大空を突き進む飛行機。操縦桿を握るパイロットへの憧れは昔も今も変わることはないだろう。自衛隊ではさまざまな現場で活躍する。最近では、日本選手団の活躍に沸いた東京五輪やパラリンピックで、アクロバットチーム「ブルーインパルス」が鮮やかな飛行を見せ、大会を盛り上げた。

 本日はパイロットへの登竜門である「航空学生」を目指す若者たちの姿を、防衛日報社が9月15日に発行した「防衛日報」の特集【志願者獲得へ】から、旭川、富山、熊本、鳥取のケースを紹介します。

旭川地本

 旭川地本(本部長・二瓶1陸佐)は7月29日、本部庁舎で「航空機パイロット説明会」を開催した。航空学生に興味を持つ募集対象者に対し、課程教育の説明、部隊勤務体験談などを紹介することで制度の理解を深めてもらい、パイロットの魅力を発信するのが目的。

 説明会は、海空自から現役パイロットを招集。懇談時間を多くすることでより親近感を与えるとともに、日頃の疑問を解消できるよう企画した。

 当日は、海自25航空隊(大湊)の遠藤2海尉、空自203飛行隊(千歳)の金子1空尉が現役パイロットの生の声を参加者に伝えた。

 自己紹介から始まった説明会は、海空自のそれぞれユーモアある説明により、当初、緊張気味だった参加者は徐々に緊張がほぐれ、熱心に聞き入っていた。

 待遇面の話では、特に護衛艦搭載時のパイロットの給料に参加者は驚きの顔をみせた。一通りの説明後の質疑応答はフリートーク形式で行われ、2人のパイロットを囲み和やかな空気になった。

 参加者は「参加してよかった」「とても参考になるいい話が聞けた」「受験しようと思った」と満足な様子で感想を述べた。

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富山地本

 富山地本(本部長・平田1陸佐)は8月7日、海空自の現役パイロットを招いて「航空学生説明会」を実施した。航空学生受験希望者とその家族らが参加した。

 海自からは、SH60Kパイロットの赤松1海尉(厚木)がオンラインで説明を実施した。富山県出身でもある赤松1尉は「後輩となる皆さんにどんどんチャレンジして欲しい」と語りかけ、参加者を激励した。

 空自からは、F15パイロットの有村2空尉(小松)が地本を訪れ、スライドを使用して説明するとともに参加者の質問に率直、明快に答えた。「訓練は非常に厳しく、きっと辞めたくなることがある。でも『自分はパイロットになるんだ』という強い意志をもって、絶対に辞めないでほしい。そうすれば道は開ける」と締めくくった。

 参加者からは「訓練と任務の厳しさがよく理解でき、感動した。簡単な道ではないと思うが、ますますパイロットになりたい気持ちが強くなった」などの感想が聞かれ、不安や疑問の解消とともに受験意志が固まりつつある様子だった。

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熊本地本

 熊本地本(本部長・橋本1陸佐)は8月7日、熊本地方合同庁舎で航空学生志願者を対象とした「航空学生説明会」を実施した。説明会は、近傍部隊の現役パイロットの協力を得て海空各自を紹介。志願者個々の不安を解消するとともに、少しでも自衛隊を身近に感じてもらい、受験意欲の向上を図ることを目的に企画した。当日は、航空学生にふさわしくスカイブルーの晴天の下、県内の高校生や保護者ら16人が参加した。

 説明会では、現役パイロットである海自22航空隊(大村)の古賀3海尉、空自5航空団(新田原)の佐藤3空尉の2人が、パイロットの魅力について生の声を志願者らに伝えた。

 概要説明の時間では、海空自の各課程教育や航空操縦幹部としての地位・役割について懇切・丁寧に説明。参加者は海空自の課程教育の違いなどを熱心に聴講していた。

 その後、2人に加え、令和3年度に航空学生として訓練中の林2空士、佐土原2空士(空自航空学生教育群)の支援を受け、参加者のさまざまな質問、相談などに対応するため個別相談を行った。

 参加者からは「貴重な話を聞き、とても参考になった」「現役の隊員の話を聞いて、受験したい気持ちがさらに高まった」などの意見があり、試験対策を熱心に聞いている参加者の姿も見られるなど、今後の自衛官募集につながる成果を収めることができた。

 熊本地本は「厳しい募集環境でも、採用種目における自衛官の魅力を伝える募集活動に努め、募集目標の達成に尽力していく」としている。 

※橋本本部長の「橋」は、正しくは旧字となります。

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鳥取地本

 鳥取地本(本部長・村田空佐)は8月6日と9日、美保基地と倉吉地方合同庁舎の2会場で「航空学生制度説明会」を開催した。募集課募集班長の卜部3海佐を始め、海空自から現役パイロットがリクルータとして参加し、それぞれ航空学生制度について説明を行った。当日は高校生を中心に約40人が参加した。

 説明会では、航空学生制度の基本的な内容、航空機の種類、採用後の活動内容などの説明を実施した。生徒たちは卜部3佐らの説明に真剣なまなざしを向けていた。

 質疑応答では、「入隊して大変だと思ったことは何か」「座右の銘を教えて欲しい」などさまざまな質問が飛び出し、卜部3佐らは一つひとつ丁寧に答えた。

 説明会を終え、参加した生徒たちは「いろいろな経験談が聞けてイメージが膨らんだ」「質問に丁寧に答えてもらい、分かりやすかった」などの感想を述べていた。

 鳥取地本は「説明会を通じて航空学生の魅力を伝えるとともに、入隊に向けての意欲を高めることができた」としている。

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 空自のホームページによると、パイロットの約6割は航空学生の出身者で、戦闘機、輸送機、救難捜索機、ヘリコプターなどの幅広い機種で活躍している。

 空自では、平成27年度から男女別の採用人数枠を撤廃しており、すでに輸送機や救難機のパイロットとして活動している。同年11月には女性自衛官の戦闘機、偵察機への配置制限も解除されており、女性初の戦闘機パイロットが誕生している。

 <防衛日報 2021年9月15日(水)1面>