【長崎】陸自対馬警備隊(警備隊長・山口1陸佐)は3月1日から3日の間、令和2年度「基礎となる部隊の訓練検閲」を実施した。対馬特有の厳しい生地を活用し、情報小隊と施設作業小隊に対し対抗方式で訓練検閲を行った。(他写真3枚)

 1日、午前5時の非常呼集により登庁した隊員は、個人物品をまとめるとともに、部隊物品を掌握。出動準備を整えた。

 出動準備が整った各小隊は、それぞれの小隊長から前進命令を受け、目的地への前進を開始した。

 夕方から天候が一変し、豪雨と極寒の中での訓練となったが、情報小隊は集結地を目指した。隊員は個人物品などを入れた重さ約25キロの背のうを担ぎ、第1拠点・監視地点へ前進。監視地点に到着すると、速やかに偵察・中継の任務を実施した。

 一方、施設作業小隊は、防御地域に到着後、現場の安全を確認し、鉄条網、対戦車崖、地雷原を構成。特に地雷原の埋設では、規格通りの掘開と正確な深さで作業を完了した。

 2日、雨はやんだものの冷たい風が吹く中、情報小隊・施設作業小隊の隊員ともに濡れた身体で寒さに震え、睡魔と闘いながら任務を継続した。

 最終日、疲労もピークに達する中、敵のドローンによる上空からの偵察に対処し、そこで状況終了となった。

 また、今回の検閲では、珍しい「同一部隊での親子3人の訓練検閲参加」が実現。情報小隊6組長として父の坂上仁志2陸曹、4組斥候員として次男の翔夢陸士長、施設作業小隊施設分隊施設手として長男の海翔陸士長が揃って参加し、長男の海翔士長は、優秀隊員として表彰を受けた。

 長男、次男ともに父の背中を追って陸自に入隊し、対馬警備隊に配置。昨年8月に父の仁志2曹が対馬警備隊に異動となり、親子3人での警備隊勤務となった。親子で同一駐屯地に勤務する例はあるが、親子3人が同一部隊勤務で同時に訓練検閲に参加するのは珍しい。

 今回初めて受閲した次男の翔夢士長は、「雨に濡れ、寒くてくじけそうになったが、父の歩いている背中を見て、最後まで頑張ることができた。普段、見ることのない父の姿を見ることができた」と話していた。

 対馬警備隊は「これからの坂上親子の活躍に期待したい」としている。

 <防衛日報 2021年3月18日(木)2面>

検閲を終えて親子3人で記念撮影

敵情を監視する坂上仁志2曹

地雷埋設をする坂上海翔士長

地図で拠点を確認する坂上翔夢士長


◆関連リンク
陸上自衛隊 対馬駐屯地(対馬警備隊)
https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/tusima/index.html