【2022年2月22日(火)2面】 2月1日以降、日本海とオホーツク海南部の海域で活動するロシア海軍の「ウダロイI級駆逐艦」などの艦艇が計24隻確認されたことが、同15日の統合幕僚監部の発表で明らかになった。岸信夫防衛大臣は同日の記者会見で、「ウクライナ周辺でのロシア軍の動きと呼応する形で、東西で活動し得る能力を誇示するため活動を活発化させている」と指摘。防衛省は、さらなる情報収集、警戒監視に努める

揚陸艦などと隊列組むケースも

 統幕の発表によると、ロシア海軍の艦艇24隻には駆逐艦やフリゲート艦、ミサイル護衛哨戒艇、潜水艦などで、なかには商船の砕氷艦や揚陸艦とともに隊列を組んでいたケースもあった。また、補給艦や病院船なども含まれていた。

 海上自衛隊は、護衛艦「しらぬい」や哨戒機「P3C」が情報収集や警戒監視にあたった。日本への領海侵入などはなかった。

 いずれも目的や狙いは不明だが、岸大臣によると、ロシア国防省が1月から2月にかけて、ロシア海軍の全艦隊が参加し、各艦隊基地周辺の海域と地中海、北海、オホーツク海、大西洋、太平洋でそれぞれ演習を実施すると発表。

 岸大臣は「全艦隊によるこの時期の軍事演習は異例」とした上で、「ロシア軍が東西で活動し得る能力を誇示するため、オホーツク海などでも活動を活発化させている」と指摘した。

 ロシア国防省は、1月から2月にかけて、ロシア海軍の全艦隊が、各艦隊基地周辺の海域と地中海、北海、オホーツク海、大西洋、太平洋においてそれぞれ演習を実施する旨発表していると承知している。今回、防衛省・自衛隊が確認したロシア海軍艦艇の多くは、この世界的な軍事演習の一環として活動を行ったものと考えている。

大臣会見要旨

 ロシア海軍の全艦隊によるこの時期の大規模な軍事演習は異例であり、昨今のウクライナ周辺におけるロシア軍の動きと呼応する形で、ロシア軍が東西で活動し得る能力を誇示するため、オホーツク海や太平洋においても、その活動を活発化させていると考えられる。

 また、そもそも、オホーツク海におけるロシア海軍のこのような活動は、ロシアの戦略原潜の活動領域であるオホーツク海の軍事的重要性の高まりを背景とした活動の一環であるとみられている。

 防衛省としては、ウクライナ情勢を含むロシア軍の活動について、重大な懸念を持って注視しており、関連する軍事動向について、情報収集・警戒監視を継続していく。

《質疑応答》

 ――「ウクライナ周辺での動きと呼応した活動し得る能力を誇示する」という趣旨について具体的に

 岸大臣「ロシアは、ほぼ全ての艦隊から派遣された艦艇で、地中海、黒海に集結し、演習を実施し、その中には、太平洋艦隊所属の艦艇も含まれている。また、極東における演習については、オホーツク海および太平洋に広大な訓練海域を設定して演習を実施するとともに、2月12日には、演習に参加するロシア海軍の艦艇が、米海軍の原潜のロシア『領海』への進入に対応した旨、主張している。こうしたことを踏まえれば、少なくとも昨今のウクライナ周辺におけるロシアの動きと呼応する形で、ロシア軍が東西双方で同時に活動し得る能力を誇示するため、ロシアの戦略原潜の活動領域であるオホーツク海においても、その活動を活発化させていると考えられる」

宮古島周辺海域では中国艦艇を確認

 統合幕僚監部は2月15日、同14日午後10時ごろ、海上自衛隊が宮古島(沖縄県)の北北西約440キロの海域で同海域を南東進する中国海軍ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻を確認したと発表した。

 その後、艦艇は沖縄本島と宮古島との間の海域を南東進し、太平洋に向けて航行したことを確認した。

 防衛省・自衛隊は、海自5航空群所属「P3C」(那覇)、7護衛隊「まきなみ」(大湊)により、所要の情報収集・警戒監視を行った。


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