙いを伺った。

防衛白書事務室の柴田裕里室長

 柴田室長「昨年の8月に、通常の『防衛白書』とは別に、中高生をメインターゲットにした『はじめての防衛白書』を製作しました。その時は私たちが防衛白書の内容をかみ砕いて、中高生が理解しやすいようにまとめましたが、今度は企画の段階から中高生にも参加してもらい、若い世代がさらに興味を持てる内容にしようというのが狙いです」

――今、中高生に参加してもらう意義は?

 柴田室長「ひと昔前までは、国防や安全保障のことは一般の人からは遠い話で、軍事や外交の専門家だけが考えればよいという風潮がありました。ところが、『ハイブリッド戦』では、サイバー攻撃による通信や重要インフラの妨害、インターネットやメディアを利用したフェイクニュースなどによる情報操作など、一般の人も無関係ではいられなくなっています」

長期化する「グレーゾーン事態」

 また、柴田室長は、「私たち現代人は、『グレーゾーンの事態』という、平時でも有事でもない状況の中で暮らしていることをしっかり認識する必要があります」という。どういうことなのだろうか?

 例えば、近年では国家間で、領土、主権、海洋を含む経済権益などについて主張の対立があるとき、武力攻撃に当たらない範囲で、実力組織などを用いて問題に関わる地域において頻繁にプレゼンスを示すことなどにより、現状の変更を試み、自国の主張・要求の受け入れを強要しようとする行為が目立ってきており、これが「グレーゾーン」に該当する(もちろん武力攻撃が行われる場合もある)。

 こうした「グレーゾーンの事態」は長期化することが予想され、将来の日本を担う現在の中高生が大人になるころには、さらに複雑な様相を呈している可能性がある。

 柴田室長「だからこそ、若い世代に早くから国防や安全保障環境に関心を持ってもらい、知見を深めてもらうことが必要になります」

キミも自衛官にインタビューしてみよう!

 「はじめての防衛白書」は、2021年の8月に「第1版」が発行されたばかり。「防衛白書」は充実した内容を誇っているが、中高生にとっては少々ハードルが高いところもある。そこで、項目を絞り込み、説明を平易にして、漢字にはルビをふり、イラストを加えるなどの工夫を凝らし、32ページにまとめた。

▼「はじめての防衛白書」のデジタル版はこちら
https://www.mod.go.jp/j/kids/wp/index.html

 今回の「第2版」では、中高生がさまざまな職種の隊員にインタビューして記事を作成する。応募の締め切りは1月20日(木)まで。興味のある人は、急いで先生に相談してみよう!

▼募集案内は下記ページより