【2021年11月26日(金)1面】 東日本大震災の被災地の一つ、岩手県では防災をめぐるイベントが常時実施され、住民らの意識の向上につなげている。学校を舞台にした教育や学習のほか、講演会、フェスタ…。岩手地本(本部長・武本1陸佐)からこのほど、短期間に相次いで行われた防災関連の活動の様子が寄せられた。発生から10年8カ月。若者世代を中心に、震災を語り継ぎ、決して風化させない。被災地にいればこその強い思いに自衛隊が積極的に協力し、サポートする。1、2面で「今」の住民たちの表情や意識などが見える地本の投稿を中心に、また、2面には岩手駐(司令・香川1陸佐)の活動や震災10年の歩み、県民の復興に対する意識調査結果などを紹介。本日は特別版として「岩手県特集」をお送りします。
【釜石地域事務所】防災学習支援、講話など
釜石地域事務所(所長・河口1空尉)は11月2日、岩手駐で釜石市立唐丹(とうに)中学校の生徒ら13人に対し、防災アドバイザー事業として駐屯地見学を支援した。
事業は、唐丹中が企画する防災学習の一環。災害時での自衛隊の即応態勢、災害派遣車両を見学し、生徒個々の防災意識の高揚を目的に、岩手県教育委員会から依頼された。
防災講話では、駐屯地広報班長が災害派遣の制度をはじめ、新型コロナウイルス感染症、東日本大震災の派遣活動について説明。自衛官の仕事紹介で生徒たちは職の多様性、福利厚生、取得可能な資格の多さに魅力を感じていた。
講話後、災害派遣活動で活躍した装備品の見学では、初めて見る82式指揮通信車の大きさや性能に興味津々の様子だった。
11月10日には、岩手県立住田高校で実施された防災講話に全所員を派遣し、支援した。企画は、住田町が企画する地域防災運動の一環として、災害時の自衛隊の即応態勢を説明し、生徒個々の防災意識高揚に役立てるのが目的。全校生徒95人が参加した。
講話では、大規模災害待機態勢(FAST-Force)の概要について説明したほか、発災から災害派遣発令までの流れなど、自衛隊の即応態勢について理解を深化させた。
また、高校周辺地域の防災マップを活用。地域の土砂災害による集落孤立のリスクについて説明するとともに、平時からの備えを強調し、過去の震災時事例紹介と対策が必要である点を説いた。
さらに、広報官らが、応急担架、骨折箇所固定法について、災害の際に活用できるライフハックを実演披露。会場を沸かせた。
代表の生徒は、「災害における自衛隊の活動について、深い理解が得られた。ライフハックについても、とても参考になった」と話していた。
11月14日には、鵜住居(うのすまい)復興スタジアム(釜石市)の「ラグビーメモリアルマッチ」に併せて開催された「震災復興支援働く車両展」(釜石市主催)に本部、釜石所が岩手駐の支援を受けて参加した。
行事は、ラグビーワールドカップ2周年記念と震災復興10年の節目におけるラグビー親善試合を実施するとともに、東日本大震災の復興・復旧に際して活躍した車両について、震災学習に役立てるため、自衛隊のほか釜石警察署、釜石消防署、釜石海上保安部が参加した。
自衛隊からは、野外炊具1号、救急車、指揮通信車、1/2トントラックの車両展示を行った。
試合のため北海道から来訪した中学生からは、防衛大学校を目指しているとの相談があり、防大卒の本部長自ら説明した。また、臨時勤務中の東北方面特科連隊の大坪3陸曹も積極的に来客対応にあたり、市民の自衛隊に対する期待の高さを改めて認識していた。
岩手地本について
本部長は武本康博1陸佐。地本ホームページによると、盛岡市の本部のほか県内6カ所(二戸、盛岡、宮古、北上、釜石、一関)に地域事務所などを配置している。地本公式キャラクターはぎんが陸葉(りくは)、ぎんが海波(うみは)、ぎんが空羽(そらは)の3姉妹。本部は盛岡市内丸7番25号 盛岡合同庁舎2階。
【岩手地本の思い】
「引き続き、被災地および被災者に寄り添いつつ、東日本大震災を風化させることなく、防災講話などを通じて、次世代を担う若者に防災意識の向上につながる普及活動を継続していく」(11月6.7日実施の「ぼうさいこくたい2021」の投稿から)