埼玉県の川口市立芝南小(加藤智美校長)の卒業式で、卒業生たちが式後、未来への希望を込めて校庭から飛ばした風船が、遠く離れた茨城県小美玉市の空自百里基地(司令・石村空将補)に〝着陸〟した。卒業生の思いを受け止めた基地側は、グッズなどのプレゼントを贈ることを計画。

 コロナ禍で遠出や接触が難しいため、贈呈を埼玉地本(本部長・山下1空佐)に委ねた。思わぬ形で結ばれた自衛隊と小学校との縁。学校や卒業生、その家族が感激したという心温まる出来事をまとめた地本の投稿を紹介する。

結ばれた自衛隊と小学校の縁

 話は3月24日に遡る。

 同校の令和2年度卒業生104人と保護者は、卒業記念として校庭から大空へ300個もの風船を飛び立たせた。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、同校でもさまざまな活動が制限された。児童たちの心に残る卒業式にしたいという保護者の会の発案で実現した企画で、卒業生は未来への希望と決意などを書いた。

 当日は晴天に恵まれ、色とりどりの風船が青空高く舞い上がり、その中の1つが100キロほど離れた百里基地へ到達した。

 風船に結ばれた学校名と学校からの趣旨が書かれたお知らせ、児童の言葉などを読んだ百里基地の隊員は感銘を受け、その気持ちに応えて卒業生に記念品を贈りたいと計画。コロナ禍で県をまたいで訪問することが難しい状況のため、埼玉地本に代役が託された。

 驚いたのは、百里基地から連絡を受けた学校側。校長は自衛隊から電話が来たことに驚きを隠せなかったという。

 4月22日、埼玉地本の担当者が同校を訪問し、加藤校長に記念品の目録を贈呈。百里基地のボールペンやクリアファイルなどのほか、地本からもグッズが贈られた。

 校長は、「風船が百里基地に到達したことを知り、卒業生も保護者も感激していた。記念品はこれから送る予定の卒業アルバムと共に卒業生104人に郵送する」と述べ、「災害派遣以外の場面で自衛隊を身近に感じることができた。このご縁に感謝します」と感動した様子だった。

 また、百里基地の代理で同校を訪問した地本の部員も「心温まる出来事に携われたことを光栄に感じた」と話していた。

 埼玉地本は「今後も部隊と地域との懸け橋となっていきたい」としている。

ツイッターでも話題

 空自百里基地では、芝南小学校の児童たちとの交流を、「希望の風船」として公式ツイッターで伝えた。

 「川口市立芝南小学校令和2年度卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんが自分の未来への希望を込めて放たれた風船が、遠く離れた茨城県の百里基地まで届きました。中学校でもしっかり勉強・運動に頑張ってくださいね(百里基地隊員一同)」

 ツイッターには、基地に届いた風船と、それに結び付けられていたお知らせの紙を紹介。紙には「風船を拾われた皆様へ」のタイトルの後に趣旨が説明され、「ご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げますとともに、皆様方の格別なご理解を賜りたく、心よりお願い申し上げます」などと記されていた。

Twitter: @jasdf_hyakuri tweet

twitter.com

 一方、基地の代役を務めた埼玉地本も、公式ツイッターで4月の贈呈の様子を写真とともに伝えた。

 すると、「心が温かくなりました」「これからも芝南小学校との交流が続くといいですね。ほっこりしました」「すてきな交流です。百里に届けてくれた風さん、ありがとう」など、多くのコメントが寄せられた。


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