米国防長官「強い支持」を表明

 防衛省は9月15日、訪米中の浜田靖一防衛大臣とオースティン米国防長官との日米防衛相会談が同14日午前11時10分(現地時間)から約95分間にわたって行われたと発表した。会談では、日米同盟を取り巻く厳しい安全保障環境について幅広く意見を交換。浜田大臣が敵のミサイル発射拠点などをたたく、いわゆる「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有など、防衛力の抜本的強化の方針を伝え、オースティン長官は「強い支持」を表明した。

 防衛省によると、会談では地域情勢など3点について意見を交換した。

【地域情勢など】

台湾海峡の平和と安定の重要性を確認

 両閣僚は、わが国のEEZ(排他的経済水域)内への着弾を含む、8月上旬の中国による弾道ミサイルの発射について、日本の安全保障、国民の安全に関わる重大な問題として強く非難。改めて台湾海峡の平和と安定の重要性を確認するとともに、両岸問題の平和的解決を促すことで一致した。

 また、インド太平洋地域における力による一方的な現状変更を許容しないこと、そのために緊密かつ隙(すき)のない連携を図っていくことを確認したほか、日米が連携し、ウクライナへの支援を継続していくことを確認した。

 北朝鮮の核・ミサイル問題に関しては、北朝鮮の挑発行為に対して一致して迅速に対応できるよう、日米、日米韓の連携をさらに緊密なものにしていくことを確認した。

 両閣僚は、「自由で開かれたインド太平洋」を維持・強化するため、地域内外のパートナー国との協力を強化していくことで一致した。

【日米防衛協力】

 浜田大臣は、新たな国家安全保障戦略などの策定において、「反撃能力」を含めたあらゆる選択肢を検討し、日本の防衛力の抜本的強化を実現するとの決意を表明。その裏付けとなる防衛予算の相当な増額に取り組んでいることを述べた。オースティン長官は、これらの取り組みに対する強い支持を表明。双方の戦略の方向性が一致していることを確認し、同盟の強化に向け、さらに緊密に擦(す)り合わせていくことで一致した。

 オースティン長官は、日本に対する核を含めた米国の拡大抑止のコミットメントは揺るぎないものである旨を改めて述べ、核を含めた米国の拡大抑止が信頼でき、強靱(きょうじん)なものであり続けるための取り組みについて、閣僚レベルでも議論を深めていくことを確認した。

 また、情報収集、警戒監視および偵察(ISR)能力の強化が、日米同盟の抑止力・対処力の強化にとって重要であることを確認。米空軍無人機MQ9の海自鹿屋航空基地への一時展開に向けた進捗(しんちょく)を歓迎した。浜田大臣は、MQ9の一時展開は、自衛隊における無人機によるISR活動の深化に資する旨を述べ、MQ9を含む日米のアセットが取得した情報を日米共同で分析することで一致した。

【米軍再編・在日米軍】

 在日米軍の安定的な駐留と日々の活動には、地域社会の理解と協力、また、米軍の安全かつ環境に配慮した運用が重要であることを確認した。

 また、緊密な協力の下、普天間飛行場の辺野古への移設や馬毛島の施設整備も含め、米軍再編計画を着実に進展させていくことで一致。沖縄をはじめとする地元の負担軽減について、引き続き取り組んでいくことを確認した。


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