平成30年度「自衛隊音楽まつり」が11月21日から23日の3日間、「挑戦」をテーマに東京・千代田区の日本武道館で開催された。

 54回目の今回は、陸海空自の音楽隊などのほか、米海兵隊3海兵機動展開部音楽隊や在日米陸軍軍楽隊、フランス海軍所属の軍楽隊やシンガポール軍軍楽隊が参加し演奏を披露した。

 招待公演の22日、鑑賞に訪れた岩屋毅防衛相が「今この瞬間にも、多くの隊員たちは各持ち場で任務に挑戦し続けている。挑戦し続ける自衛隊を温かい目で見守っていただきたい。日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどの異なる地域の音色を楽しんでもらうとともに、国防当局間の友好がグローバルに広がっていることを感じてほしい」とあいさつした。

 第1章「陸の挑戦~芽生える、大地からの鼓動~」では、陸自東北方音楽隊が地元仙台市の七夕祭にちなんだ「きらきら星」「たなばたさま」で澄み渡った音色を響かせた。

 続いて西方音楽隊が大河ドラマ「西郷どん」のテーマなどを力強く披露。米海兵隊音楽隊や在日米陸軍軍楽隊は、陽気なパフォーマンスで聴衆を魅了した。陸自中央音楽隊が「祖国」「陸軍分列行進曲」を演奏、302保安警務中隊によるドリル演技は大きな拍手を浴びた。

 最後は1章に出演した全音楽隊が合同で息の合った演奏を披露。東日本大震災に見舞われた東北方音と、熊本地震で大きな被害を受けた西方音が震災後初めて共演し、両音楽隊の隊員が合唱で「明日へ」を歌い上げると、会場は大きな感動に包まれた。

 第2章「海の挑戦~繋がる、希望の海」では、フランス海軍所属のバガッド・ド・ラン=ビウエ軍楽隊やシンガポール軍軍楽隊がそれぞれ特色ある自国の楽曲などで聴衆を魅了。

 続く海自東京音楽隊は〝海自の歌姫〟の愛称で人気の三宅由佳莉3海曹と自衛隊音楽まつりに初出演となる中川麻里子3海曹が初めて共演し、美しい歌声を披露した。

 第3章「飛翔、昇りゆく挑戦。」では、防衛大学校儀仗隊がファンシードリル、全国から選抜された自衛太鼓12チームがそれぞれ迫力ある演舞を披露し、見事な統率美に聴衆から大きな拍手が送られた。

 第4章「空の挑戦~広がる、明日の空へ~」では、空自中央音楽隊が空自入間修武太鼓と「タタリ神」で幻想的な雰囲気を作り出した後、人気アニメ映画「天空の城ラピュタ」や空自のテーマ曲「空の精鋭」を披露。空自演技隊の女性自衛官によるフラッグパフォーマンスも音楽まつりを華やかに彩った。

 最終章は「終わらぬ挑戦」と題し、全出演部隊で「SEIMEI」「ジュピター」「みんながみんな英雄」を合同演奏。陸海空自の歌姫5人が初めて揃い踏みし、美しい歌声を披露すると、盛り上がりは最高潮に達した。

 3日間の開催で4万1489人の聴衆が訪れ、華麗で大迫力の演奏に感動し大きな拍手を送った。

 初めて音楽まつりを見に来たという20代男性は「音楽隊の演奏にも感動したが、裏方の演技支援隊が紹介されていたのが良かった」と話した。会社役員の30代女性は「洗練された統率美を通じて、組織とは何かを改めて認識することができた。ぜひこの感動を社員に伝えたい」と話していた。

音楽隊の演奏で美しい歌声を披露する左から 松永美智子3陸曹、鶫真衣3陸曹、森田早貴1空士、中川麻里子3海曹、三宅由佳莉3海曹、の女性5人