3年ぶりとなる横田基地日米友好祭2022(以下、横田友好祭)が5月21、22日の両日に開催された。
開催決定が発表されたのは3月11日であった。その後、アメリカの航空会社が機内でのマスク着用義務をなくすとの報道が4月19日頃にあり、国内でも松野官房長官が屋外でのマスク着用について距離があれば不要との見解を示した会見から十日近く経った。油断大敵ながら、時を同じくして入場制限など限定的であるが静浜基地航空祭が復活したのと同じ週末に、この横田友好祭でシーズン再来の実感を得ることができた。
空自航空総隊司令部が府中基地から横田基地に移転して10年の節目だ。ウクライナ情勢を鑑みれば日米同盟の結束を内外に示す絶好の機会となる。このご時世で確かに以前には展示されたE-3など早期警戒管制機は来ていない。などといった見方もできるかもしれないが、中に入ってみればアメリカンビーフパーティー的な地域住民との親睦を深めるための基地開放のお祭りだ。
広大な駐機場の半分ほどを使った、奥まで行くには2kmは歩かなければならない会場には、豪勢に地上展示機が並ぶ。展示飛行が控えめなことあって、ビーフステーキ、ビールにバンド演奏といったアメリカンパーティーを楽しむ趣きが強いイベントだ。しかしながら、今回のお目当ては開催日前日に電撃発表された横田初飛来のT-4ブルーインパルス地上展示だ。
輸送機をチャーターしての整備小隊を伴った全機展開ではない。単機だ。とするとパイロットの着替えやお泊りセットはどうするのだろうか?アクロ仕様のT-4に増槽を付けるのは普通に見たことがあるがトラベルポッドを付けているのを見たことがない。そもそもブルーインパルスがトラベルポッドを持っているのか?などとその展開形態が気になって仕方がなかったが、地上展示されたT-4はクリーン形態であった。お泊りセットをどう運んだかは後日の確認事項としたい。
T-4のキャノピーには前席にMAJ T.HIRAKAWA(平川通3空佐)、後席にCAPT T.ONITSUKA(鬼塚崇玄1空尉)のネームがデカールで書かれている。鬼塚1空尉は3番機要員であるから、1番機に乗ることは訓練以外ではない。1番機のこのデカールは横田友好祭のために貼られたものだ。磨き上げられた機体と共に、初飛来にふさわしい、嬉しい一手間だ(蛇足だが日常の訓練ではネームもポジションナンバーも頻繁に変わるがいちいち張り替えることはない。張り替えるのは展示飛行の直前のみだ)。
平川3空佐、鬼塚1空尉は入門ゲート近くの東京地本コーナーで展示服を着用してのファンサービス(サイン会)を行い、2022ツアーパンフレットの配布も行った。
UH-60J、OH-1、CH-47、C-130H、C-1、U-680A、F-2A、F15J、T-4、F-35Aといった陸空の航空機が集結。各展示機前にはパイロットや整備員が説明員として対応した。空自三沢基地からは第301飛行隊と第302飛行隊の二個飛行隊がF-35Aを並べて展示した。この並びでの展示は初めて見た。
入間飛行点検隊のU-680Aも同様に実任務で飛行する以外では初めて間近に見た。この他、民間からもホンダジェットが参加しイベントに華を添えた。
陸自装備車両からも輸送防護車、NBC偵察車、16式機動戦闘車といった充実の展示がなされ、16式機動戦闘車は板妻駐屯地から自走で展開したとのことであった。戦車であればトレーラーで陸送してくるところであるが、ここでも自衛隊の機動力が示された。
地上展示機の要所要所で東京地本のブースが構えられたほか、入門してすぐの格納庫前では、地対空ミサイルなどの装備品展示とともに、福生募集案内所長の山本文明3空佐をはじめとする陸海空地本隊員が併設された募集相談ブースで対応に当たった。
東京地本の公式マスコットキャラクターのさくらちゃんとトウチくん、横田基地のはやてくんも登場し、子供から大人まで大人気であった。
米軍機ではなんといっても2日目のエアフォースワンの飛来であろう。バイデン大統領の初来日がイベント開催中の横田基地到着となるわけがない。羽田だろうとたかをくくっていた。初日の会場はその噂で持ちきりとなっていたが、実際には横田友好祭開催中の到着となった。
地上展示では当然ながら充実の米軍機が揃い、F-15C、F-16C/Dといった在日空軍の主要戦闘機をはじめ、CV-22オスプレイは地上展示でも人気だが展示飛行も実施した。
巨大な輸送機ロッキードC-5Mスーパーギャラクシーはカーゴルームを開放して機内でTシャツなどグッズを部隊が販売した。
空中給油輸送機KC-10はフライングブームを下ろして展示し、実際触れるほどであったが、多くの人が間近から撮影していた。
初日には、地上展示機コーナーこそ17時でクローズとなったが、21時まで基地開放の最後の目玉として20時20分から花火が打ち上げられた。航空機を輸送機を囲んでの花火大会に何度も歓声が上がった。
主催者米空軍第374空輸航空団の発表によれば11万人の来場者があったという。大型航空祭復活の条件が揃いつつあると感じられた横田友好祭であった。
文と写真(初日取材)ブルーインパルスファンネット 管理人 今村義幸
写真(初日・二日目取材)伊藤宜由