前週の防衛省・自衛隊の動きをチェックできる週報記事を毎週月曜日の通勤・通学時間にお届けします。
2021年9月3日(金)
ロシア海軍のミサイル護衛哨戒艇2隻を確認
◯海上自衛隊は午前4時ごろ、宗谷岬の西約130kmの海域を東進するロシア海軍タランタルⅢ級ミサイル護衛哨戒艇2隻を確認した。その後、当該艦艇は宗谷海峡を東進した。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第1ミサイル艇隊所属のミサイル艇「くまたか」(余市)により、所要の情報収集・警戒監視を行った。
アフガニスタンからC2輸送機が帰国
◯アフガニスタンから邦人らを国外退避させるため、隣国パキスタンの首都イスラマバードを拠点に活動した航空自衛隊のC2輸送機が3日午前9時半ごろ、隊員らを乗せて帰国した。C2は埼玉県の空自入間基地に到着。陸上自衛隊や空自の隊員ら約100人が出迎えた。
アフガンからの退避をめぐっては、8月23日に岸信夫防衛大臣が自衛隊機の派遣命令を出し、C2とC130輸送機2機が順次出発。25日から27日の間、イスラマバードとアフガンの首都カブールの空港を複数回往復し、日本人1人とアフガン人14人を退避させた。
太平洋で合流した中国軍艦3隻が東シナ海へ
◯海上自衛隊は午前10時ごろ、久米島(沖縄県)の北西約170kmの海域を南進する中国海軍ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻を確認した。また、同日午後7時ごろ、久米島(沖縄県)の北西約190kmの海域を南進する中国海軍ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦1隻を確認した。
これらの艦艇は沖縄本島と宮古島との間の海域を南下し、太平洋に進出。9月5日には、同海域に所在する中国海軍ルーヤンⅡ級ミサイル駆逐艦と合流し、台湾と与那国島との間 の海域を北上し、東シナ海へ向けて航行した。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第11護衛隊所属の護衛艦「あまぎり」(横須賀)、第46掃海隊所属の掃海艇「くろしま」(沖縄)、第1海上補給隊所属の補給艦「ときわ」(横須賀) 、第5航空群所属のP3C哨戒機(那覇)により、所要の情報収集・警戒監視を行った。
空自が英と初めて日本周辺海空域で訓練
◯航空自衛隊のF15戦闘機、F2戦闘機、E767早期警戒管制機は3日、四国南方空域で実施された「PACIFIC CROWN(パシフィック・クラウン) 21-3」に参加した。訓練には海上自衛隊の艦艇をはじめ、英空軍や米海兵隊のF35B戦闘機、英米蘭加の艦艇が参加した。
日本周辺海空域における日英の海空共同訓練は初めてであり、航空自衛隊は「長い歴史を有する日英関係の新たな結節となった」としている。
2021年9月4日(土)
海自が米駆逐艦「バリー」と洋上補給訓練
◯海上自衛隊は、日米同盟の抑止力・対処力を強化すべく、米海軍と共同訓練練(ILEX21-4)を実施した。海自の戦術技量と米海軍との相互運用性の向上が目的。
訓練は東シナ海で実施され、海自から補給艦「ときわ」、米海軍から駆逐艦「バリー」が参加。両艦は洋上補給訓練を行った。
2021年9月5日(日)
沖縄のコロナ医療支援災派が終了
◯午前10時55分、沖縄県知事から陸上自衛隊第15旅団長に対し新型コロナウイルス感染拡大による医療支援に係る災害派遣の撤収要請があり、活動を終了した。
自衛隊は8月12日から同25日まで、15旅団から看護官1人、准看護師4人を派遣。派遣期間延長の要請を受け、8月26日から9月5日まで、8師団から看護官1人、准看護師4人を派遣した。
看護官らは、入院待機ステーションにおける医療支援(医師の診療の補助、検温、血圧測定、生体監視装置の装着、モニタリングなど)を実施。レッドゾーンでの看護業務も行った。
沖縄県知事から、「自衛隊の支援により、ステーションの救助態勢が拡充され、多くの患者さんへ救いの手を差し伸べて頂いたことに、改めて感謝を申し上げます。」との御礼の言葉があった。
防衛装備庁が海洋環境試験評価サテライトを発足
◯防衛装備庁艦艇装備研究所(東京都目黒区)の水中無人機試験評価施設「岩国海洋環境試験評価サテライト」(山口県岩国市)が完成し、現地で発足式が行われた。式には岸防衛大臣が出席し、施設を見学した。
発足式で岸大臣は、ゲーム・チェンジャーとなり得る水中無人機の試験評価を行う当施設が、防衛分野のみならず、地方創生へも貢献することを期待している旨を訓示した。
2021年9月6日(月)
岸大臣、山崎統幕長、山村海幕長が英空母を視察
◯岸防衛大臣と山崎統合幕僚長、山村海上幕僚長は、横須賀に停泊中の英空母「クイーン・エリザベス」とオランダのフリゲート「エファーツェン」を視察し、今回の日本寄港を歓迎した。
両艦とも、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・構築のため、日本周辺での共同訓練に参加するために寄港した。
山村海幕長がオランダ艦の司令官を訪問
◯山村浩海上幕僚長はこの日、5日に横須賀に入港したオランダのフリゲート「エファーツェン」を訪問した。同艦は、日本などと共同訓練を行っている英空母打撃群「CSG21」を構成する1艦として入港し、7日まで滞在。その後、関東沖での共同訓練に参加した。
オランダ政府は2020年11月17日、「インド太平洋ガイドライン」をハーグで発表。このガイドラインに基づき、今回初めて経済的重要地域に海軍を派遣した。
この派遣の背景には、インド太平洋地域における地政学的緊張の高まりがあり、今後EU加盟国が同地域の安全保障などに積極的に関与する姿勢を示すものとなっている。
自衛隊のワクチン接種、引き続き10万回超える
◯防衛省は、8月30日(月)から9月5日(日)までに自衛隊が大規模接種センターで実施した新型コロナウイルスワクチンの接種回数を発表した。東京は6万8142回、大阪は3万3128回。東京、大阪とも微減となったが、合わせて10万回を超える接種を実施した。
2021年9月7日(火)
奄美大島のコロナ急患を救難ヘリで空輸
◯午前9時55分、鹿児島県知事から海上自衛隊第1航空群司令(鹿屋)に対し、新型コロナウイルス感染症患者の急患空輸に係る災害派遣要請があり、第22航空隊のUH60J救難ヘリコプターによる奄美大島から鹿児島市内への急患空輸を実施した。
輸送区間は、佐大熊ヘリポート(奄美市)からマリンポート鹿児島(鹿児島市)まで。
東京2020オリ・パラ支援団が任務完遂
◯自衛隊の東京2020オリンピック・パラリンピック支援団本部はすべての任務を完遂し、7日、編成を解組した。
陸海空の隊員によって編成された支援団は、開会式・表彰式での国旗などの掲揚や射撃競技会場における医療サービス、自転車競技における緊急搬送、セーリング競技における海上救護、会場内外の整理、アーチェリー競技・射撃競技・近代五種競技における運営支援などを行った。
2021年9月8日(水)
山崎統幕長と米インド太平洋軍司令官がテレビ会談
◯山崎幸二統合幕僚長は、アクイリーノ米インド太平洋軍司令官とテレビ会議形式で会談を行った。
両者は、世界の安全保障環境や日本周辺の情勢について認識の共有を図るとともに、共通の課題に対して共に対応していくことで一致した。また、強固な日米同盟の下で、日本の防衛のため引き続き抑止力・対処力を強化するとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のため日米同盟を基軸とした多国間協力を推進し、地域の平和と安定に寄与していくことで一致した。
海自創設70周年のロゴとキャッチフレーズを募集
◯海上自衛隊は、2022年(令和4年)4月に創設70周年を迎える。海自では、これを記念して、海上自衛隊のいままでとこれからをつなぐシンボルとなるような「ロゴマーク」と「キャッチフレーズ」を広く一般から募集する。募集期間は9月8日(水)から10月7日(木)まで。
採用された作品は、来年に実施予定の70周年を記念した式典や各種グッズなどに広く使用される予定。採用された方には、式典において感謝状などを贈呈する予定という。
募集要項や応募フォームはこちら。
2021年9月9日(木)
新任の在日米軍司令官が岸防衛相を表敬
◯岸防衛大臣は、新たに着任した在日米軍司令官兼第5空軍司令官ラップ中将による表敬を受けた。
岸防衛大臣は、ラップ司令官の着任を歓迎するとともに、日米同盟を深化させるため、緊密に協力していくことを確認した。
海・空自が英空母打撃と共同訓練
◯海上自衛隊と航空自衛隊は9月2日から9日の間、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて実施された英空母打撃群との共同訓練「PACIFIC CROWN(パシフィック・クラウン) 21-3」に参加した(海自は7日まで。8、9の両日は引き続き同21-4の共同訓練に参加)。
8、9の両日に実施された「PACIFIC CROWN(パシフィック・クラウン) 21-4」には、以下の部隊が参加し、戦術運動、通信訓練、発着艦訓練などを行った。
海上自衛隊 | 護衛艦「いせ」、「いずも」 搭載航空機SH60J/K哨戒ヘリコプター、MCH101掃海・輸送ヘリコプター |
航空自衛隊 | F35A戦闘機、E767早期警戒管制機 |
英空母打撃群 | 英空母「クイーン・エリザベス」、英駆逐艦「ディフェンダー」 英補給艦「タイドスプリング」、英補給艦「フォート・ビクトリア」 蘭フリゲート「エファーツェン」、加フリゲート「ウィニペグ」、 英F35B戦闘機、米F35B戦闘機 |