【2022年11月24日(木)1面】 頻発する地震や台風、豪雨などの自然災害が多い日本にとって、自衛隊による防災に向けた広報は欠かせない。とくに、体験授業や講話などを通して学んでもらう子供たちへの活動は一層、力が入る。各地で展開するさまざまな支援。どう受け止め、これからに生かしていこうとしているのか。各地の様子と子供たちの声をまとめた。

「被災時に今回の経験を生かせる」|鹿児島地本

 鹿児島地本(本部長・稲崎1海佐)は10月18日、南九州市立頴娃(えい)中学校で1年生43人、教諭5人の計48人に対し、防災講話、体験授業を実施した。

 防災講話は、「大切な人の命を守るために」と題し、最初に東日本大震災の動画を視聴させた後、災害派遣の体験談を基にした講話を実施。生徒たちは真剣な表情で受講していた。

 防災体験授業では、応急担架作り、ロープワークを2つのグループに分け実施した。応急担架作りでは、2本の竹竿(さお)と毛布1枚を使って担架を作るにはどうすればいいのかを生徒間で意見を出し合いながら体験させ、一例を自衛隊が紹介した。

 体験中、生徒たち自身で考える時間を設けることでいろいろな意見が出て、自衛隊が紹介した作り方以外にも活用できそうな担架の作り方を知ることができた。また、ロープワークでは、日常でも役に立つ結び方を紹介した。生徒たちは悪戦苦闘しながらも、限られた時間でいくつかの結び方を身に付けることができた。

 今回の体験を通して生徒たちからは、「初めて体験することばかりで、もし被災した時でも今回の経験を生かすことができる」と心強い言葉を聞くことができた。

 後日、校長から「生徒、教諭ともに大変楽しく充実した時間で、今後も計画的に取り組んでいきたい」というお礼の便りをいただいた。

 鹿児島地本は「引き続き、防災授業を通じ、生徒の皆さんが自分でできる救命活動、日頃の備えの重要性について伝えるとともに、地域に根ざしている自衛隊をしっかりアピールし、自衛隊の信頼獲得、防衛基盤の拡充に資する教育支援を継続していく」としている。

画像: 応急担架で患者の搬送を体験

応急担架で患者の搬送を体験

画像: 生徒たちは真剣に説明に聞き入った

生徒たちは真剣に説明に聞き入った


◆関連リンク
自衛隊 鹿児島地方協力本部
https://www.mod.go.jp/pco/kagoshima/


「身の回りの物を役立てたい」|京都地本

 京都地本京都地区隊(地区隊長・後藤3陸佐)は11月7日、京都市中京区の洛陽総合高校で1~3年生10人に対し、防災講話を実施した。

 講話は、同校の生徒が自主的に参加する課外授業で、防災や自衛隊に興味のある生徒が参加した。自衛隊が実施する同校における防災講話は今年度3回予定しており、第2回となる今回は、応急手当ての実習、装備品や防災食などを展示した。

 実習は、「身近なものを利用した救命活動」と題し、「骨折時の処置・搬送法」を行った=写真。身近に起こる不測の事故などにも対処できるということもあり、終始熱心に取り組んでいた。

 陸自の個人装備と人命救助システムの写真展示では、個人携行救急品やスリングロープに興味を示してくれた。また、学校側の要望により、災害用備蓄飲料水や食料などを展示したことで、いろいろな種類の食料に大きな関心を示し、災害に対する備えの必要性を感じてくれた。

 参加した生徒からは、「身の回りの物を利用し、けがをした時に役立てたい」「いざという時のための備えが大事だと思った」「1月に実施される第3回のロープワークも参加したい」など多くの感想が寄せられた。

 京都地本は「防災講話を通じ、生徒の皆さんに自衛隊の概要や装備、防災について伝えることができた。今後も継続し、一人でも多くの人たちに自衛隊を理解してもらいたい」としている。

画像: 生徒も負傷者役となり、身をもって体験

生徒も負傷者役となり、身をもって体験

画像: 防災について学ぶ生徒たち

防災について学ぶ生徒たち


◆関連リンク
自衛隊 京都地方協力本部
https://www.mod.go.jp/pco/kyoto/

「命を守る大切さ学ぶことできた」|群馬地本

 群馬地本高崎地域事務所(所長・土屋3陸尉)は10月3日と5日の2日間、高崎福祉医療カレッジで看護師学科学生40人に対して、災害看護学の90分2コマの教育時間を利用し、災害派遣活動・防災について講話を行った。

 災害派遣活動は、陸幕広報室が作成した部外広報参考資料のDVDを活用して災害の状況・災害現場を具体的にイメージしてもらい、看護師がどのように活動していくのかを考えてもらった。

 防災については、「災害・危機管理に対する準備・備えの大切さ」として、防災意識を高め、物心両面の準備・訓練(予行)、各種連携の重要性と命を守ることの大切さを教育した。また、予備自衛官補制度についての紹介も行った。

 学生は真剣に耳を傾けてメモを取りながら聞いていた。

 学生たちからは、「防災、危機管理を深く知ることで、命の大切さを再認識させてもらいました」「これからの看護業務に生かしたい。命を守るということの大切さを改めて学ぶことができました」「自衛隊が最前線で助けてくれた命をつなげられるよう、医療従事者として日々考え、行動していきたいです」「実際の体験談を聞ける機会はなかったので、すごく考える時間になりました」などの感想が寄せられた。

 また、先生からも「災害看護での役割について改めて考え、看護職者を志した明確な目的も考える時間となり、意識が変わった学生が多かったように感じます」との言葉があった。

 群馬地本は「今後も自衛隊をより幅広く知ってもらうとともに、地域の災害特性を踏まえた防災教育を実施し、防災意識の向上に貢献していく」としている。

画像: 自衛隊として危機管理の視点から防災を伝えた

自衛隊として危機管理の視点から防災を伝えた

画像: 看護師学科の学生に対して説明

看護師学科の学生に対して説明


◆関連リンク
自衛隊 群馬地方協力本部
https://www.mod.go.jp/pco/gunma/

画像: 自衛隊の「防災広報」 講話や体験授業‥生徒・学生の声は

This article is a sponsored article by
''.