前週の防衛省・自衛隊の動きをチェックできる週報記事を毎週月曜日の通勤・通学時間にお届けします。
2021年11月13日(土)
ドイツ海軍の「バイエルン」が日本を出港
◯ドイツ海軍のフリゲート「バイエルン」が日本を出港した。
バイエルンは11月5日、東京国際クルーズターミナルに到着。寄港に先立ち海上自衛隊と共同訓練を行ったほか、中旬には北朝鮮籍船舶による「瀬取り」の警戒監視などを行った。ドイツ海軍の艦艇が日本に寄港したのは2002年以来で、約20年ぶり。
防衛省は、「引き続き、バイエルンとの共同訓練などを通じ、『自由で開かれたインド太平洋』の実現のため、日独防衛協力を強化していく」としている。
中国海軍の艦艇2隻を対馬海峡で確認
◯海上自衛隊は午後2時ごろ、対馬の南西約250kmの海域を東進する中国海軍ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻、ジャンカイⅡ級フリゲート1隻を確認した。
その後、当該艦艇は対馬海峡を北東進し、日本海へ向けて航行した。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第4航空群(厚木)所属のP1哨戒機、第3ミサイル艇隊(佐世保)所属のミサイル艇「おおたか」により、所要の情報収集・警戒監視を行った。
岸防衛相が山口駐、山口地本を視察
◯岸信夫防衛大臣は、陸上自衛隊山口駐屯地を視察し、駐屯地に所在する部隊の活動状況について報告を受けたほか、所属する隊員に対し訓示を行った。また、山口地方協力本部を視察し、広報官らを激励した。
山口駐屯地には第17普通科連隊が所在。その前身の小月駐屯部隊には、昭和26年10月に山口県を襲った「ルース台風」による災害救助のため、自衛隊(当時は警察予備隊)として全国で初めて「災害派遣出行命令」が発令されている。
一方、山口地方協力本部は、県下における防衛省・自衛隊の総合窓口として自衛官などの募集・採用業務や自衛隊をPRする広報活動を行っている。
2021年11月14日(日)
岸防衛相が空自防府北基地などを視察
◯岸防衛大臣は、陸上自衛隊防府分屯地、航空自衛隊防府北基地、防府南基地を視察し、所在する部隊の活動状況について報告を受けたほか、所属する隊員に対し訓示を行った。
陸上自衛隊防府分屯地は航空自衛隊防府北基地と隣接しており、ヘリコプター部隊の第13飛行隊が所在。日々、飛行訓練などを行い、災害派遣能力向上に努めている。
一方、航空自衛隊防府北基地は、第12飛行教育団などが所在し、空自のパイロットを志す者が訓練を行っている。また、防府南基地は、航空教育隊が所在し、空自を支える空曹士自衛官の育成を担っている。
岸大臣は視察後、防府南基地で臨時会見を開き、防府北基地で新編される予定の第2宇宙作戦隊について、記者の質問に答えた。会見の詳しい内容は、防衛省・自衛隊のホームページで閲覧できる。
航空自衛隊防府北基地及び防府南基地視察後の岸防衛大臣臨時会見
海自がフィリピンと南シナ海で親善訓練
◯海上自衛隊の令和3年度インド太平洋方面派遣(IPD21)部隊は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けてフィリピン海軍と親善訓練を実施した。海自の戦術技量の向上とフィリピン海軍との相互理解の増進、連携強化が目的。
訓練は南シナ海の海空域で行われ、海上自衛隊から護衛艦「かが」「むらさめ」が参加。フィリピン海軍のフリゲート「ホセ・リサール」と戦術運動、通信訓練を実施した。
海上自衛隊は、「引き続き『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けて、フィリピン海軍と連携を強化していく」としている。
2021年11月15日(月)
大阪接種センターのシャトルバスが運行終了
◯防衛省は、11月8日(月)から11月14日(日)までに自衛隊が大規模接種センターで実施した新型コロナウイルスワクチンの接種回数を発表した。東京は4893回、大阪は2762回。
新大阪駅、天王寺駅発着のシャトルバスは11月20日(土)をもって運行を終了。防衛省では「ご利用予定の方はご注意ください」と呼び掛けている。
2021年11月16日(火)
中国海軍の艦艇が対馬沖を航行
◯海上自衛隊は午後1時ごろ、対馬の南西約170kmの海域を北東進する中国海軍ジャンカイⅡ級フリゲート1隻を確認した。
その後、当該艦艇は対馬海峡を北東進し、日本海へ向けて航行した。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第4航空群(厚木)所属のP1哨戒機および第3ミサイル艇隊(佐世保)所属のミサイル艇「おおたか」により、所要の情報収集・警戒監視を行った。
ソマリア沖・アデン湾での海賊対処を継続
◯防衛省はこの日の閣議決定を受け、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動の継続を発表した。
ソマリア沖・アデン湾における海賊など事案発生件数については、平成21年から平成23年まで年間200件以上発生していたが、現在は低い水準で推移している。しかし、海賊を生み出す根本的な原因であるソマリア国内の貧困などは未だ解決しておらず、海賊行為に対処しなければならない状況には依然として変化が見られない。
また、各国部隊も引き続きソマリア沖・アデン湾における海賊対処活動を実施しており、日本としても、極めて重要な海上交通路であるソマリア沖・アデン湾における航行の安全確保、国際社会の平和と安定に引き続き貢献していくことが重要との判断から、新たな海賊対処要項を作成し、海賊対処行動を1年間継続することとした。
【現行の海賊対処要項からの変更点】
(1)海賊対処行動を命ずる期間を「令和3年6月10日から同年11月19日までの間」から「令和3年11月20日から令和4年11月19日までの間」とする。
(2)新型コロナウイルスの感染拡大以降の部内外との調整業務の負担増大に対応するため、派遣海賊対処行動支援隊の人員を増員し、人員数を「人員約120名。ただし、部隊の交替を行う場合は、約230名」から「人員約120名。ただし、部隊の交替を行う場合は、約240名」に変更する。
また、シナイ半島国際平和協力業務実施計画も変更し、平成31年4月から多国籍部隊・監視団(MFO)に派遣している司令部要員の派遣期間を、当初の「令和3年11月30日まで」から「令和4年11月30日まで」(1年間の延長)とすることを発表した。
井筒空幕長が「空軍司令官等ドバイ国際会議」に参加
◯航空幕僚長の井筒俊司空将は11日から16日の間、アラブ首長国連邦のドバイで開催された「第10回空軍司令官等ドバイ国際会議」と「ドバイ・エアショー2021」に参加した。
井筒空幕長は「第10回空軍司令官等ドバイ国際会議」で、参加各国の空軍司令官らと意見交換を行い、空軍種間の相互信頼・協力関係の深化、防衛協力・交流の促進を図った。
鬼木副大臣が大阪大規模接種センターを視察
◯鬼木誠防衛副大臣は、自衛隊大阪大規模接種センターと自衛隊阪神病院を視察した。同センターは、自衛隊阪神病院により運用されている。
防衛省は、「国民の皆様に安心・安全に接種していただけるように引き続き必要な役割を果たしていく」としている。
2021年11月17日(水)
海自が米海軍と南シナ海で初の対潜戦訓練
◯海上自衛隊の令和3年度インド太平洋方面派遣(IPD21)部隊は14日から17日の間、日米同盟の抑止力・対処力を強化するため、米海軍と共同訓練を実施した。海自の戦術技量および米海軍との相互運用性の向上が目的。
訓練は南シナ海の海空域で行われ、海上自衛隊から護衛艦「かが」「むらさめ」が参加。米海軍の駆逐艦「ミリウス」、P8A哨戒機と各種戦術訓練を実施した。
また、日米共同訓練に参加した部隊は16日、南シナ海の海空域で実施された日米共同対潜訓練にも参加。海上自衛隊の潜水艦とP1哨戒機が、米海軍と南シナ海で対潜戦訓練を行うのは初めてだった。
陸自第1空挺団が米空軍と降下訓練
◯陸上自衛隊第1空挺団(習志野駐屯地)は11月15日から17日の間、大分県の日出生台演習場で米空軍や航空自衛隊の輸送機からの降下訓練を行った。島嶼部への攻撃をはじめとする各種事態に実効的に対応するための能力の維持・強化が目的。
第1空挺団の隊員約200人は15日、米軍横田基地でC130J輸送機4機に、空自入間基地でC1輸送機1機、C130H輸送機1機に搭乗。九州の日出生台DZ(※)に降下した。
日米の飛行場で分散搭乗して空中で合流した後、同じDZに降下するのは、今回が初めて。
※DZは、「Drop Zone」の頭文字。降下(投下)地域を指し、軍事作戦で航空機から物資・兵士などを降ろす場所。
防衛省・自衛隊は、「わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、このような訓練を積み重ね、空挺作戦に必要な戦術技量を向上させていく」としている。
2021年11月18日(木)
兵庫県の鳥インフルエンザで殺処分支援
◯兵庫県姫路市の養鶏場で16日に発生した鳥インフルエンザで、17日から災害派遣活動を行っていた陸上自衛隊第3特科隊(姫路駐屯地・兵庫県姫路市)は、18日午後8時、すべての活動を終了した。
16日、姫路市の養鶏場1カ所(約15.5万羽)で鳥インフルエンザ感染の疑いが発生し、検査の結果、17日に鳥インフルエンザ陽性が確定。17日午前9時、陸上自衛隊第3特科隊長が、兵庫県知事から鶏の殺処分などの支援に係る災害派遣要請を受理した。
同日午前10時32分から、第3特科隊の対処部隊が殺処分などに係る支援を開始。約350人(後方支援要員を含む)が24時間態勢でローテーションを組み、養鶏場における殺処分支援および殺処分した鶏の梱包作業などにあたった。
18日午後8時、鶏の殺処分などが完了したため、兵庫県知事から第3特科隊長に災害派遣撤収要請があり、自衛隊はすべての活動を終了した。
NATO本部に防衛省職員を派遣
◯防衛省は、冨永麻美(とみなが・あさみ)3陸佐を国際機関/NGO協力幕僚として、北大西洋条約機構(NATO)本部・軍事幕僚部・協調的安全保障局に派遣すると発表した。NATO本部への防衛省職員の派遣は4人目。
派遣は、女性・平和・安全保障分野における協力の推進が掲げられている令和2年6月改訂の「日・NATO国別パートナーシップ協力計画(IPCP)」に基づく実務的協力の一環。
冨永3陸佐は、NATO本部の国際機関/NGO協力班でNATOの各種計画の立案および実行に関する業務に従事する。
2021年11月19日(金)
フィリピン陸軍の能力構築支援に要員11人を派遣
◯防衛省・自衛隊は11月15日から19日の間、フィリピン共和国のマニラ近郊でフィリピン陸軍に対する人道支援・災害救援分野における能力構築支援を実施した。
日本から防衛政策局参事官付1人、陸上自衛隊西部方面隊(43普通科連隊)10人の要員11人が派遣され、16日に開講式が行われた。
訓練では、フィリピン陸軍の25人に対し、日本政府がフィリピン政府に政府開発援助(ODA)により供与した災害時の人命救助機材の取り扱い要領を指導。破壊構造物探査機(ファイバースコープ)、油圧救命機器、音響探査装置、チェーンソー、油圧式カッター、削岩機、救命ボートおよび救命ジャケット、索発射銃を活用した捜索救助の実施要領を訓練した。