防衛日報をご愛読の皆様に、謹んで新年のお慶びを申し上げます。また、旧年中は、航空自衛隊に対し格別のご厚誼を賜り、ありがとうございました。

 昨年の平成30年を振り返りますと、航空自衛隊は、弾道ミサイルに対する態勢の維持、増加の一途を辿る対領空侵犯措置、西日本豪雨や北海道胆振東部地震といった各種災害への対応など、国民の皆様の安全安心のため、日夜、任務を遂行してまいりました。

 現在、我が国を取り巻く安全保障環境は、極めて速いスピードで変化しています。我が国の周辺には、質・量に優れた軍事力を有する国家が集中し、軍事力の強化や軍事活動の活発化の傾向が顕著となっています。国際社会のパワーバランスの変化は加速化・複雑化し、既存の秩序をめぐる不確実性は増大しています。

 このような安全保障の現実に正面から向き合い、従来の延長線上ではない実効的な防衛力を構築する必要があるとの考えのもと、昨年12月に「新たな防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画」が策定されました。新大綱・中期防では「多次元統合防衛力」を構築し、領域横断(クロス・ドメイン)作戦に必要な能力を強化するとされています。

 新しく迎えた平成31年は、多様化する任務を着実に遂行するとともに、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力の獲得・強化、柔軟な運用が可能な短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機を含む戦闘機体系の構築、スタンド・オフ防衛能力及び総合ミサイル防空能力の強化等により、太平洋側を含め、空における対処能力をさらに向上させ、国民の皆様の生命・身体・財産、我が国の領土・領海・領空を守るため、一丸となって任務に邁進し、国民の皆様の負託に応えたいと思います。

 本年も引き続き、皆様の航空自衛隊に対するご理解とご協力を、よろしくお願い申し上げます。

 最後に、読者の皆様のご健勝及びご多幸を祈念して、新年のご挨拶といたします。