11月6日に神奈川県相模湾で行われた「令和4年度 国際観艦式」でも勇姿を披露したブルーインパルス。今年も残すところあと2カ月を切りましたが、ブルーの飛行スケジュールは今月26日の「愛知県政150周年記念行事」をはじめ、3カ所も残されていますので、目が離せません。また、ブルーの展示飛行と同日の26日には、あいち航空ミュージアムで同館の開館5周年を記念した特別企画展が開催。さらに同館にほど近い「ミッドランドシネマ 名古屋空港」では18日から「ブルーインパルス映画祭」が催され、ブルーに関連する映画が3本上映されます。
 当メディアに寄稿頂いているブルーインパルスのファン団体、ブルーインパルスファンネットのメンバーの皆さんが出演するイベントも開催されるとのことで、管理人さんによる紹介をもってイベントの概要をお届けします(編集部より)。

ブルーインパルスが広く愛知県上空を飛ぶ!

 1872年(明治5年)11月27日に愛知県が誕生してから今年で150周年となる。この記念として11月26日(土)にはブルーインパルスが愛知県内上空を飛行する。
 飛行ルートは、小牧基地から離陸し、(1)犬山城周辺→(2)愛・地球博記念公園周辺→(3)岡崎城周辺→(4)新城IC(もっくる新城)周辺→(5)吉田城址周辺→(6)名古屋城周辺を飛んで、小牧基地に戻り着陸するコースとなる。
 名古屋城周辺では「サクラ」「キューピッド」「サンライズ」といった編隊連携機動飛行課目も実施される。
 出発時刻は午後1時~午後3時頃を予定しており、各ポイントの通過時刻など詳細は一週間前(19日頃)に発表となる。関連して、あいち航空ミュージアム前屋外エプロンで「出発式」が開催される他、フォトコンテストの作品募集も発表された。
 展示飛行に際しては以下を含む注意事項も発表されている。

 展示飛行中に15km以内に報道機関などの飛行機等が侵入した場合、展示飛行が中断となりますので、緊急時を除きご配慮ください。

展示飛行に連携してブルーインパルス関連イベントが目白押しだ!

 11月26日(土)のブルーインパルスが展示飛行と同日には、あいち航空ミュージアムにおいて同館の開館5周年を記念した特別企画展が開催される。ここでは退役したT-4ブルーインパルスの805号機が同館の常設展示品としてお披露目される。同時にT-4ブルーインパルスの操縦体験シミュレーターも公開され、オープニングセレモニーではSKE48の菅原茉弥さんがこれにトライするほか、同シミュレーターを開発監修したブルーインパルスの飛行班長と1番機フライトリーダーも務めた吉田信也元2空佐(ブルーインパルスファンネット名誉管理人)とのトークショーなどが予定されている。

ブルーインパルス映画祭開催〜ミッドランドシネマ名古屋空港で11月18日(金)より上映開始!

 ブルーインパルスの愛知県政150周年記念展示飛行とあいち航空ミュージアムの開館5周年記念特別企画展に呼応するかのようにブルーインパルス関連イベントが名乗りを挙げた。
 注目されるのは「ブルーインパルス映画祭」だ。ブルーインパルスを記録したドキュメンタリー作品など4作品が上映される。

 11月に入るとすぐに筆者の手元に映画「トップガンマーヴェリック」のブルーレイが届いた。早くから予約していた商品がやっとリリースされたのだ。F/A-18スーパーホーネットの飛行シーンは、劇場の大スクリーンで、更にはより優れた音響システムの劇場で最大の臨場感をもたらしてくれた。筆者は小松基地航空祭の記事でも書いたが同作を劇場で9回鑑賞した。時間が許せばもっと見たかったのだが、二桁回には届かなかった。
 届いたブルーレイはどう鑑賞するか。これはまた別物で、その高精細さといつでも見られる手軽さや実際には使用許諾権(この場合個人視聴の範囲内での再生権)を買ったに過ぎないのだが作品を所有したような気分ももたらしてくれる。英語の音声で英語の字幕を表示して見るような使い方も想定している。だってトムクルーズのセリフは全部真似できるくらい暗記したいのだから。笑

画像: ブルーインパルス映画祭開催!in ミッドランドシネマ名古屋空港愛知県政150周年記念行事で名古屋の空をブルーインパルスが舞う! youtu.be

ブルーインパルス映画祭開催!in ミッドランドシネマ名古屋空港愛知県政150周年記念行事で名古屋の空をブルーインパルスが舞う!

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 ブルーインパルス映画祭はトップガンの逆パターンで、DVDあるいはブルーレイ化されたブルーインパルス映像作品4作品が、一部劇場用映像も追加され、上映されるものだ。DVDやブレーレイにあって劇場にないものは副音声で流されるパイロットの解説のような付帯部分だ。会場となるミッドランドシネマ名古屋空港は、あいち航空ミュージアムに隣接する商業施設エアポートウェーク名古屋内にある。
 4作品は、ブルーインパルスの映像版ガイドブックとして毎年リリースされているブルーインパルス・サポーター’s DVDを制作するバナプル/1991の劇場版ドキュメンタリー作品だ。ブルーインパルスファンネットではサポーター’s DVD発売当初よりその魅力をお伝えしてきた。

 ここではブルーインパルス映画祭で上映される4作品の見どころを、上映順に紹介していきたい。

『絆 - 再びの空へ Blue Impulse』 - 11月18日(金)~11月21日(月)〈4日間〉

画像: 映画 「絆-再びの空へ」予告編A youtu.be

映画 「絆-再びの空へ」予告編A

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 ブルーインパルスは東日本大震災の当日、九州新幹線全線開通記念行事のために福岡県芦屋基地に展開していて難を逃れた。もし松島基地に居たら、小雪が舞い落ち既に飛行訓練を切り上げていた他の松島基地所属機同様に津波に呑まれ、再起が危ぶまれる事態に陥ったかもしれなかった。
 あいち航空ミュージアムに展示される805号機は、この時芦屋基地に展開して生き残った一機であるが、同時期に配備された804号機は津波に呑まれ廃棄となった。その垂直尾翼は松島基地のブルーインパルス=第11飛行隊の隊舎前にモニュメントとしてその記憶とともに残されることとなった。この2機は2000年の事故で損失した2機を補填するために新造された戦技研究仕様機*で、新造機としてはもっとも新しく双子のような機体だ(東京五輪2020前後には新造機から改修機への置き換えが進み、新造機はすべて退役した)。5番機の804、6番機の805は事故から6機復活を果たした機体として思い入れを持つファンも多い。この辺りの導入経緯はあいち航空ミュージアムの吉田信也トークショーでも語られるはずだ。
 *戦技研究仕様機=ブルーインパルス仕様機(スモーク発生装置の付加など)。ブルーインパルスが元々戦技研究の目的も兼ねて展示飛行を行っていたためこの呼称になったと考えられる。

画像: 第11飛行隊隊舎前に残されている804号機のモニュメント。芦屋基地展開に参加せず津波の犠牲となった。(写真・吉田信也)

第11飛行隊隊舎前に残されている804号機のモニュメント。芦屋基地展開に参加せず津波の犠牲となった。(写真・吉田信也)

 ブルーインパルスのほとんどの機体は難を逃れたが、メンバーは被災者だった。家族を松島基地近隣に残し、連絡も取れず、家に帰ることもできずに何日も過ごす。機体を芦屋基地に残し、松島基地にやっとのこと帰還したメンバーは、このドキュメンタリーに映るように瓦礫の撤去など災害派遣の任務に就いた。空の英雄たちは自衛官として例外なくこの泥まみれの任務の中にいた。やがて芦屋基地に再び赴き飛行訓練を再開するが、自分たちだけ飛んでいいのか、と葛藤の中にいた。多くの被災者が親しい者を失くし、なぜ自分だけが生き残ったのか、自戒の念に苛まれたように、ブルーインパルスもまた葛藤の中にあった。
 芦屋基地に間借りした移動訓練の間、ブルーインパルスは機体に「絆 がんばろう日本」のデカールを付していた。その実物が航空自衛隊浜松広報館に展示されている。このデカールと共に松島基地に帰還した際、田中公司2空佐(当時)搭乗の隊長機があいち航空ミュージアムに展示される805号機だった。

画像: 浜松広報館に展示されている「絆 がんばろう日本」のデカール。浜松広報館にはT-4ブルーインパルスの745号機を含む歴代ブルーインパルスの実機も展示されている。

浜松広報館に展示されている「絆 がんばろう日本」のデカール。浜松広報館にはT-4ブルーインパルスの745号機を含む歴代ブルーインパルスの実機も展示されている。

 震災後の復興事業として立ち上がったクロスステッチ刺繍グループ「東松島ステッチガールズ」の代表・芳賀朋子さんは「ブルーインパルスが松島基地に帰ってきて飛行訓練の音が聞こえるようになった時、東松島市に日常が戻ってきたような気がした」と述べている。
 本作はその日常までの葛藤の日々を記録したブルーインパルスの最も困難な時期を描いたドキュメンタリー作品だ。

 部外者である筆者から見て、ブルーインパルスと東松島市の松島基地近隣住民との関係は、震災前と後で様々な面で変わったように思う。その関係性は他者には理解できないものかもしれないが、本作は少なくともそれを理解するきっかけとなり得るものだろう。
 映画祭のオープニングとなる本作は「ゴジラ対メカゴジラ」などゴジラシリーズや航空救難隊を描いた「空へ -救いの翼-」の手塚昌明監督が手掛けた。


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