再び社会を支える力に|全電協株式会社

全電協OB会に見る、自衛官の“第二の人生”

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締めのあいさつをする森島取締役 兼 保安本部長


労働人口が減る今、再就職支援(援護)の重要性が増している。自衛官OBを多く受け入れる全電協株式会社(東京都中央区)の「OB会」で、かつて“援護総監”と呼ばれた元西部方面総監・林直人氏の姿も。退職自衛官の“第二の人生”を語る。


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アウトドアカフェ「REWILD OUTDOOR TOKYO」より

 電気設備の保安管理を担う全電協株式会社(本社・東京都中央区)は7月31日、本社1階のアウトドアカフェ「REWILD OUTDOOR TOKYO」で、勤務する自衛官OBの労をねぎらう恒例の「OB会」を開催した。



 年2回実施される催しで、今回は前回を上回る約30人が参加。防衛省援護担当者も加わり、和やかでありながら意義深い交流の場となった。


 冒頭で山口政雄社長が「今日は年に2回開催しているOB会の第1回目です。大いに楽しんでください」と短くあいさつ。「今日はみなさんが主役。私の話はいいんです」と語り、社員を思う社長の姿勢に笑顔が広がった。


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あいさつを簡単に済ませ「楽しむように!」と促す山口社長


 この日は、防衛省の陸海空自からそれぞれ援護課の担当者も出席。防衛省としても、自衛官OBを多く雇用している企業との情報交換の場を貴重な機会と捉え、退職後のキャリア支援や雇用拡大のあり方などについて、活発な意見交換が行われた。


 参加したOBたちは、防衛省の援護担当者に「第二の人生としてここ(全電協)は申し分ない」「もっと仲間を増やしたいので援護課にはぜひ頑張ってほしい」と積極的に意見を伝え、現場では笑顔と熱意のこもった意見交換が続いた


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今の勤務状況を援護担当者に説明する自衛官OB従業員

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「もっと仲間を増やしたい」と語る自衛官OB従業員


 参加者の熱意にあふれる意見交換が続く中、同社は、給与面でも自衛官OBが求める基準を満たしているだけでなく、技術者としての誇り、そしてその技術で日本の電力を支えているという使命感が、彼らからひしひしと伝わってきた。


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自己紹介も皆はつらつとした雰囲気で

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自衛官OBでない従業員の中にも自衛隊ファンが多い


 普段は各営業所で勤務しているため顔を合わせる機会が少ない彼らだが、元自衛官同士、会えばすぐに意気投合。最近の出来事や現役時代の思い出話に花を咲かせ、しばらく和やかな雰囲気で歓談が続いた。


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終始にぎやかな雰囲気のOB会

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顧問の元航空幕長 田母神氏を囲って

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昨年11月入社の小田さんも一員としてなじんでいた

オールドルーキーの挑戦!再就職・再挑戦・再起動する元自衛官たち


 会の締めくくりには、司会を務めた元空自の吉原氏の呼びかけで、「この国は」「抜刀隊」「同期の桜」を全員で合唱。自衛官ならではの一体感が会場を包み、温かな拍手が沸き起こり、OB会は幕を閉じた。


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抜刀隊を全員で歌唱

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最後は参加者全員で「同期の桜」を合唱

 

 会場の一角で、穏やかな笑顔を見せながら参加者の声に耳を傾けていたのが、元西部方面総監の林直人氏。“援護総監”と呼ばれた林氏に、現在の援護や自衛官の第二の人生について伺った。


「援護は隊員の最強のセールスマンであれ」

元西部方面総監 林直人氏が語る、自衛官の“第二の人生”支援の在り方


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元西部方面総監 林直人氏


 全電協のOB会には、従業員である元自衛官の他、陸海空自の援護課も参加しているなか、“援護総監”と呼ばれた元西部方面総監の林氏も初参加していた。


 林氏によると、全電協とのつながりは今回のOB会が初めてで、9月1日付で同社に入社した川野1陸佐の再就職相談がきっかけだったという。川野1陸佐から再就職の相談を受ける中で、「現場で働きたい」という思いを聞いた林氏は、自身が所属する関電工を紹介。生活環境などの問題もあり、陸幕援護課を通じて全電協を紹介され、入社に至った。


 そのお礼も兼ねて、川野1陸佐が「お世話になった林氏を全電協の山口社長に紹介したい」と申し出たことから、今回の席が実現した。


 「まさかあの場に、同期の田母神くんがいるとは思わなかった」と笑顔で振り返った。


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田母神氏と笑顔で握手を交わす林氏

 

 全電協については「多くの元自衛官を採用いただいていることに感謝している」と語り、「退職年齢に関係なく働ける環境は、労働人口が減少する日本にとって発展性があり、同社は、すでに元自衛官の受け入れ体制が整っており、今後さらに活躍の場が広がるだろう」と期待を寄せた。


 一方で、現行の援護制度にも言及。「援護希望者全員への再就職支援がなされている点は本当に素晴らしい」としながらも、2次援護(再就職後の離職者への再支援)がなされていない現状には課題があると語る。


 その背景には、指揮官(中隊長など)の援護意識に格差があるとし、「苦楽を共にした指揮官こそ、部下にとって最強のセールスマンであるべき」と強調した。


 「離職が発生するのは、退職者の本質を理解しないまま就職先を決めてしまうケースがあるから。部下の特性をよく知っている指揮官が、得手不得手を見極めた上で援護に力を入れれば、離職は減るはず。隊員の幸せな第二の人生のために、指揮官が援護を自分ごととして捉えてほしい」と林氏は語る。さらに、少子高齢化や働き方の多様化などから、より組織としての一体感や協調性が求められる現代社会の課題に触れ、自衛官が培った「自己位置確認能力」「私的要求を制御できる力」が解決の糸口となる。これこそ社会が求める人材だと強く語った。


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OB会で再就職について語る林氏の言葉に耳を傾ける参加者たち


 最後に、


 「労働人口が不足する今こそ、援護は自衛隊の強い武器になり得る」とした。



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