今年2月に始まり、いまだ終息の気配の見えないロシアによるウクライナ侵攻。また、近年活発化している中国の海洋進出、北朝鮮による度重なるミサイル発射‥。混沌とした世界情勢の中、わが国日本は他国の動向にどのように立ち向かうべきか-。

 今年4月15日に、2冊の書籍が同時発売された。ノンフィクション作家・政治学者として活動する里永尚太郎(さとなが・しょうたろう)氏が集団的自衛権についてまとめた『戦後日本政治史-集団的自衛権を巡る論争史の検証を通じて-』『安倍政権と集団的自衛権-キーパーソンが明かす内幕-』だ。

 2014(平成 26)年7月1日の閣議決定で、憲法解釈の一部変更により限定的に可能とされることとなった集団的自衛権の行使。いわゆる「台湾有事」などに端を発し、集団的自衛権の議論が再燃している中、著者である里永氏に執筆の思いを語ってもらった。

小池百合子東京都知事の環境大臣時代の秘書官として

-里永さんは、小池百合子東京都知事の環境大臣時代まで、秘書を務めておられます

里永氏「私は小池さんが初めて、日本新党で衆議院議員選挙(兵庫二区/中選挙区)に出馬した、兵庫県尼崎市の出身です。そのご縁で、それ以来、折に触れて家族で支援や手伝いを行ってきました。その後、同志社大学法学部政治学科や、政策系大学院に進学したこともあり、在学時から、学生ボランティアとして地元活動に参画し、進路としても意識するようになりました」

里永氏「大学院在学中から就職し、東京の議員会館事務所を中心に "丁稚奉公" を行い、"クールビズ" や "かりゆし" がブレイクする環境大臣時代まで務めました。まさに "日本社会の常識を変える力" 小池さんの真骨頂を傍らで体感することができ、感慨深い体験をすることができました。それと同時に、普及啓発期のブレイク前には、当時、ノンネクタイで日中活動する男性社会人は皆無でしたから、日本で唯一の存在、"ONLY・ONE" を体験できたことは、貴重な経験となりました。まさに、先駆けて実践する立場でしたから…。ああ、周りの視線、日本社会の常識は、こうやって変わっていくんだと…。(笑)」

-今でもご関係は続いているのでしょうか

画像: 小池都知事と里永氏(写真提供:里永氏)

小池都知事と里永氏(写真提供:里永氏)

里永氏「はい。私が博士後期課程に進学するときも、推薦状を書いていただいたり、またつい先日行われた、小池百合子と『東京の持続可能な成長を進める』勉強会にも参加したりしています」

-約8年前に本を執筆されて以来の発刊となります

里永氏「2013年(平成25年)に『集団的自衛権の行使-憲法・国際法・防衛法制・政府解釈と答弁を踏まえ、立ちふさがる諸問題を考察する-』を上梓しました。憲法9条と自衛権の関係や自民党の国家安全保障基本法案について、特定の立場ではなく、歴史的経緯を辿りながら、第二次安倍政権発足前までの議論を整理しました」

里永氏「小池さんが小泉政権時に、自民党に入党したことで、安全保障政策の最前線の議論に接することができました。現場経験を積みつつ、時を同じくして、出版や論文を作成するための "オリジナリティ" を探究していました。その際、政治学を学んでいながらも、安全保障政策の基礎を学んだことはなく、当時、理解することさえ困難であった "集団的自衛権の議論" に照準を充てることにしました。振り返ると、 "学校でも教わらないし、親からも教わってない "テーマという日本の現状がありました。また、こういう話題を世間で口走ると変な目で見られる、友達を無くす、という風潮さえありました」

-今回の書籍の発刊に至った経緯は

里永氏「その後、第2次安倍内閣が発足し(2012年12月)、集団的自衛権の議論が深まることは間違いなかったので、再び現場で取材を続けないと、という思いはありました。そこで研究執筆を続けつつ、自民党の国会議員政策担当秘書や顧問などを務めつつ、様々な資料を集め、加熱しがちな議論の冷却期間を経て、発刊に至りました」

-2冊に分かれています

里永氏「『戦後日本政治史-集団的自衛権を巡る論争史の検証を通じて-』の方は、集団的自衛権を巡る議論を歴史的経緯を通じて理解できるように記しました。一方、『安倍政権と集団的自衛権-キーパーソンが明かす内幕-』については、2012年12月の衆院選で政権が替わり、長期にわたる安倍内閣のもと、議論が最も過熱していく "集団的自衛権の限定容認" について、第二次安倍政権時のキーパーソンとなった、麻生太郎、高村正彦、石破茂、中谷元、野田聖子、田村重信、古賀誠、各氏の見解をそれぞれまとめました」

里永氏「この議論は難解な分野なだけに、高名な学者や先生方でも、専門分野が違い、解釈もそれぞれ違い、思想信条の"スピン"がかかっているので、なかなか理解しづらい。今ではネットでいろいろ調べられる時代ですが、最初に出会う情報によって左右されてしまいます。そういった意味では両書は、現実政治の、政府の解釈・見解を整理しているので、学者やメディアの "スピン" は入ってないわけです。安全保障の分野においては、まずは政府見解とその歴史的経緯を踏まえることが、基本であり、更なる議論と選択のために、主権者たる国民に対して、教科書の役割を提供することができると考えています」

-いま、台湾有事などもあり、集団的自衛権の議論が加熱しています

里永氏「2016年に施行された安保法制により、集団的自衛権の行使が一部可能となりました。これは、他国への抑止力という点でも大きな意味を持つと思います。現実政治の観点から、安倍政権の最大の歴史的偉業だったのではないでしょうか」

画像: 両書は都内の大手書店などで紹介されている(写真提供:里永氏)

両書は都内の大手書店などで紹介されている(写真提供:里永氏)

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-ジュンク堂書店池袋本店では、週間の総合1位に輝いている。

YouTubeにも挑戦していきたい

-これからの活動は

里永氏「発刊を終え、しばらく各種あいさつ回りなどをしていましたが、一段落したところで次の展開も考えています。今はSNSで発信することが主流な時代ですので、それぞれ進めていこうと思っています」

画像: 今後の展望について語る里永氏

今後の展望について語る里永氏

-facebookでは、ご交流の活動など頻繁に更新されているようです

里永氏「そうですね、いろいろお世話になっている方々との交流や、著書を置いてくださっている書店の紹介などをさせて頂いています」

里永 尚太郎さん(Shotaro Satonaga) | Facebook
https://www.facebook.com/shotaro.satonaga

-YouTubeはまだ開設されたばかりですか

里永氏「はい、テスト動画を上げたきりで、まだ動き出せていないのですが、このインタビューを機に進めていこうと思っています。これから配信を頑張りますので、ぜひ前もってチャンネル登録をお願いできればと思います」

(聞き手:防衛日報デジタル編集部)


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