山口駐(司令・杵淵1陸佐)には、「文武両道の地」の碑と「歩兵第四十二聯隊之碑」という2つの石碑がある。
「文武両道の地」の碑は昭和45年6月、第8代17普連長、藤本健市1陸佐によって、部隊の精強性を未来に伝えるため建立された。同年11月、歩兵42聯隊の勇士たちの功績を記念し、県民有志と聯隊会の会員が「歩兵第四十二聯隊之碑」を建立した。
2つの石碑は建立から50年が経過し、石の表面に劣化が見られるようになっていたため、今年5月から10月にかけてしっかり整備された。整備にあたったのは、山口市の田村石材工業所の3代目、田村光生氏。田村氏の父、故田村初次郎氏が石碑の建立に携わるなど、同所と駐屯地の関わりは長く、今回ボランティアでの整備の申し出があった。同氏は10月18日の山口駐創設65周年記念行事で、石碑と歴史の風化防止に尽力した功績などにより、杵淵司令から感謝状を贈呈されている。
田村氏に今回整備を行ったいきさつについて尋ねると、ある夢がきっかけになったと話した。ある時、亡き父が夢に現れ、「先人の思いを大切にしなさい」とのメッセージを残したところで目が覚めたという。
父・初次郎氏は元軍人で非常に厳しく、親の言うことを守らなければ「愛のムチ」が飛んでくることもあった。「今の日本があるのも先人の方々のお陰だ」と常に話していたという。
今後も父の思いを受け継いでいくという田村氏は、「先人への感謝の気持ちを忘れず、歴史と石碑の風化防止に取り組んでいきたい」とほほえんだ。