土曜日より雲の多かった当日本番

 宮古空港へ帰らなかったのは同港利用可能時間が朝8時から13時に限定されていたためで、そのためブルーインパルスは翌日本番でも再び那覇基地から宮古空港に展開しての展示となった。
 この日は土曜日に比べ風も強く、展示飛行の1時間ほど前には晴れ間も広がったが雲の流れも速く、曇り空の展示飛行となった。

画像: ①デルタローパスでスタート(写真・伊藤宜由)

①デルタローパスでスタート(写真・伊藤宜由)

 11日(日)本番は前日に比べ雲が多く、空も暗めであった。前日と違い6機でスタートした本番は雲のタイミングによっては縦系のループ課目を狙っていたかもしれない。

画像: ②リーダーズベネフィットローパス(写真・伊藤宜由)

②リーダーズベネフィットローパス(写真・伊藤宜由)

 会場前の海峡には海上保安庁の巡視船が出て、ヨットやクルーズ船も見られた。サンフランシスコフリートウィークの縮小版のようだ。

画像: ③クリスマスツリーローパス(写真・伊藤宜由)

③クリスマスツリーローパス(写真・伊藤宜由)

 2022年のツアーはこのクリスマスツリーローパスで締め括られた。宮古島の本番としては3課目で終了し、航過飛行に留まった。
 那覇基地へ帰投したブルーインパルスは美ら島エアーフェスタ(那覇基地航空祭)会場へと降り立ち、地上展示や写真撮影に応じた様子がSNS等で報じられていた。
 メンバーは百里基地航空祭と同じオール福岡県出身メンバーだった。会場のサンセットビーチにはナレーターとして5番機錬成の藤井正和1空尉(航学60期)も来場した。

宮古島に歓迎されたブルーインパルス

 メイン会場となった平良港トゥリバー地区サンセットビーチには、2023年初夏に開業予定というヒルトンホテルが建設中で、宮古ブルーの海を堪能できるリゾート地として益々の発展が期待されている。筆者の宿泊した宮古空港近くのホテルも真新しく、Google Mapのストリートビューではまだ空き地であった。伊良部大橋を渡っての伊良部島にも新しいリゾートホテルがいくつも建設中であった。下地島空港にはスカイマークが就航し、現冬期は運休中だがジェットスターも就航済みで、リピート客も多いようだ。元々展示飛行も難しいかと思われる厳しい天気予報の中訪れたが、100パーセントの天気でなくとも美しい島々であることは充分に伝わってきた。

 滞在したホテルで、テレビは、地上波5チャンネル、BSが10チャンネルほど見られ充分であったが、宮古島固有の情報はもっぱらレンタカーのラジオから流れる「FMみやこ」からの情報に頼った。
 ブルーインパルスに関しては、前々日金曜日よりその期待の声が身近な人の言葉などで紹介されていたし、11日(日)当日の朝のニュースでは、7時41分に那覇基地を離陸したことがリアルタイムで報じられ、8時5分頃に宮古空港に到着することも同時に伝えられていた。展示飛行が終わり翌日の12日(月)にはFMみやこに寄せられたブルーインパルスの写真の感想が紹介されていた。例えば、望遠で撮った写真が操縦士の顔がわかるほどだ、などと何枚も言葉で紹介されていた。

 島の人々は物腰も柔らかく穏やかでホッとすることができた。この島は国内有数のリゾート地とし宮古ブルーの海と共に都会で疲れた人々を癒してくれることだろう。ヒルトンホテルが開業したら伊良部大橋の向こうに沈むサンセットの絶景が見られ、テラスから見下ろせばウミガメが浮き上がってくる姿も見られるだろう。ワイキキのような絶景がここにはある。

画像: トゥリバー地区サンセットピーチ(写真・今村義幸)

トゥリバー地区サンセットピーチ(写真・今村義幸)

画期的な展示飛行となった宮古島

 もっとも画期的な事は、ブルーインパルスが飛行場の滑走路以外で曲技飛行(アクロバット飛行)を実施したことだ。これは宮古島での曲技飛行を熱心に誘致した宮古青年4団体連絡協議会の尽力の賜物だろう。
 タイミングとしてはヒルトンホテル開業よりも先になったが、その良い告知にもなった。恐らくは伊良部大橋の開通やヒルトンホテルの誘致当初から、観光PRのための努力が面々と続けられ、その延長線上にこの展示飛行もあったのであろう。建設中のヒルトンホテルの屋上に飛行指揮所の設置が許可されたこともその証左といえよう。この力の入れ方や真新しいホテルの数々を見れば、宮古島の観光はこれからが旬であることがよくわかった。
 こうした流れが宮古島分屯基地50周年という最前線基地の周年行事に合わさったことで日々尖閣諸島をはじめとする南西諸島の空域を監視するレーダーサイト隊員の士気向上にも大いに貢献した。

画像: 下地島空港の滑走路の眺め。広大で周囲に高い建物や山もない(写真・今村義幸)

下地島空港の滑走路の眺め。広大で周囲に高い建物や山もない(写真・今村義幸)

 ブルーインパルスがもし、より長い滑走路を持ち、誘導路もあり、駐機場も宮古空港に比べれば倍ほども広い下地島空港に展開すれば、3課目程度でなくもっと多くの展示課目を実施できた。筆者は元々その展開から帰投までのすべてを見たくて4泊5日の旅程を組んだ。宮古空港よりトラフィックも少なく展示飛行にも有利だ。宮古空港にあれだけ離発着があることも初めて知った。
 宮古空港で制限された中でより繊細な展開を完遂したことは、航法などを含め総合的かつ緻密な展開能力の高さを示す結果となった。実はより高度な展示飛行を実施したということが、どれだけ理解されたであろうか。
 報道が一斉に報じた内容が概ね「ブルーインパルスが展示飛行した」と「市民団体による反対意見もあった」の2点のみに集約されていることも気になった。ここ宮古島でも下地島空港を持つ対岸の伊良部島側では、今年9月に施行された土地規制法に懸念されるような外国資本による土地買収が進んでいるということも見聞した。

 ブルーインパルスが宮古島に展開したことで筆者も初めて宮古島を訪れた。ブルーインパルスは、筆者にとっては行く先々での気付きを与えてくれる存在である。年内のスケジュールは終了したが、その気付きの旅はまだまだ続きそうだ。

画像: 宮古空港にアプローチする行きの便から見た宮古島の海と虹(写真・今村義幸)

宮古空港にアプローチする行きの便から見た宮古島の海と虹(写真・今村義幸)

取材・ブルーインパルスファンネット 今村義幸(文・写真)/伊藤宜由(写真)


This article is a sponsored article by
''.