「同盟国との絆を育む担い手に」

 【2022年3月31日(木)1面】 防衛大学校(久保文明学校長)の卒業式が3月27日、神奈川県横須賀市の同校で行われ、自衛隊最高指揮官である岸田文雄首相は、将来の幹部となる卒業生たちを前に、ロシアのウクライナへの軍事侵攻について「事態の展開次第では、戦後最大の危機を迎える」との認識を示した。その上で、「国民の生命と財産を守り抜くという政府の最も重大な責務の一端を担っていってほしい」と強く要望した。

 卒業式で首相は、ロシアのウクライナへの軍事侵攻について、「国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹が脅かされている。事態の展開次第では、世界も、わが国も戦後最大の危機を迎えることになる」と指摘した。

 その上で、首相は「これからのわが国防衛の中核を担う皆さんに」とし、「力による一方的な現状変更は、いかなる地域においても許してはならない。インド太平洋、とりわけ東アジアで決して許してはならない」と述べた上で、「危機意識と情勢認識をしっかりと持ちながら、わが国の存立を全うし、国民の生命と財産を守り抜くという政府の最も重大な責務の一端を担っていってほしい」と述べた。

 また、同盟国・同志国との協力が新たな段階に入っていることを踏まえ、「絆が強固なものであり続けるよう、絶えず、努力を積み重ねていくことが必要」とし、卒業生たちに「皆さんは、こうした安全保障協力の要。同盟国・同志国との絆を育(はぐく)む担い手となってください」と呼び掛けた。

 最後に、厳しさを増す国際情勢を前に、国民の自衛隊への期待や思いはより一層強くなっているとの認識を示した上で、「『事に臨んでは危険を顧(かえり)みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託に応える』の言葉を胸に刻み、一人ひとりが国民の命と平和な暮らしを担う砦(とりで)であるという強い自覚を決して忘れないでください」と強く要望した。

 この日は、卒業生の家族や関係者らが出席した。首相は「卒業生は皆、頼もしい姿に成長した。厳しく、崇高な任務に就く彼らが、万全の環境で職務にあたることができるよう、全力を尽くす」と誓った。

画像: 479人が新たな船出:首相官邸ホームページより

479人が新たな船出:首相官邸ホームページより

 その後、首相はウクライナ情勢などを踏まえた国際社会の現状について、卒業生と在校生計6人と車座で意見交換をした。

479人が新たな船出

 今年度の防衛大学校本科の卒業生は留学生を除いて479人(うち女性64人)で、このうち任官を辞退したのは、昨年度より44人多い72人だった。

画像: 首相官邸ホームページより

首相官邸ホームページより

岸大臣も出席し、訓示

 3月27日に行われた防衛大学校卒業式には、岸田首相とともに岸信夫防衛大臣も出席し、卒業生に対して訓示を行った。

 防衛省は公式ツイッターで、「卒業生は、今後、陸海空自衛隊の将来を担う幹部自衛官として、全国の各部隊において、強い責任感とリーダーシップをもってそれぞれの任務にあたります」とのコメントを掲載した。

画像: 防衛省・自衛隊ツイッターより

防衛省・自衛隊ツイッターより


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