尖閣諸島海域保全機構は尖閣諸島周辺海域(沖縄・石垣市)で捕れる沖縄三大高級魚であるハマダイ(通称・アカマチ)を全国の食卓へ届けるための支援を始めた。同機構は漁や流通経路の確保などで協力しており、豊洲市場(東京・江東区)での取り引きや、石垣市のふるさと納税の返礼品を「尖閣アカマチ」として提供できるようにした。この取り組みを通じて、日本固有の領土である「尖閣諸島」を国内外にアピールする狙い。

ふるさと納税の返礼品で尖閣諸島アピール

 尖閣諸島周辺はアカマチなどの高級魚が集まる好漁場だ。だが、平成24年に尖閣諸島が国有化されると大型の中国公船に小さな日本漁船が追いかけられたり、中国漁船から網を切られたりする漁師もおり被害が絶えない。トラブルを避けるために、尖閣諸島での漁は減少している。

画像: 尖閣諸島周辺・魚釣島(提供・内閣府)

尖閣諸島周辺・魚釣島(提供・内閣府)

 こうした中、立ち上がったのが石垣市議で同機構の代表理事を務める仲間均と同じく代表理事の林弘明の両氏ら。石垣市や地元の八重山漁協などを巻き込み、同市のふるさと納税の返礼品に「尖閣アカマチ」として提供することや「日本の台所」である豊洲市場への流通経路を確保し、新鮮なアカマチが全国の食卓や料亭などに届くよう支援。さらにアカマチ料理を扱う「尖閣アカマチ食堂」(石垣市美崎町)が開店するなどアピールする場が着々と増えている。

 漁師でもある仲間氏とその仲間たちのほか、同漁協に所属するほかの漁師も尖閣諸島周辺でアカマチの漁を行う。売上の一部は、漁船の燃料費や労務費などに活用する。

アカマチは、マクブー、アカジンミーバイと肩を並ぶ三大高級魚だ。水深200メートル以深に生息。V字型の長い尾びれが特徴で、「深海のルビー」とも呼ばれている。白身魚でほどよい脂がのっており、煮付けや刺身などにしてもおいしいという。

 同機構の林氏は「尖閣諸島周辺には中国公船などが押し寄せ、漁の障害にもなっている。このような迫害に負けることなく、漁を続け、多くの人々に『尖閣アカマチ』を食べてもらうことで、日本固有の領土である尖閣諸島について、興味を持ってもらいたい」と話す。

危険な漁場で海保が警備

 尖閣諸島は、暖かい黒潮の流れと大陸から栄養塩を含む低温の水が混ざり合う潮目に位置し、多くの魚が集まる好漁場。だが、尖閣諸島が国有化されると、中国公船が頻繁に現れるようになった。こうした中、石垣島から尖閣諸島周辺海域の漁場までの片道約150キロの道のりは、燃料費がかさみ、安全面も考慮して漁を控える漁師が多いという。

 海上保安庁によると、今年1月から9月1現在まで中国公船が領海侵入したのは22件。このうち、日本漁船を追い回すなどの事案は9件だ。令和4年は28件中11件、3年は34件中18件と、日本漁船への嫌がらせが続いている。海保は領海侵入する中国公船に対して「退去要求をするとともに、日本漁船の周囲に巡視船を配備し、操業の安全確保を図っている」と、警戒の目を光らせている。

今年4月17日に石垣海上保安部を訪問し、尖閣諸島の現状などの説明を受けた林氏は「安心して漁ができるのは海上保安庁のおかげだ。海保の活動を多くの人々にも伝えたい」と感謝を述べた。

画像: 危険な漁場で海保が警備

「尖閣アカマチを多くの人に食べてもらい、尖閣諸島のことを知ってもらいたい」と語る林代表理事

石垣駐に書を寄贈し隊員を激励|尖閣諸島海域保全機構


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