半数が「避難先わからず」と回答

 【2022年3月11日(金)1面】 東日本大震災の東京電力福島第1原発事故に伴う避難の実態について、内閣府(防災担当)は平成27年12月、福島県民に対する調査結果を発表している。主な内容は次の通り。

《発生直後の情報伝達と避難》

1 複数回にわたって出された避難指示などを入手した=2割未満
2 情報源=「テレビ・ラジオ」(約5割)、「自治体などからの連絡」(約4割)、「家族・近隣住民からの連絡」(約3割)など。
3 避難指示などを聞いて=「どこに避難すれば良いかわからなかった」(約5割)、「何が起きたのかよくわからなかった」(約4割)、「すぐに家に帰れるだろう」(約5割)。

《避難先・避難方法など》

1 避難にあたり困ったこと=「どこに避難すればよいかについての情報がなかった」(約6割)、「行政から避難に関する情報が得られなかった」(約5割)、「道路が渋滞・損壊していた」(約4割)。
2 すぐに避難しなかった理由=「避難を判断できるほどの情報がなかった」「どこに避難すればいいのかわからなかった」(それぞれ約4割)。
3 避難にあたって困ったこと=「ガソリンが不足した」(約7割)、「食料や飲料、生活用品が入手できなかった」(約6割)、「携帯電話がつながらなかったり、充電できなかったりして使えなかった」(約5割)など。

《避難行動要支援者への対応》

1 避難にあたって困ったこと=「介護が必要だったり、障がいや持病を持つ家族がいて容易に移動できなかった」(約2割)
2 すぐに避難しなかった理由=「家族に要介護者などがいたから」(約1割)。個別意見として、「医療行為を必要とする患者がいる中で、医療環境が整っておらず、ライフラインなども寸断されている劣悪な環境にあえて避難することは、かえって患者を生命の危険にさらすことになりかねない」「身体マヒなどで寝たきりの患者らをバスで搬送するのは無理だった」(浪江町・病院)といった意見も。

《家族構成の変化》

1 平成23年3月11日~4月30日の間に家族構成が変化した(約5割)。そのうち一緒に暮らさなくなった家族がいる(約8割)。つまり、全体のうち約4割の家族が分散したと考えられる。
2 変化した理由は「仕事上、避難できない人が家族にいたから」など(約4割)、「避難を開始するときに一緒にいなかったから」(約3割)。
3 家族構成が変わったことで困ったこと=「さびしくなった」(約5割)、「将来の見通しが立たなくなった」「生活費の負担が増した」(いずれも約4割)。

《防犯対策》

1 住宅の被害状況について=「不在中に泥棒などに侵入された」(約1割)。
2 避難にあたって困ったこと、またはすぐに(平成23年4月30日までの間に)避難しなかった理由=「防犯のために留守宅の管理が必要だった」(それぞれ約6%、約3%)。

画像: CH47ヘリによる避難地域内病院からの患者搬送の様子(「平成23年版防衛白書」から)

CH47ヘリによる避難地域内病院からの患者搬送の様子(「平成23年版防衛白書」から)


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