前週の防衛省・自衛隊の動きをチェックできる週報記事を毎週月曜日の通勤・通学時間にお届けします。
2021年12月11日(土)
岸防衛相が宮城県の2駐屯地を視察
◯岸信夫防衛大臣は、陸上自衛隊の仙台駐屯地、多賀城駐屯地を視察し、所在する部隊の活動状況について報告を受けたほか、所属する隊員に対し訓示を行った。
仙台、多賀城両駐屯地が共に属する東北方面隊は、東北6県の防衛・警備、災害派遣、民生協力(不発弾の処理、行事の支援、教育支援など)を担当している。
岸大臣は自身のツイッターで「今年は東日本大震災から10年。訓示でも述べましたが、私達はあの日を忘れてはなりません。トモダチ作戦での日米の絆や、被災当時の初動の話を直接聞くことが出来ました」と述べた。
防衛省・自衛隊は「東北各地の13個駐屯地で、約2万人の隊員がその任務を全うするため、揺るぎない信念と気概をもって日々訓練や各種活動に邁進している」としている。
2021年12月12日(日)
岸防衛相が空自松島基地を視察
◯岸防衛大臣は、航空自衛隊松島基地を視察し、所在する部隊の活動状況について報告を受けたほか、所属する隊員に対し訓示を行った。
松島基地は、F2戦闘機操縦者の養成、ブルーインパルスによる空の広報、救難部隊による空の防災という3つの任務を担うとともに、東北地域における災害対処の拠点となっている。
松島基地は「日頃から地方公共団体などと連携を密にし、態勢の維持・強化を図っている」としている。
また、岸大臣は東松島市の東日本大震災復興祈念公園を訪れ、震災の犠牲者への追悼の意を込めて慰霊碑に献花した。
インド太平洋・中東方面派遣(IMED21)を実施
◯海上自衛隊の令和3年度インド太平洋・中東方面派遣(IMED21:Indo-Pacific and Middle East Deployment 21)の任務のため、掃海母艦「うらが」と掃海艦「ひらど」が横須賀を出港した。
海上自衛隊は令和3年12月12日から令和4年3月31日の間、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に資するべく、令和3年度インド太平洋・中東方面派遣を実施。これらの地域に所在する各国の海軍などと共同訓練を行い、海自の戦術技量の向上、各国海軍との連携強化とともに、地域の平和と安定に寄与し、関係国との相互理解の増進、信頼関係の強化を図る。
寄港予定国はブルネイ・ダルサラーム国、バングラデシュ人民共和国、スリランカ民主社会主義共和国、バーレーン王国、マレーシア(一部調整中)で、各国と機雷戦訓練などを行うほか、米国主催の国際海上訓練(IMX/CE22:International Maritime Exercise /CUTLASS EXPRESS 2022)にも参加する。
2021年12月13日(月)
海自が独海軍「バイエルン」と共同訓練
◯海上自衛隊は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けてドイツ海軍との共同訓練を実施した。海自の戦術技量の向上とドイツ海軍との連携強化が目的。
訓練は沖縄南方の海空域で実施され、海自護衛艦「ゆうぎり」とドイツ海軍のフリゲート「バイエルン」が各種戦術訓練を行った。
海上自衛隊は「独海軍は、インド太平洋地域の平和と安定という目標を共有する重要なパートナー」としている。
空自が「クリスマス・ドロップ」を実施
◯航空自衛隊は12月1日から13日の間、ミクロネシア連邦などにおける人道支援・災害救援共同訓練(クリスマス・ドロップ)を実施し、人道支援・災害救援能力に係る能力向上を図るとともに、参加国との連携を強化した。
訓練は米国のグアム島アンダーセン空軍基地と北マリアナ諸島、パラオ共和国、ミクロネシア連邦とその周辺空域で行われ、空自航空支援集団第1輸送航空隊(小牧基地)のC130H輸送機1機、人員約20人が参加。物料の梱包や投下を訓練した。
航空自衛隊は、「今後も『自由で開かれたインド太平洋』の維持・強化のため、インド太平洋地域における安全保障協力を推進していく」としている。
2021年12月14日(火)
迫撃砲の場外弾着について高島市に再発防止策を説明
◯鬼木誠防衛副大臣と陸上自衛隊中部方面総監の野澤真陸将は、滋賀県高島市役所を訪れ、今年6月に発生した饗庭野演習場における120ミリ迫撃砲の場外弾着事案について、福井市長に事故調査結果と再発防止策などを説明した。
野澤中部方面総監は福井市長に饗庭野演習場における実弾射撃訓練の再開について要請書を手渡した。福井市長は「万全の措置をしてもらうのは絶対条件。しかるべきタイミングで返事したい」と述べた。
鬼木防衛副大臣は、高島市役所への訪問に先立ち、陸上自衛隊祝園弾薬支処と饗庭野演習場を訪れ、事案発生時の射撃状況について説明を受けるとともに、迫撃砲弾薬の装薬を事前に取り外す要領や射撃時の安全確保など、再発防止に関する施策を現地で確認した。
高島市への饗庭野演習場での迫撃砲射撃再開要請後の鬼木防衛副大臣の臨時会見の様子は、防衛省・自衛隊のホームページで公開されている。
https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2021/1214b_r.html
宮城県で豚1万1900頭の殺処分を支援
◯宮城県大河原町で発生した豚熱(CSF)に係る災害派遣活動が14日午後4時、全て終了した。
11日、宮城県大河原町の養豚農場(農場飼養頭数:約9,700頭)で豚熱の疑いが発生。12日に検査を実施した結果、陽性と判定された。殺処分対象は約1万1900頭(疫学関連農場1カ所の約2,200頭を含む)。
12日午後6時、宮城県知事から陸上自衛隊第2施設団長(船岡駐屯地・宮城県柴田町)に対し豚の殺処分などの支援に係る災害派遣要請があり、2施設団を基幹とする部隊が出動。約200人態勢(ローテーションを組み24時間態勢により実施)で、豚舎内における豚の追い込み作業、殺処分した豚の積載などを行った。
14日午後4時、宮城県知事から2施設団長に対し災害派遣撤収要請があり、自衛隊は全ての活動を終了した。
海自が米海軍と房総沖で対潜特別訓練
◯海上自衛隊は、日米同盟の抑止力・対処力を強化するため、米海軍と対潜特別訓練を実施した。海自の戦術技量と米海軍との相互運用性の向上が目的。
訓練は房総半島南方の海空域で実施され、海自のP1哨戒機、SH60K哨戒機、潜水艦と米海軍のP8A哨戒機、MH60R5救難ヘリコプターが対潜戦を訓練した。
宮古島沖で中国のミサイル駆逐艦を確認
◯海上自衛隊は14日午前8時ごろ、宮古島(沖縄県)の北約220kmの海域を南東進する中国海軍ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻を確認した。
その後、当該艦艇は沖縄本島と宮古島との間の海域を南東進し、太平洋に向けて航行した。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第8護衛隊(佐世保)所属の護衛艦「きりさめ」、第5航空群(那覇)所属のP3C哨戒機、佐世保警備隊(佐世保)所属の多用途支援艦「あまくさ」により、所要の情報収集・警戒監視を行った。
ロシアの情報収集機が北海道周辺を飛行
◯統合幕僚監部は、北海道・東北地方周辺の日本海、オホーツク海、太平洋上空を飛行したロシア機に対し、航空自衛隊の戦闘機がスクランブル発進して対応したと発表した。
対象機はIL20情報収集機1機で、空自が撮影した写真を公開した。
2021年12月15日(水)
第3回防衛力強化加速会議を開催
◯岸防衛大臣は第3回防衛力強化加速会議を開催し、国際情勢などについて議論した。
防衛力強化加速会議では、岸田文雄総理が目指す国家安全保障戦略などの改定に取り組み、日本の領土、領海、領空、そして国民の生命と財産を断固として守り抜くため、防衛力の強化に関して、さまざまなテーマで議論が行われている。議長は岸防衛大臣が務め、第1回は11月12日に「会議の進め方」、第2回は11月26日に「補正予算」を議題として話し合いが行われた。
防衛省は「わが国を取り巻く安全保障環境が大きく変化し、格段に厳しさを増す中、国民の命と暮らしを守るために何が求められるのか、あらゆる選択肢を排除せず現実的に議論していく」としている。
日本海などでロシア機1機、推定ロシア機9機を確認
◯統合幕僚監部は、日本海、オホーツク海、太平洋上空を飛行したロシア機1機、推定ロシア機8機に対し、航空自衛隊の戦闘機がスクランブル発進して対応したと発表した。
IL20情報収集機の飛行は14日にも確認されていた。
米陸軍との実動訓練「ライジング・サンダー21」が終了
◯陸上自衛隊は、日本時間の15日、米国のヤキマ演習場で実施していた米陸軍との実動訓練「ライジング・サンダー21」を終了した。
ヤキマ演習場では、日米共同での総合戦闘予行を実施した後、日米共同による情報と機動・火力を連携させた中隊規模の攻撃戦闘を実施した。
米国における米陸軍との実動訓練(ライジング・サンダー21)は12月1日から始まり、機能別訓練で、各種小火器、AH64Dの空対地ミサイル(ヘルファイヤ)の射撃訓練などを実施。また、総合訓練で、日米共同による情報と機動・火力を連携させた中隊規模の昼夜間にわたる攻撃戦闘の訓練を実施し、部隊の戦術技量の向上と日米の相互運用性の向上を図った。
UNMISS司令部要員2人が出発式
◯岩本剛人防衛大臣政務官立ち会いの下、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)の司令部要員として派遣される陸上自衛隊の隊員2人の出発式が行われた。
南部スーダンでは、スーダン政府(イスラム教・アラブ系)とスーダン人民解放運動・軍(キリスト教・アフリカ系)の対立を経て、2005年1月、両者がCPA(南北包括和平合意)に署名し、紛争が終結。同年3月、CPA履行支援等を任務とする国連スーダン・ミッション(UNMISS)が設立され、日本は2008年10月以降、UNMISS司令部要員として自衛官2人を派遣している。
2021年12月16日(木)
砕氷艦「しらせ」が観測隊乗せて南極に到着
◯第63次南極地域観測隊を乗せて11月10日に横須賀を出港した海上自衛隊の砕氷艦「しらせ」が、南極大陸に到着した。
しらせは、海氷を砕きながら進み、昭和基地に向かって前進している。
2021年12月17日(金)
レゾリュート・ドラゴン21が修了
◯陸上自衛隊が、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化するため、12月4日から実施していた令和3年度国内における米海兵隊との実動訓練(レゾリュート・ドラゴン21)が17日、終了した。
陸自ではこれまで、北海道の防衛警備を担当する北部方面隊と米海兵隊が「ノーザンヴァイパー」を実施してきたが、今後はこれを他の方面隊でも行うことを踏まえ、今回から訓練のコードネームを「レゾリュート・ドラゴン21」と改めた。
訓練は王城寺原演習場、岩手山演習場、八戸演習場、霞目駐屯地、矢臼別演習場などで行われ、領域横断作戦(CDO)や機動展開前進基地作戦(EABO)踏まえた日米連携や空中機動作戦に係る訓練、AHによる射撃訓練、対艦戦闘訓練などを実施。MV22オスプレイの訓練移転も組み込まれた。