【2022年6月17日(金)1面】 防衛省の発表によると、岸信夫防衛大臣は6月10日から12日(日本時間同)にかけて、シンガポールで開催された「第19回IISSアジア安全保障会議」(シャングリラ会合)に出席し、スピーチを行うとともに、各国の防衛大臣らとの会談などを行った。この中で、日米韓防衛相会談終了後に共同声明を発表し、北朝鮮が核・ミサイル開発を進めていることを受け、日米韓で弾道ミサイル警戒訓練や探知・追尾訓練を実施する方針で一致した。

朝鮮半島の非核化に協力

 会談は6月11日に行われ、岸大臣、米国のロイド・オースティン国防長官、韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防部長官が出席した。

 会談後に発表した共同声明によると、3カ国の閣僚は、朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和の確立に向けて密接に協力することを約束した。

 また、北朝鮮の大量破壊兵器および弾道ミサイル開発について、国際的な平和と安定に対する重大な脅威であるとの深い懸念を共有し、協調した3カ国協力を通じてこれらの懸念に対処していくことで一致した。

 さらに、3カ国によるミサイル警戒と弾道ミサイル探知・追尾訓練の実施、北朝鮮による弾道ミサイル発射に対処するための3カ国によるさらなる活動を具体化することを確認した。

 また、北朝鮮による度重なる不法な弾道ミサイルの発射を強く非難するとともに、北朝鮮による弾道ミサイルのいかなる発射も複数の国連安保理決議の明白な違反であることを確認した。

 一方、台湾海峡の平和と安定が重要であるとし、ルールに基づく国際秩序に合致しない活動について懸念を共有するとともに、航行、上空飛行の自由の重要性を強調した。

画像: 防衛省・自衛隊ツイッターより

防衛省・自衛隊ツイッターより

日中防衛相会談 東シナ海の活動に強い自制求める

 第19回IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)出席のため、シンガポールを訪問中の岸大臣は6月12日(日本時間同)、中国の魏鳳和(ギ・ホウワ)国防部長と日中防衛相会談を行った。

 防衛省の発表によると、ウクライナ情勢に関し、岸大臣から、ロシアによるウクライナ侵略は、国連憲章をはじめ国際法の明確な違反であり、力による一方的な現状変更は、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすものであり、断じて認められないと指摘。その上で、安保理常任理事国である中国が、国際社会の平和と安全の維持のため、責任ある役割を果たすよう求めた。

 これに関連して、岸大臣から、5月、中露の戦略爆撃機が日本周辺で行った長距離にわたる共同飛行をはじめ、日本周辺での一連の両国の共同行動は、日本に対する示威活動であることを指摘。これらの共同行動を継続していることに対し、改めて重大な懸念を伝達した。

 東シナ海情勢に関し、岸大臣から、昨年12月の日中防衛相テレビ会談以降も、尖閣諸島周辺海域を含む東シナ海で依然として力を背景とした一方的な現状変更の試みが継続していることや、空母「遼寧」による日本近海での訓練をはじめとした中国による懸念すべき活動が継続していることについて、改めて中国側に強く自制を求めた。

 台湾情勢では、台湾に関する日本の基本的立場に変更はないと述べた上で、台湾海峡の平和と安定は日本のみならず、国際社会にとっても極めて重要であると述べた。

 南シナ海問題については、南シナ海の軍事化を含め国際社会が共有する懸念について、中国側が真摯(しんし)に耳を傾けるよう求めるとともに、日本として力を背景とした一方的な現状変更の試みや緊張を高めるいかなる行動にも強く反対する旨を伝達した。

 岸大臣からは、日中関係については懸念があるからこそ率直な意思疎通を図ることが必要である旨を述べ、双方は、今後も日中防衛当局間で対話や交流を推進していくことで一致した。


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