河野大臣「初動態勢を組み、万全期す」

 沖縄、九州地方のほぼ全域を巻き込み、各地に大きな爪痕を残した台風10号。自衛隊は約2万2000人で初動態勢を組み、9月4、5の両日、鹿児島県の離島の住民200人の避難支援にあたった。6日、政府は関係閣僚会議を開き、安倍首相が「命を守る行動を」と呼び掛け、多くの住民が事前に避難した。被害の全貌はまだ明らかになっていないが、宮崎県椎葉村では土砂崩れが発生。8日現在、多くの住民が避難所などに身を寄せるなどしている。

 4日午後1時、鹿児島県知事から陸自8師団長(北熊本駐)に対し、台風10号の接近に伴う住民避難のための災害派遣要請があった。

 防衛省によると、自衛隊は陸自西部方面航空隊(高遊原分屯地)など九州、沖縄の陸海空自部隊、航空機7機が出動し、鹿児島県十島村の7つの島に住む高齢者や乳幼児、妊婦ら173人を鹿児島市の「マリンポートかごしま」まで空輸。5日には、口之島の13人、中之島の14人の空輸を実施し、すべての対象者の避難を完了させた。同午前9時41分の知事の撤収要請を受けて、任務を終えた。

 台風10号については、かつて経験したことのないほどの威力とされ、気象庁は「最大限の警戒」を呼び掛けた。

 6日午後4時すぎから政府の関係閣僚会議が開かれ、安倍首相が、命を守る行動を直ちにとるよう国民に呼び掛けるとともに、関係閣僚に対し、「さまざまな事態に対応するため、警察、消防、海上保安庁はもとより、自衛隊も即応態勢を敷いて引き続き万全を期してほしい」と指示。河野防衛大臣も都内で「自衛隊は約2万2000人で初動態勢を組んでいる。自衛隊として備えに万全を期したい」と述べていた。

 内閣府のまとめによると、7日正午現在、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄など11県で4269の避難所、15万1826人が避難している。

沖縄電力の社員12人を空輸

 台風10号の影響で沖縄県の北大東島の60棟が停電した。

 北大東島空港は、通信機材の不具合で民間航空機の運航ができなくなったため、9月7日午前7時15分、沖縄県知事から陸自15旅団(那覇駐)に対し、停電復旧を行う沖縄電力の社員12人の輸送に係る災害派遣要請があった。

 同9時25分、陸自15ヘリコプター隊のCH47輸送ヘリ1機が出動。北大東島への空輸を行った。

住民避難を支援

 台風10号に伴う住民避難支援で災害派遣された部隊は次のとおり(統合幕僚監部発表。9月7日現在)。

 《4日》▽人命救助など(173人の避難完了)=陸自西方航空隊(高遊原・CH47輸送ヘリ4機)・海自22航空隊鹿屋航空分遺隊(鹿屋・UH60救難ヘリ2機)・空自那覇ヘリコプター空輸隊(那覇・CH47輸送ヘリ1機)

 ▽空輸=鹿児島県十島村7島(口之島28人・中之島29人・平島29人・諏訪之瀬島2人・悪石島38人・小宝島33人・宝島14人)在住の高齢者、乳幼児、妊婦合計173人を鹿児島市内(マリンポートかごしま)まで空輸。

 《5日》▽人命救助=口之島13人・中之島14人の空輸により全避難対象者の避難完了(陸自西方航空隊・CH47輸送ヘリ1機)

 《7日》▽空輸=沖縄県北大東島に、停電復旧のため沖縄電力社員12人を輸送(陸自15ヘリコプター隊・CH47輸送ヘリ1機)

2020年9月4日 15:50 CH-47J離陸 高遊原分屯地

2020年9月4日 15:50 CH-47J離陸 高遊原分屯地

2020年9月4日 15:50 CH-47J離陸 高遊原分屯地

2020年9月4日 17:20頃 中之島(鹿児島県)


◆関連リンク
防衛省・統合幕僚監部
【おしらせ】0907_北大東島への人員輸送に係る災害派遣 (撤収)(PDF)
https://www.mod.go.jp/js/Activity/Gallery/images/Disaster_relief/0209_10th_typhoon/0209_10th_typhoon/0209_10th_typhoon.pdf

陸上自衛隊 西部方面隊
https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/

陸上自衛隊 第8師団
https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/8d/

陸上自衛隊 第15旅団
https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/15b/15b/

海上自衛隊 第22航空隊
https://www.mod.go.jp/msdf/22aw/introduction/22fs/22fs_top.html

航空自衛隊 那覇基地
https://www.mod.go.jp/asdf/naha/