空自百里基地所属の偵察航空隊(司令・朝倉1空佐)は3月26日、同日をもってその59年の歴史に幕を閉じた。

 日本を守るため、昼夜を問わず全国の空を飛び回り、有事や災害の際などの情報収集任務を担って活躍してきたが、機体の老朽化などのため部隊の廃止が決まり、歴史に幕を下ろした。同隊の任務は今後、各部隊の戦闘機や無人機に引き継がれ、隊員たちは他部隊に異動となる。

 偵察航空隊は、空自唯一の偵察専門部隊として昭和36年に松島基地に誕生後、同50年には百里基地に拠点を移転。これまでに、東日本大震災や昨年秋の台風19号による災害にも現場に急行し、数多くの災害で上空から撮影を行って報告した。

 偵察航空隊では、かつては約30機のRF4偵察機を運用していたが、最後まで残った機体は数機のみ。それでも2月4日には無事故飛行8万時間を達成する偉業を成し遂げた。

 3月9日には「飛行訓練終了セレモニー」が行われ、航空偵察隊の有終の美を飾ろうと、隊員約300人が熱い想いで最後の飛行訓練を見守った。同日午前に3機、午後に3機のRF4がラストフライトを実施。501飛行隊の隊長・岡田智光2空佐が編隊長として指揮し、約1時間後に無事に百里基地に帰着した。訓練後、隊員たちは機体にお神酒をかけて清めるとともに、ラストフライト恒例の隊員同士での水かけを行い、これまでの任務をたたえ合った。

 廃止日となった26日、朝倉司令は「今まで任務遂行できたのは、国民や地域の皆様の支援のおかげと感謝している。長い間応援していただき、ありがとうございました」と語り、感慨深げな表情を見せていた。

偵察航空隊飛行訓練終了セレモニー

偵察航空隊飛行訓練終了セレモニー

偵察航空隊飛行訓練終了セレモニー

無事故8万時間達成時

無事故8万時間達成時