画像: 北朝鮮、2日連続で弾道ミサイル 米韓演習に反発か

ICBMも、異例の頻度に警戒強める

 【2022年11月9日(水)1面】 防衛省は11月3日までに、北朝鮮が同2日朝と午後に計3発、同3日早朝と夜に計6発の弾道ミサイルを発射したと発表した。3日の1発目が新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)と推定され、日本海上に墜落したとみられる。米韓両軍が10月31日から始めた大規模な軍事演習に反発した行動とみられている。いずれも、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下し、航空機や船舶の被害報告は確認されていない。ICBMを含む2日連続で計9発の発射という異例の頻度で繰り返しており、日米韓は情報収集に努めるなど、警戒を強めている。

 【11月2日】防衛省によると、午前8時50分ごろ、北朝鮮東岸付近から、少なくとも2発の弾道ミサイルを東、南東方向に向けて発射した。落下したのはいずれも朝鮮半島東岸付近。変則軌道で飛翔(しょう)した可能性がある。

 1発目は、最高高度約150キロ程度で、約150キロ程度飛翔。2発目は、最高高度約100キロ程度で、約200キロ程度飛翔。

 《防衛省は、政府内や関係機関に対し、情報共有を行い、岸田文雄首相に報告。首相から情報収集・分析、航空機・船舶などの安全確認、不測の事態に備える-の3点について指示があった》

 また、同日午後4時台には、北朝鮮東岸付近から少なくとも1発の弾道ミサイルの可能性があるものを東方向に向けて発射。最高高度約50キロ以下の極めて低い高度で短距離を飛翔したと推定。

 《情報を総合すると、北朝鮮は2日、米韓両軍が10月31日から始めた大規模な空軍訓練に反発して対抗措置を警告。韓国の領海近くに着弾した短距離弾道ミサイルを含む20発以上のミサイルを発射していた》

政府「厳重に抗議し、非難」

 【11月3日】少なくとも3発の弾道ミサイルを発射。1発目は午前7時39分ごろ、北朝鮮西岸付近から発射し、最高高度約2000キロ程度で、約750キロ程度飛翔し、朝鮮半島東側の日本海に落下。このミサイルは、ICBM級の可能性があるという。

 2発目は午前8時39分ごろ、北朝鮮内陸部から発射し、最高高度約50キロ程度で、約350キロ程度飛翔し、朝鮮半島東岸付近に落下。3発目は、午前8時48分ごろ、北朝鮮内陸部から発射し、最高高度約50キロ程度で、約350キロ程度飛翔し、朝鮮半島東岸付近に落下した。

 《日本政府は1発目の発射を受けて、午前7時50分、全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じ、宮城、山形、新潟3県の住民を対象に建物や地下に避難するよう警報を発令。防衛省も当初、「太平洋へ通過したとみられる」と発表した。

 その後、浜田靖一防衛大臣が3日の会見で、「当該情報を確認したところ、探知したものは日本列島を越えず、日本海上空でレーダーから消失したことが確認された」と発表した》

 《松野博一官房長官は3日午前、北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて首相官邸で記者会見し、北朝鮮に対し北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議し、非難したと明らかにした》

 3日夜には計3発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射。同日午後9時34分ごろに最高高度約150キロ程度で、約500キロ程度飛翔。同9時39分ごろに最高高度約150キロ程度で、約500キロ程度飛翔。同9時42分ごろには、最高高度約150キロ程度で、約500キロ程度飛翔した。

◇北朝鮮をめぐる動き(10月4日~)

10月4日弾道ミサイル1発を発射。青森県上空を通過し、太平洋上に落下
31日米韓が韓国上空などで合同訓練を開始
11月1日米韓合同訓練に反発。挑発を予告する内容の談話を発表
2日午前8時50分ごろに2発、午後4時台に少なくとも1発の弾道ミサイ
ルの可能性があるものを発射。また、早朝から午後にかけて断続的に
短距離弾道ミサイルなど20発以上を発射
3日午前に少なくとも3発の弾道ミサイルを発射。「Jアラート」を宮城、
山形、新潟3県に発令。その後、日本列島上空の通過は確認されず。
夜にも3発発射
(防衛省発表内容などによる)

 防衛省は11月3日、「これまでの弾道ミサイルなどの度重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域および国際社会の平和と安全を脅かすもの」とした上で、「引き続き、米国などと緊密に連携し、情報の収集・分析、警戒監視に全力を挙げる」としている。

画像: 会見する浜田大臣(防衛省ツイッターから)

会見する浜田大臣(防衛省ツイッターから)

松野官房長官「Jアラートの改善検討」

 松野博一官房長官は11月4日の記者会見で、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含む弾道ミサイルを発射した際、全国瞬時警報システム(Jアラート)を発令したが、ミサイルが日本列島を通過しておらず、送信時間にも課題を残したことを受け、送信時間の迅速化に向け、「システムの改修も含めた改善策を検討している」と述べた。

 松野官房長官は3日の会見で、「(Jアラートは)国民にミサイル落下の危険性を速やかに知らせるためで、日本上空通過の可能性があれば、発令するものだ」と述べ、問題はなかったとの認識を示していた。


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