要介護者の安全な避難、高校と訓練
総合訓練には1中隊 避難所で炊き出しも|美幌駐屯地

 【2022年11月1日(火)2面】 <北海道>美幌駐6普連(連隊長・河村1陸佐)と121区警務隊美幌派遣隊(警務隊長・二上深2陸尉)は10月4日、北海道置戸高校と置戸町内で置戸高校授業支援を実施した。授業支援は、北海道唯一の福祉科設置校である置戸高校の生徒と自衛隊が連携し、要介護者を安全に搬送する訓練を実施し、災害対処能力の向上を図るのが目的。

 自衛隊からは6普連1中隊、本部管理中隊衛生小隊、121地区警務隊美幌派遣隊の21人、置戸高校からは教諭、生徒22人の計43人が参加した。

 【午前8時50分】置戸高校体育館で1中隊長の板津1陸尉は生徒16人に対し、「陸上自衛隊の災害派遣」と題して東日本大震災や北海道胆振(いぶり)東部地震など、過去の自衛隊災害派遣活動について講話した。併せて、災害時に自衛官が携行する背嚢(のう)、防災グッズを紹介し、自衛隊の活動に対する理解促進を図った。

 【9時50分】台風や豪雨などの想定外の降水量により、街全体が冠水したことを想定し、施設への雨水の流入を防ぐための水防訓練の一環として、土嚢の作成と設置要領について教育を実施した。生徒に対し、水圧に強い積み方などを展示するとともに、生徒自らが土嚢を作成するなど、実習を通じて水害から身を守る方法について教育した。

 【10時45分】1中隊、衛生小隊が自衛隊車両を使用して避難所への輸送訓練を実施した。

 初めに、授業で使用する自衛隊車両の安全教育を実施。引き続き、車いす、歩行補助機、ストレッチャーなどを活用した自衛隊車両への乗車要領などについて検証し、要介護者を安全・迅速に乗車させる最良の方法を生徒とともに検討した。

 【11時40分】教諭が要介護者となり、介護施設から避難場所まで自衛隊車両により輸送する総合訓練を実施した。1中隊、衛生小隊の隊員は生徒と連携し、要介護者(教諭)を自衛隊車両に迅速・安全に乗車させ、121地区警務隊美幌派遣隊の車両誘導の下、避難施設への輸送を迅速に実施した。

 訓練終了後は、生徒との意見交換会を実施。生徒からは、「私たちが焦ってしまうと要介護者も不安になるため、『大丈夫ですよ』の安心できる声掛けが重要だった」「型にはまらず、それぞれの利用者のニーズにあった介護(避難)が大切だとわかった」など、要介護者への目線に立った対応が必要だという意見があり、今後の授業訓練改善事項が積極的に述べられた。

 最後に生徒と隊員で記念写真を撮影し、授業支援を終了した。

画像: 講話は1中隊長が担任した

講話は1中隊長が担任した

画像: 土嚢(のう)の作成法を実践形式で学習

土嚢(のう)の作成法を実践形式で学習

画像: 要介護者を自衛隊とともにどうやったら迅速・安全に乗車させることができるかを研修

要介護者を自衛隊とともにどうやったら迅速・安全に乗車させることができるかを研修

画像: 自衛隊車両で介護施設から避難場所まで輸送した

自衛隊車両で介護施設から避難場所まで輸送した

画像: 生徒と隊員が連携して要介護者を搬送

生徒と隊員が連携して要介護者を搬送

 6普連1中隊(中隊長・板津1陸尉)は10月16日、訓子府町公民館で訓子府(くんねっぷ)町防災会議が主催する令和4年度「訓子府町総合防災訓練」に隊員11人が参加した。

 警察や消防などの関係機関約150人が参加した訓練は、「停滞前線の影響により、断続的に降り続く雨の総重量が78ミリとなり、網走地方気象台から同町に対し、大雨警報発表の連絡を受けた」という想定で、高齢者に対する避難誘導や避難所の開設訓練が行われた。

 1中隊は、支援要請により「避難所に避難している町民に対し、野外炊具1号を現地に推進させ、カレーライス150食分を提供する」との想定に基づき、炊き出し訓練を実施した。

 調理完了後、防災カレーの試食会が設けられ、参加者からは「隠し味は何なんだろう」「自衛隊のカレーはとてもおいしい」と興味津々の様子。1杯では満足できず、2杯目、3杯目と試食した参加者もいて、1中隊が調理した防災カレーは大好評だった。

 また、給食支援以外にも公民館駐車場に体験・展示コーナーを設置。隊員が軽装甲機動車、96式装輪装甲車の説明を実施した。

 中隊の隊員は参加者の問いかけに対し、丁寧に説明するとともに、自衛隊の魅力を最大限発信していた。

 6普連は「訓練を通じて、災害時における野外炊事能力の向上、地域住民に対する自衛隊の活動への安心感への醸成を図ることができた」としている。

画像: カレーの炊き出し訓練を実施

カレーの炊き出し訓練を実施

画像: 自衛隊のカレーはおいしいと評判だ

自衛隊のカレーはおいしいと評判だ

画像: 車両に関心を寄せる地域住民

車両に関心を寄せる地域住民


◆関連リンク
陸上自衛隊 美幌駐屯地
https://www.mod.go.jp/gsdf/nae/5d/01_unit/butai/02_bihoro.html


高校生に防災教育
非常用糧食の加熱要領も展示|倶知安駐屯地

 倶知安駐(司令・齋藤2陸佐)は10月4日、札幌地本倶知安地域事務所の依頼に基づき、寿都高校全校生徒70人に対して「防災教育」を実施し、災害時における自衛隊の活動などについて理解してもらうとともに、信頼感の醸成を図った。

 教育は、大地震の発生を想定した避難訓練から始まり、司令による実体験に基づく防災講話、屋外で災害時に使用する自衛隊の装備品である1トン水トレーラ、炊事車、救急車、宿営用天幕(患者収容所)、ドローンの飛行景況を展示・説明。屋内では、非常用糧食を加熱剤により加熱させる要領を展示し、生徒たちの目を釘付けにした。

 生徒たちからは、「実際に加熱剤で温めた戦闘糧食を食べてみたかった」「炊事トレーラ1台で何百人という人の数のご飯を作れることに驚いた」「災害が起こるのはいやだが、自衛隊がそばにいてくれると心強い」などの感想が寄せられ、隊員との交流を通じて自衛隊への理解と興味を促進した。

 倶知安駐は「支援により、将来の自衛官募集へつながることを確信した」としている。

画像: 司令が自衛隊の活動について説明

司令が自衛隊の活動について説明

画像: ドローンで撮影した映像をモニターで確認する生徒たち

ドローンで撮影した映像をモニターで確認する生徒たち

画像: 加熱剤を使用した戦闘糧食に興味が集まった

加熱剤を使用した戦闘糧食に興味が集まった

画像: 医療器具の説明に聞き入った

医療器具の説明に聞き入った

画像: 災害時に使用する自衛隊の装備品に触れた

災害時に使用する自衛隊の装備品に触れた

画像: 生徒代表が支援の御礼を伝えた

生徒代表が支援の御礼を伝えた


◆関連リンク
陸上自衛隊 倶知安駐屯地
https://www.mod.go.jp/gsdf/nae/11d/jgsdf-post/images/kutchan/index.html


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