前週の防衛省・自衛隊の動きをチェックできる週報記事を毎週月曜日の通勤・通学時間にお届けします。
2021年8月27日(金)
在アフガン邦人などの輸送措置終結
◯防衛省は27日、アフガニスタン・イスラム共和国の情勢に鑑み、8月23日以降実施していた、同国に滞在する邦人などの輸送に関する措置を終結した。外務大臣から、防衛大臣に対して要請があった。派遣されていた自衛隊部隊は、今後速やかに日本に帰国する予定。
今回の活動概要は以下の通り。
- C130輸送機×2機、C2輸送機×1機、B777特別輸送機×1機、人員約260人を現地に派遣
- 25日から27日の間、C130輸送機、C2輸送機により、カブールと周辺国拠点との間で輸送を実施
在日米軍司令官にラップ中将が就任
◯米軍横田基地で在日米軍司令官兼第5空軍司令官の指揮官交代式が執り行われ、2019年2月の就任以来、約2年半の間、日米同盟の強化と地域の平和と安定に寄与したケビン・B・シュナイダー中将からリッキー・N・ラップ中将へ指揮権が移譲された。
在日米軍司令官旗と第5空軍司令官旗を授与されたラップ中将は、「日本という素晴らしい同盟国と協力して、共同対処能力などを向上させていくことを光栄に思う」と述べた。
与那国空港からコロナ患者を空輸
◯午後8時15分、陸上自衛隊第15旅団長(那覇駐屯地)に沖縄県知事から新型コロナウイルス感染患者の急患空輸に係る災害派遣要請があった。15旅団は、CH47大型輸送ヘリコプター1機により、患者3人を与那国空港から新石垣空港まで空輸した。
2021年8月28日(土)
海自が英空母打撃群などと共同訓練
◯海上自衛隊は27、28の両日、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて関係国との連携を強化するため、英海軍、米海軍、オランダ海軍と共同訓練(PACIFIC CROWN 21-2)を実施した。
訓練は、沖縄東方から東シナ海の海空域で実施され、海自護衛艦「いせ」「てるづき」と搭載航空機SH60K、英空母打撃群の空母「クイーン・エリザベス」、駆逐艦「ディフェンダー」、補給艦「フォート・ビクトリア」、補給艦「タイドスプリング」、米駆逐艦「ザ・サリバンズ」、オランダのフリゲート「エファーツェン」が参加。4カ国は各種戦術訓練を行った。
2021年8月29日(日)
派遣海賊対処行動水上部隊がドイツ海軍と共同訓練
◯統合幕僚監部は、ソマリア・アデン湾に派遣されている海上自衛隊の派遣海賊対処行動水上部隊が29日、ドイツ海軍艦艇との間で共同訓練を実施したと発表した。海自の戦術技量の向上とドイツ海軍との連携強化が目的。
訓練はアデン湾で行われ、派遣海賊対処行動水上部隊からは護衛艦「ゆうぎり」、ドイツ海軍からはフリゲート「バイエルン」が参加。クロスデッキ、戦術運動などを訓練した。
日米印豪がフィリピン海で共同訓練
◯海上自衛隊の令和3年度インド太平洋方面派遣訓練部隊は26日から29日までの間、日米印豪共同訓練(マラバール2021)のフェーズ1後段にあたる訓練を実施した。マラバール2021は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、関係各国の連携をさらに強化する目的で実施されている。
フェーズ1後段の訓練は西太平洋(フィリピン海)で行われ、海上自衛隊の護衛艦「かが」「むらさめ」「しらぬい」、潜水艦、P1哨戒機、米海軍の駆逐艦「バリー」、補給艦「ユーコン」、P8A哨戒機、インド海軍のフリゲート「シヴァリク」、コルベット「カドマット」、P8I 哨戒機、豪海軍のフリゲート「ワラマンガ」が参加。対潜戦、防空戦、洋上補給などを訓練した。
2021年8月30日(月)
着任した米太平洋陸軍司令官が岸防衛相を表敬
◯岸信夫防衛大臣は、米太平洋陸軍司令官に着任したフリン陸軍大将の表敬を受けた。
両者は、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化を図るため、陸上自衛隊と米陸軍が引き続き緊密に連携していくことを確認した。
吉田陸幕長が米太平洋陸軍司令官と懇談
◯フリン米太平洋陸軍司令官が来省し、吉田圭秀陸上幕僚長と懇談した。
両者は、陸上自衛隊と米太平洋陸軍の防衛協力の方向性に係る意見を交換し、陸上自衛隊の領域横断作戦と米陸軍のマルチドメインオペレーションの連携をさらに深化させることで認識を共有した。
また、日米はもとより、2国間、多国間での防衛交流、共同訓練、能力構築支援などをこれまで以上に多層的に積み重ね、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化し、日本の安全とインド太平洋地域の平和と安定に寄与していくことで一致した。
パラ展示飛行のカラースモーク飛散で窓口開設
◯航空幕僚監部は、東京2020パラリンピック競技大会の開会日(8月24日)に東京都内上空で展示飛行を実施したブルーインパルスが、航空自衛隊入間基地周辺(埼玉県)を飛行する際に、適正とされている高度よりも低い高度でカラースモークを使用したと発表した。
人体や環境に影響はないが、入間基地周辺の住民から車両にブルーインパルスのカラースモークと思われる物質が付着しているとの問い合わせが複数あったため、状況を把握し、個別に対応するための窓口を開設した。
異物混入問題の影響なく、接種10万回超える
◯防衛省は、8月23日(月)から29日(日)までに自衛隊が大規模接種センターで実施した新型コロナウイルスワクチンの接種回数を発表した。東京は6万9301回、大阪は3万3656回。異物混入問題の影響で大阪では微減となったが、合わせて10万回を超える接種を実施した。
2021年8月30日(火)
防衛力強化へ、5兆4797億円を要求
◯岸防衛大臣は、概算要求省議に出席した。なお、今回の省議は、オンラインで行われた。
令和4年度概算要求における防衛関係費の総額は5兆4797億円で、宇宙・サイバーなど領域横断作戦に必要な能力や次期戦闘機などの研究開発、処遇改善を含む人的基盤の強化に重点が置かれている。
防衛省・自衛隊は、「周辺各国が防衛費の大幅な増額などにより軍事力の強化を図るなど、わが国周辺の安全保障環境がこれまでにない速度で厳しさを増す中、必要な防衛力を大幅に強化し、多次元統合防衛力を構築してく」としている。
陸幕長がフランス陸軍参謀長とテレビ懇談
◯吉田圭秀陸上幕僚長は、7月にフランス陸軍参謀長に就任したシル大将とテレビ懇談を実施した。
両者は、インド太平洋地域の安全保障環境、今後の日仏陸軍種の防衛協力・交流などについて幅広く意見交換し、今後も陸軍種間で連携を強化することで一致した。
対馬沖で中国海軍の艦艇を確認
◯海上自衛隊は午前0時ごろ、対馬の北東約45kmの海域を南西進する中国海軍ジャンダオ級小型フリゲート1隻を確認した。その後、当該艦艇は対馬海峡を南下。東シナ海へ向けて航行した。なお、この艦艇は、8月14日に対馬の南西海域で確認され、その後、対馬海峡を北東進したものと同一である。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第3ミサイル艇隊所属のミサイル艇「おおたか」(佐世保) 、第4航空群所属のP1哨戒機(厚木)により、所要の情報収集・警戒監視を行った。
空自が米空軍と要撃戦闘などを訓練
◯航空自衛隊は、空自の戦術技量向上と日米同盟の抑止力・対処力を強化する目的で、米空軍との共同訓練を実施した。
訓練は日本海、東シナ海と沖縄周辺空域で行われ、編隊航法訓練と要撃戦闘訓練(※)を実施した。※要撃とは、敵を迎え撃つこと。
参加部隊は以下の通り。
参加部隊 | 参加機 | |
---|---|---|
航空自衛隊 | 第2航空団(千歳) | F15戦闘機×3機 |
第5航空団(新田原) | F15戦闘機×4機 | |
第6航空団(小松) | F15戦闘機×2機 | |
第7航空団(百里) | F2戦闘機×2機 | |
第8航空団(築城) | F2戦闘機×4機 | |
第9航空団(那覇) | F15戦闘機×4機 | |
米空軍 | B52戦略爆撃機×1機 |
2021年9月1日(水)
防災の日、首都直下地震想定し訓練
〇「防災の日」のこの日、岸防衛大臣は、首都直下地震を想定して実施された緊急災害対策本部会議の訓練に大臣室からオンラインで参加した。自衛隊は、今後予想される大規模災害に備え、防災対応力の向上を図る。
海自がパラオ共和国と初の親善訓練
◯海上自衛隊のインド太平洋方面派遣訓練部隊は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日パラオ親善訓練を実施した。海自の戦術技量の向上とパラオ共和国海上保安局との相互理解の増進が目的。パラオとの訓練は今回が初めて。
訓練はパラオ周辺で実施され、海自から護衛艦「かが」「むらさめ」「しらぬい」と搭載航空機SH60K、パラオ共和国海上保安局から巡視船「ケダム」「レメリーク II」が参加。両国は、通信訓練、戦術運動、捜索救難訓練などを実施した。
2021年9月2日(木)
太平洋島嶼国国防大臣会合で共同声明
◯岸防衛大臣は、議長として日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD)に出席した。
JPIDDは防衛省が主催する初の多国間防衛相会合で、太平洋島嶼国(フィジー、パプアニューギニア、トンガ)と地域のパートナーの国々(オーストラリア、カナダ、クック諸島、フランス、ミクロネシア連邦、キリバス共和国、マーシャル諸島共和国、ナウル共和国、ニュージーランド、ニウエ、パラオ共和国、ソロモン諸島、ツバル、英国、米国、バヌアツ)が参加。「自由で開かれたインド太平洋」、海洋安保、コロナ対応、気候変動と人道支援・災害救援(HA/DR)について意見を交換し、議論の成果として、JPIDD共同声明を採択した。
共同声明は防衛省・自衛隊のホームページで閲覧できる。
「日・太平洋島嶼国国防大臣会合共同声明」