ロシア艦は北海道を周回か

 【2022年6月28日(火)2面】 陸地の電波・電子情報などの情報収集の役割を持つ「情報収集艦」。統合幕僚監部によると、今年4月以降、ロシアと中国の情報収集艦が日本周辺を相次いで航行。5月から6月にかけては、ロシアの情報収集艦が北海道を周回するようなコースで進んでいた。情報収集艦の相次ぐ航行に、防衛省・自衛隊は警戒を強めている。

宗谷岬の15キロまで接近

5月~6月の「バルザム級情報収集艦」の動き(統合幕僚監部発表)

5月18日午前5時ごろ 宗谷岬の西約120キロの海域を東進→宗谷海峡を東進
   (その後、北方領土→北海道→三陸沖を航行した後、引き返したか)
6月7日午前7時ごろ 宗谷岬の北約15キロの海域を西進→宗谷海峡を西進
6月9日午前5時ごろ 奥尻島の南南西約90キロの海域を南東進→津軽海峡を東進
6月12日午前7時ごろ 宗谷岬の東約50キロの海域を西進→宗谷海峡を西進

 統幕によると、ロシア海軍の「バルザム級情報収集艦」1隻が日本周辺を航行していたのが確認されたのは、5月18日午前5時ごろ。宗谷岬の西約120キロの海域を東進し、さらに宗谷海峡を東へ進んだ。

 同艦は6月7日午前7時ごろ、宗谷岬の北約15キロの海域を西進していた。統幕は5月18日に確認された艦艇と同一と発表。産経新聞の報道によると、北方領土や東北・三陸沖の海域を航行した後、引き返したとみられる。

 さらに、同艦は南下し、6月9日午前5時ごろには、海自が北海道奥尻島の南南西約90キロの海域を南東進し、その後、津軽海峡を東進したことを確認。統幕が6月7日に確認した艦艇と同一と発表した。

 情報収集艦の動きは続き、同12日午前7時ごろには、宗谷岬の東約50キロの海域を西進した。津軽海峡から太平洋に入り、周回するかたちで北進してきたとみられている。

 一連のコースの周辺には、空自千歳基地(北海道)や東北・三陸方面には米空軍三沢基地などがあり、情報収集艦が情報収集活動を行っていた可能性がある。

 防衛省・自衛隊は、海自1ミサイル艦隊の「わかたか」(余市)、2航空群の「P3C」(八戸)、海自大湊警備隊「すおう」(大湊)などにより、情報収集・警戒監視などを行った。

 ■情報収集艦 情報収集の役割を持つ艦船。通常、相手側の領海外で、陸地の電波・電子情報を収集する。また、艦船間の電波情報を集めたり、他国のミサイルテストや核テストを偵察し、情報を集める任務を果たすこともある。多くは正規軍人が行うが、一部は船員、漁船乗組員が情報収集にあたる(「ブリタニカ国際大百科事典小項目事典」から)。

中国艦は長期間滞在?

画像: 中国艦は長期間滞在?

 中国海軍の情報収集艦も活発化している。

 統幕によると、5月19日午前9時ごろ、種子島(鹿児島県)の東約100キロの海域を西進する「ドンディアオ級情報収集艦」が確認され、その後、大隅海峡を西進した。4月20日に奄美大島(鹿児島県)の北西海域で確認され、その後、奄美大島と横当島(鹿児島県)の間を東進した艦艇と同一だった。

 6月2日午後9時ごろには、久米島(沖縄県)の北西約130キロの海域で確認され、その後、沖縄本島と宮古島との間の海域を南東進し、太平洋に向けて航行した。

 この収集艦は4月から5月にかけて約1カ月間にわたり、太平洋側に滞在し、再び太平洋側に入った可能性がある。

 また、6月12日午後1時ごろには、海自が対馬(長崎県)の南西約280キロの海域で確認。その後、対馬海峡を北東進し、日本海へ向けて航行。同16日午前9時ごろには、龍飛崎(青森県)の南西約130キロの海域を北東進する情報収集艦がフチ級補給艦1隻とともに確認され、その後、津軽海峡を東進したという。

 一連の情報収集艦の動きに対し、情報収集・警戒監視活動を行った部隊は次の通り。

 海自1海上訓練支援隊「くろべ」(呉)▽1航空群「P1」(鹿屋)▽海自14護衛隊「せとぎり」(舞鶴)▽46掃海隊「くろしま」(沖縄)▽5航空群「P3C」(那覇)▽海自3ミサイル艇隊「おおたか」(佐世保)▽4航空群「P1」(厚木)▽海自大湊警備隊「すおう」(大湊)▽2航空群「P3C」(八戸)


◆関連リンク
防衛省 統合幕僚監部
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