【2021年11月9日(火)2面】 <岡山>日本原駐(司令・坂井1陸佐)は10月6日、駐屯地内の居室のベッドをすべてシングル化した。隊員が高い士気と規律を維持し、能力を十分に発揮できる生活・勤務環境とするのが目的。防衛省では、即応性確保などのため隊舎・宿舎の建て替えを進めており、今回のシングル化は、隊員の要望を上司らが議論し、賛同。実施が決まった。従来の2段ベッドからの模様替えに、「圧迫感がない」「相手に気を使わなくていい」と隊員の反応も上々だ。
日本原駐によると、ベッドをシングル化したのは、8部屋の約15床。きっかけは、隊員たちからの要望だった。
「駐屯地には多くの建物が建っていて、たくさん部屋があるのに、有効に活用されていない部屋が多数ある。これらの部屋を隊員の居室に転用して、より快適な居住空間を実現してほしい」
早速、部隊長会議で議論。すべての部隊長の賛同を得て実施を決め、今年6月ごろから司令業務室と業務隊が調整。各部隊が作業を行い、完了した。
同駐は、以前から常に一部の隊員が2段ベッドで就寝せざるを得ない状況が続いていたが、今回、駐屯している部隊ごとの居室利用密度を均等化。利用頻度の低い部屋を廃止するなどの工夫を凝らして部屋の使用区分を見直し、隊員が生活する居室の数を増やした。これで、すべての隊員がシングルベッドで就寝できるようになった。
2段ベッドを完全に排除することで、これまで隊員が抱えていた上段、下段で就寝する同僚に気を使う負担とストレスから解放され、気持ちよく就寝してあすへの英気を養うことができるようになった。
また、1部屋当たりの人数が減少したことで、新型コロナウイルス感染予防対策も万全になり、安心して生活できるようになったという。
隊員たちからは「部屋の圧迫感がなくなり、すっきりした」「ベッドの上り下りや寝返りなど、相手に気を使わなくていい」「ベッドの下段だったため、頭をぶつけないよう姿勢を丸めて生活(テレビ、読書など)していたが、今は気にせず広々と生活できる」など、シングル化を大歓迎。中には、「以前は上段だったので、上で休むのが面倒だった。(シングルになり)自分の休憩スペースが確保できた」という声も。シングル化が隊員たちに大きな活力を与えているようだ。
日本原駐は「今後、人事異動などにより隊員の増減があっても、万難を排してシングルベッドによる隊員の快適な生活・勤務環境を守っていく」としている。
司令「日本原駐で勤務してみませんか」
日本原駐から、今回の投稿に合わせて坂井司令から熱いメッセージが寄せられましたので紹介します。
大綱、中期防でも 「日本原駐は、秀峰・那岐(なぎ)山さんの麓に位置し、豊かな自然に恵まれた風光明媚(めいび)な駐屯地で、13特科隊、13戦車中隊、13高射特科中隊、13後方支援隊の一部および駐屯地業務諸隊の各部隊が駐屯しており、陸自のさまざまな職種の方や事務官の方が勤務することが可能です。全国の自衛隊員の皆さん、ぜひ、日本原駐で勤務してみませんか!」
防衛省は現在、隊員の生活・勤務環境の改善や処遇の向上などを進めている。
大綱、中期防でも
令和3年版「防衛白書」によると、こうした取り組みは防衛大綱、中期防の中で言及。白書では、「人的資源の効果的な活用に向けた施策など」の項目の中で、すべての自衛隊員が高い士気を維持し、自らの能力を十分に発揮し続けられるよう、生活・勤務環境の改善を図ることとしている。
具体的には、即応性確保などのために必要な隊舎・宿舎の確保および建て替えを加速し、同時に、施設の老朽化対策および耐震化対策を推進するほか、老朽化した生活・勤務用備品の確実な更新、日用品などの所要数の確実な確保などを実施することとしている。